アニソンオーディオ:第6回
ゲーム未プレイのライターがゲームサントラを聴いたらこうなった
ゲームのサントラ、ゲームが面白かったから欲しい派ですか? 持っていないゲームでも音楽が良いから欲しい派ですか?
突然2択で問いかけてみたが、筆者は「どっちつかず派」。ゲームをプレイしてその音楽を好きになることが多いが、車内やCM、作業用BGMなどで耳にしたサウンドが気になって仕方ないことも結構ある。個人的意見だが、この「どっちつかず派」という方が結構多いのでは? それほど巷には素晴らしいゲームミュージックが溢れている。
ということで、今回はゲームミュージックだ。“音楽”としてゲームミュージックを聴くということについては、こちらの記事を参照いただきたいが、その流れに沿って日本ファルコムの名作、軌跡シリーズは第1作「英雄伝説 空の軌跡 FC」にスポットを当てたい。
この軌跡シリーズは、まず大きくは英雄伝説シリーズが本筋として存在。その第6作目となる「英雄伝説VI 空の軌跡」に端を発した「空の軌跡」3部作、英雄伝説VIIに連なる「零の軌跡」と「碧の軌跡」、英雄伝説VIIIに該当する「閃の軌跡」と「閃の軌跡II」、さらには外伝的な派生作品の「那由多の軌跡」などが軌跡シリーズとして分類されている。
そんな軌跡シリーズの第1作目にあたる「空の軌跡 FC」だが、このタイトルを選んだのは次のような理由からだ。
1.音楽面の評価を集めている
2.音楽にいくつかのアレンジが存在する
3.ハイレゾがラインナップされている
最初にお伝えしておきたいのは、筆者はこのゲームをプレイしていないということ。ライター陣にはもちろん本作をプレイ済みという方もいた。けれども、そういった状況で筆者が執筆を担当させていただくのは意図がある。
それは”ゲームをプレイしていない人が聴いたらどんな印象を持つのかを確かめる”というものである。これは音楽としてのクオリティとは別に、「この(こんな)シーンの音楽だ」という聴き方が出来るのもゲームミュージックの良さだからだ。固有の世界観を持つ音楽、という面で、ゲームミュージックはあらゆるジャンルの中でもトップクラスであり、それだけにゲームの内容を知らずとも想像が広がるという楽しみがある。それを実践しようと思う。
取り上げるアルバムは全部で5枚。もう少し違うバージョンがあったりするのだが、多すぎてまとまりがつかなくなるため厳選させていただいた。各盤の簡単な全体レビューは以下の通り。
『英雄伝説 空の軌跡 オリジナルサウンドトラック』
空の軌跡FCにおける初出のサントラ盤で、ゲームで使用された楽曲に主題歌「星の在り処」のフルバージョンを含めた全59曲を収めている。ジャズやファンク、オーケストラや民族音楽のテイストを多分に含んだ音楽性で、どこかファンタジーの要素も感じさせる名曲揃い。音色はデジタルサウンドらしいものだが、エレクトリカルやフュージョンなどとは異なる、数を絞った構成となっている点が新鮮さを感じさせる。
『英雄伝説 空の軌跡 FC&SC スーパーアレンジバージョン』
タイトル通り、「英雄伝説 空の軌跡 FC」と「英雄伝説 空の軌跡 SC」の楽曲のアレンジバージョンが収録されたアルバム。プレイヤーによる楽器演奏が音として入り、曲の構成がパワーアップしている。全体として壮大なアレンジが一際目を引いて楽しめるが、ピアノバージョンやギターバージョンなどの渋いアレンジがお薦めだ。フルバージョンになることで楽曲としての完成度を高めた姿や、そこに垣間見える別の曲のファクターがアクセントとして光る。
『ほしのありかざんまい』
空の軌跡FCの主題歌となる「星の在り処」のアレンジだけを集めた、まさに“ざんまい”の一枚。アレンジャーも異なればボーカリストもさまざま、同じ曲を軸にしているが、まるで新曲を聴いているかのように感じられる。またプレイヤー陣の演奏は溶け込みながらも主張され、楽曲のクオリティを高めている。アレンジを聴いて気に入って、また原曲を聴き直すと「やっぱりこれだ」と戻り、の繰り返し。
『英雄伝説 空の軌跡 FC Evolution オリジナルサウンドトラック』
Evolution版(PS Vita版)のサントラ。Evolution化にあたり楽曲がフルアレンジ・新録されているので、アレンジ盤としても楽しむことができる一枚だ。オリジナル盤は全体としてデジタル色が強めに出た音なのだが、こちらの盤ではより普通の音楽としての曲作り、音色となっていることが分かる。また本盤はハイレゾもリリースされている。CDクオリティと比較すると、ハイレゾでは壮大なアレンジが多い本作ならではの広がりがより感じられた。
『軌跡jdkアクースティックス』
至近距離で自分のためだけに生で演奏しているかのようなリアルな音響空間を目指し、ハイレゾを前提として制作されたコンセプト・アルバム。人気もさることながら、ハイレゾ向きかどうかの基準で選ばれたという楽曲は、全てが名曲であると共に恐ろしく生々しい。オーディオ的には定位感に注目したい。スピーカーリスニングを行うと、ヴォーカルやストリングスがほんの少しスピーカーより前、そして高い位置に定位する。それは人の口元、手元といった、録音時の音の発生源の位置のように思う。これは本作が高い実在感を持つ1つの要因だろうから、興味を持たれた方にはハイレゾ版でのスピーカーリスニングを推奨したい。
