シェル・リード線「SR-500」も試聴
サエクから登場、PC-Triple C採用のバランス対応フォノケーブル「SCX-5000」を聴く
■サエクからPC-Triple C導体採用のバランス対応フォノケーブルが登場
長年オーディオを愛好してきたが、実はケーブルの話は苦手だ。市場にある膨大な数のケーブルを試して、ベストを選ぶことは困難だからだ。低い静電容量やインダクタンスを重視したOFCケーブルで良いのでは? というのが10年ほど前までの私の考えで、高品位なスタジオケーブルを使っていた。
そして、その約10年前にPCOCC導体を使ったオーディオケーブルが紹介された。その音を聴いて驚いたことは、音の鮮度が高く極めて情報量が多いこと、そして解像度が高いことだった。ラインケーブルやアナログ再生のトーンアームケーブルに使ってもその効果がはっきり認識できるので、自宅の1階の部屋で使い始めた。特にハイレゾ音源やレコードの倍音を透明度高く再現することに感心した。
2013年、このPCOCC導体の生産が終了することが発表された。しかし、そうこうしているうちに、PCOCC導体に継ぐ、さらに進化した導体「PC-Triple C」がFCM(株)と(株)プロモーション・ワークスにより共同開発された。
PC-Triple C導体には、古河電工が開発した高純度銅材(OFC)が使われるが、これを独自の手法で鍛造していることが特徴だ。しかもPCOCCを超える導通特性と音響特性を備えるそうだ。鍛造前のOFCの結晶構造は、信号の流れに対して垂直方向、断面から見れば放射状に並んでいる。鍛造を繰り返して伸線加工されることで、こうした結晶構造が信号の流れと同じ横向きになるから不思議だ。これがPC-Triple C製造の基本的な工程となる。
私は素人ながら、なるほど、信号の伝送方向と結晶の方向性が一致するのだから、理にかなっていると納得。このPC-Triple C導体を使ったケーブルに興味をもった。同時に、長年音質をつくり上げてきたレコード再生システムにPC-Triple Cケーブルを導入したら、カートリッジからの微弱な信号伝送に威力を発揮してくれるだろうと期待していた。
そこにサエクコマースのSAECブランドから、PC-Triple Cを採用したバランス型フォノケーブル(トーンアームケーブル)「SCX-5000」、同じくPC-Triple Cを用いたシェル・リード線「SR-500」が発売された。
■バランス型フォノケーブルがオーディオマニアに注目される理由
まずは「SCX-5000」から説明しよう。このケーブルは、今注目されているバランス型トーンアームケーブルだ。「バランス型」といってもまだご存知ない読者もいるかと思うので、ちょっと説明しよう。
カートリッジの磁気回路からの出力は、トランスを使ったバランス出力伝送とも言える。フローティング・バランスの2芯シールド線によるトーンアームケーブルを使えば、編線シールドが電磁波の影響から保護してくれるので、微弱な信号を劣化させずにバランス伝送を行うことが可能になる。
この方法は昔、シングルエンド回路の放送機器やスタジオ機器で採用されていた。長いケーブルの引き回しでも、ノイズを受けずにハムを引き起こしにくい伝送方法として用いられていたのだ。今でも真空管方式のプリアンプやフォノイコライザーで、この方式が使用されている。
従ってコネクターもXLRキャノン仕様。ベテランのアナログ・ファンが今注目している伝送方式なのだが、そんなタイミングでSAECがPC-Triple Cを採用したバランス伝送フォノケーブルを発売してくれたことは喜ばしいことだ。
SCX-5000は直径が1cmほどで、曲げやすい樹脂製(耐燃性ポリエチレン)の外皮で覆われているので外部振動にも強い。内部には2芯シールド線がL/R用に2本配置され、これをスッポリとシールドで覆っている。このシールドは、アース線と共にフォノイコライザーにアースできる仕組み(シールド線の外来ノイズや電磁波をアースに流せるということだ)。
前述の2芯シールド線のシールドは、直接、フォノイコライザー回路にノイズや電磁波が伝わることを避けるために、DINコネクターおよびXLRコネクターには接続されず、オープンになっている。徹底したノイズ排除とピュアな信号伝送を設計していることが理解できる。ケーブルの先端はL/R2本(約20cm)に分岐され、アース線が付く。
