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軽快な装着感も追求

ULTRASONE「Edition M」 レビュー − 旗艦シリーズ“Edition”の技術を凝縮したオンイヤーヘッドホン

公開日 2015/08/21 15:21 野村ケンジ
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装着感が実現するストレスフリーなポータブルリスニング

さて、実際のサウンドはいかがなものだろう。それを確認するべく、輸入代理店であるタイムロードから試聴機を借用して、室内と屋外両方のシチュエーションで、様々な楽曲を聴いてみた。

試聴では、音質はもちろん装着感も入念にチェックした

と、その前に少々使い勝手についての感想を。Edition Mの実機を数時間使ってみて、ユーザビリティーの高さを実感させられた。特に、皆さんが一番気になっているであろう屋外での活用については、とても良好。151gという軽量さに加えて、絶妙な側圧のホールド感によって使用中にずれてしまうこともなく、それでいて耳たぶが押しつぶされて不快になるようなこともない。絶妙なバランスの装着性を持ち合わせているのだ。

2時間ほどEdition Mを装着して歩き回ってみたが、ストレスなく存分に音楽を楽しむことができた。装着感の良好さとトレードオフで、ほんのわずかに音漏れはあるように感じたが、これはオンイヤータイプゆえの仕方ないところ。とはいえ、電車内などでも特別に大音量にしなければ周りに迷惑をかけるような漏れ方をする分けではないので、安心してほしい。

明瞭かつ自然な音調。伸びやかな高域や繊細な音色が心地よい

肝心のサウンドは、明瞭でいて自然な印象。中高域のフォーカス感が高く、伸び伸びとしたサウンドキャラクターを持ちながらも決してピーキーな高域にならず、聴き心地のよい繊細な音色を奏でる。おかげでピアノの演奏は、1音1音が指のタッチの様子までしっかり伝わってくるとてもピュアな音色だ。同時にホールの響きもとてもよく伝わってきて、かなりの音数を再現してくれる。男性ヴォーカルも、しっかりとした厚みを持つ基音に加えて、フォーカス感の高い低域側の倍音がしっかりと追従。より印象度の増した、存在感の増した歌声を楽しませてくれた。

Edition Mは高い表現力を持つので、当然アコースティックな楽器を得意とするのだが、こと音楽ジャンルに関してはオールマイティな対応力を見せる。低域の解像度やフォーカス感が高いため、ハードロックやジャズなどの楽曲もグルーブ感高い演奏が楽しめる。なかでもハイレゾ音源とは好相性で、録音の良さを巧みに引き出してくれる傾向を持つ。Editionシリーズならではの自然な音場感と、オンイヤータイプならではのダイレクト感を併せ持つ絶妙さがもたらしてくれた、大いなるアドバンテージと言える。

手触りも心地よい専用のキャリングケースも付属する

手軽に持ち出して使い倒せるハイエンドヘッドホン

Edition Mは、Editionならではのテクノロジーを踏襲したおかげもあり、シリーズ初のオンイヤーモデルでありながら完成度の高いサウンドを持つ、魅力的な製品に仕上がっている。ユーザビリティに関しても、オンイヤー型のEditionファーストモデルとは思えないくらい熟慮されていて、良好な使い勝手を持ち合わせている。

12万円前後という実売価格は高級ヘッドホンの中でもさらなる上級モデルに位置するが、ここまでのクオリティ、ここまでの完成度を鑑みれば、良好なコストパフォーマンスとさえ言える。なによりもEditionシリーズとしてのアイデンティティを、このスタイルと価格で実現してくれているのは嬉しい限り。手軽に活用できる高級ヘッドホンという新たな価値観を持つ、とても印象的て、とても魅力的なモデルだ。

(野村ケンジ)

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