ハイレゾがリリースされている『英雄伝説 空の軌跡 FC Evolution オリジナルサウンドトラック』と『軌跡jdkアクースティックス』はハイレゾで、ほかのタイトルはCDをFLACデータにリッピングして試聴している。
突然2択で問いかけてみたが、筆者は「どっちつかず派」。ゲームをプレイしてその音楽を好きになることが多いが、車内やCM、作業用BGMなどで耳にしたサウンドが気になって仕方ないことも結構ある。個人的意見だが、この「どっちつかず派」という方が結構多いのでは? それほど巷には素晴らしいゲームミュージックが溢れている。
ということで、今回はゲームミュージックだ。“音楽”としてゲームミュージックを聴くということについては、こちらの記事を参照いただきたいが、その流れに沿って日本ファルコムの名作、軌跡シリーズは第1作「英雄伝説 空の軌跡 FC」にスポットを当てたい。
この軌跡シリーズは、まず大きくは英雄伝説シリーズが本筋として存在。その第6作目となる「英雄伝説VI 空の軌跡」に端を発した「空の軌跡」3部作、英雄伝説VIIに連なる「零の軌跡」と「碧の軌跡」、英雄伝説VIIIに該当する「閃の軌跡」と「閃の軌跡II」、さらには外伝的な派生作品の「那由多の軌跡」などが軌跡シリーズとして分類されている。
そんな軌跡シリーズの第1作目にあたる「空の軌跡 FC」だが、このタイトルを選んだのは次のような理由からだ。
1.音楽面の評価を集めている
2.音楽にいくつかのアレンジが存在する
3.ハイレゾがラインナップされている
最初にお伝えしておきたいのは、筆者はこのゲームをプレイしていないということ。ライター陣にはもちろん本作をプレイ済みという方もいた。けれども、そういった状況で筆者が執筆を担当させていただくのは意図がある。
それは”ゲームをプレイしていない人が聴いたらどんな印象を持つのかを確かめる”というものである。これは音楽としてのクオリティとは別に、「この(こんな)シーンの音楽だ」という聴き方が出来るのもゲームミュージックの良さだからだ。固有の世界観を持つ音楽、という面で、ゲームミュージックはあらゆるジャンルの中でもトップクラスであり、それだけにゲームの内容を知らずとも想像が広がるという楽しみがある。それを実践しようと思う。
取り上げるアルバムは全部で5枚。もう少し違うバージョンがあったりするのだが、多すぎてまとまりがつかなくなるため厳選させていただいた。各盤の簡単な全体レビューは以下の通り。
空の軌跡FCにおける初出のサントラ盤で、ゲームで使用された楽曲に主題歌「星の在り処」のフルバージョンを含めた全59曲を収めている。ジャズやファンク、オーケストラや民族音楽のテイストを多分に含んだ音楽性で、どこかファンタジーの要素も感じさせる名曲揃い。音色はデジタルサウンドらしいものだが、エレクトリカルやフュージョンなどとは異なる、数を絞った構成となっている点が新鮮さを感じさせる。
タイトル通り、「英雄伝説 空の軌跡 FC」と「英雄伝説 空の軌跡 SC」の楽曲のアレンジバージョンが収録されたアルバム。プレイヤーによる楽器演奏が音として入り、曲の構成がパワーアップしている。全体として壮大なアレンジが一際目を引いて楽しめるが、ピアノバージョンやギターバージョンなどの渋いアレンジがお薦めだ。フルバージョンになることで楽曲としての完成度を高めた姿や、そこに垣間見える別の曲のファクターがアクセントとして光る。
空の軌跡FCの主題歌となる「星の在り処」のアレンジだけを集めた、まさに“ざんまい”の一枚。アレンジャーも異なればボーカリストもさまざま、同じ曲を軸にしているが、まるで新曲を聴いているかのように感じられる。またプレイヤー陣の演奏は溶け込みながらも主張され、楽曲のクオリティを高めている。アレンジを聴いて気に入って、また原曲を聴き直すと「やっぱりこれだ」と戻り、の繰り返し。
Evolution版(PS Vita版)のサントラ。Evolution化にあたり楽曲がフルアレンジ・新録されているので、アレンジ盤としても楽しむことができる一枚だ。オリジナル盤は全体としてデジタル色が強めに出た音なのだが、こちらの盤ではより普通の音楽としての曲作り、音色となっていることが分かる。また本盤はハイレゾもリリースされている。CDクオリティと比較すると、ハイレゾでは壮大なアレンジが多い本作ならではの広がりがより感じられた。
至近距離で自分のためだけに生で演奏しているかのようなリアルな音響空間を目指し、ハイレゾを前提として制作されたコンセプト・アルバム。人気もさることながら、ハイレゾ向きかどうかの基準で選ばれたという楽曲は、全てが名曲であると共に恐ろしく生々しい。オーディオ的には定位感に注目したい。スピーカーリスニングを行うと、ヴォーカルやストリングスがほんの少しスピーカーより前、そして高い位置に定位する。それは人の口元、手元といった、録音時の音の発生源の位置のように思う。これは本作が高い実在感を持つ1つの要因だろうから、興味を持たれた方にはハイレゾ版でのスピーカーリスニングを推奨したい。
ハイレゾがリリースされている『英雄伝説 空の軌跡 FC Evolution オリジナルサウンドトラック』と『軌跡jdkアクースティックス』はハイレゾで、ほかのタイトルはCDをFLACデータにリッピングして試聴している。