長年オーディオを愛好してきたが、実はケーブルの話は苦手だ。市場にある膨大な数のケーブルを試して、ベストを選ぶことは困難だからだ。低い静電容量やインダクタンスを重視したOFCケーブルで良いのでは? というのが10年ほど前までの私の考えで、高品位なスタジオケーブルを使っていた。
そして、その約10年前にPCOCC導体を使ったオーディオケーブルが紹介された。その音を聴いて驚いたことは、音の鮮度が高く極めて情報量が多いこと、そして解像度が高いことだった。ラインケーブルやアナログ再生のトーンアームケーブルに使ってもその効果がはっきり認識できるので、自宅の1階の部屋で使い始めた。特にハイレゾ音源やレコードの倍音を透明度高く再現することに感心した。
2013年、このPCOCC導体の生産が終了することが発表された。しかし、そうこうしているうちに、PCOCC導体に継ぐ、さらに進化した導体「PC-Triple C」がFCM(株)と(株)プロモーション・ワークスにより共同開発された。
PC-Triple C導体には、古河電工が開発した高純度銅材(OFC)が使われるが、これを独自の手法で鍛造していることが特徴だ。しかもPCOCCを超える導通特性と音響特性を備えるそうだ。鍛造前のOFCの結晶構造は、信号の流れに対して垂直方向、断面から見れば放射状に並んでいる。鍛造を繰り返して伸線加工されることで、こうした結晶構造が信号の流れと同じ横向きになるから不思議だ。これがPC-Triple C製造の基本的な工程となる。
私は素人ながら、なるほど、信号の伝送方向と結晶の方向性が一致するのだから、理にかなっていると納得。このPC-Triple C導体を使ったケーブルに興味をもった。同時に、長年音質をつくり上げてきたレコード再生システムにPC-Triple Cケーブルを導入したら、カートリッジからの微弱な信号伝送に威力を発揮してくれるだろうと期待していた。
そこにサエクコマースのSAECブランドから、PC-Triple Cを採用したバランス型フォノケーブル(トーンアームケーブル)「SCX-5000」、同じくPC-Triple Cを用いたシェル・リード線「SR-500」が発売された。
■バランス型フォノケーブルがオーディオマニアに注目される理由
まずは「SCX-5000」から説明しよう。このケーブルは、今注目されているバランス型トーンアームケーブルだ。「バランス型」といってもまだご存知ない読者もいるかと思うので、ちょっと説明しよう。
カートリッジの磁気回路からの出力は、トランスを使ったバランス出力伝送とも言える。フローティング・バランスの2芯シールド線によるトーンアームケーブルを使えば、編線シールドが電磁波の影響から保護してくれるので、微弱な信号を劣化させずにバランス伝送を行うことが可能になる。
この方法は昔、シングルエンド回路の放送機器やスタジオ機器で採用されていた。長いケーブルの引き回しでも、ノイズを受けずにハムを引き起こしにくい伝送方法として用いられていたのだ。今でも真空管方式のプリアンプやフォノイコライザーで、この方式が使用されている。
従ってコネクターもXLRキャノン仕様。ベテランのアナログ・ファンが今注目している伝送方式なのだが、そんなタイミングでSAECがPC-Triple Cを採用したバランス伝送フォノケーブルを発売してくれたことは喜ばしいことだ。
SCX-5000は直径が1cmほどで、曲げやすい樹脂製(耐燃性ポリエチレン)の外皮で覆われているので外部振動にも強い。内部には2芯シールド線がL/R用に2本配置され、これをスッポリとシールドで覆っている。このシールドは、アース線と共にフォノイコライザーにアースできる仕組み(シールド線の外来ノイズや電磁波をアースに流せるということだ)。
前述の2芯シールド線のシールドは、直接、フォノイコライザー回路にノイズや電磁波が伝わることを避けるために、DINコネクターおよびXLRコネクターには接続されず、オープンになっている。徹底したノイズ排除とピュアな信号伝送を設計していることが理解できる。ケーブルの先端はL/R2本(約20cm)に分岐され、アース線が付く。
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