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アニソンオーディオ:第5回

『攻殻機動隊 新劇場版』ハイレゾサントラを聴いてサイバー世界にダイブしたら現実に戻りたくなくなったレポート

公開日 2015/07/30 11:00 赤江ユウ
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アニメ好きを名乗るなら、これは見ておかないといけない、そんな作品がある。人によってバラバラになるだろうが、この作品の名を挙げる人は多いだろうし、その名を聞かされたら「あー、うん」と納得することだろう。今回はそんな日本が世界に誇るビッグタイトル『攻殻機動隊』から、その最新作となる『攻殻機動隊 新劇場版』の音楽を取り上げてみたい。

攻殻機動隊 新劇場版

『攻殻機動隊』は士郎正宗原作の作品で、1995年に押井 守監督の『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』、2004年には『イノセンス』が公開。2002年/2004年/2006年に神山健治監督の『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』シリーズが公開。2013〜2014年に黄瀬和哉監督の『攻殻機動隊ARISE』が公開。そして2015年に25周年記念作品として制作されたのが『攻殻機動隊 新劇場版』となる。

以下、『攻殻機動隊 新劇場版』のあらすじを公式サイトより抜粋。
2029年3月、総理大臣暗殺事件という戦後最大の事件が発生した。被害者の中には草薙素子のかつての上司、501機関のクルツもいた。バトーやトグサたち寄せ集めメンバーと捜査を開始する草薙。「お前たちは私のパーツだ。パフォーマンスを発揮出来ないヤツはパージする」と言い放つ草薙に、「俺たちはパーツか?」と反発するメンバー。暗躍する謎のサイボーグ。総理大臣暗殺の真相。“第三世界”の存在。その先に待ち構える罠。たった1人で己の“戦場”に向かう草薙は、後に残すメンバーに最後の“命令”を告げる。「自分のゴースト(魂)に従え」。










その練り込まれた世界観は、もはや1つの存在として成り立っている。現代においても未だファンタジーと言って差し支えない技術が当たり前のように描かれているにも関わらず、まるでノンフィクションの作品を観ているかのような感覚となる。いや、その世界観を実現するためのプロジェクトとして『攻殻機動隊REALIZE PROJECT』も始動した。現実が攻殻機動隊の世界に追いつく、もしくは攻殻機動隊の世界に取り込まれる日も近いのかもしれない。

映像美と共に人気の高いサウンド

そんな存在感をもたらすのは、登場するキャラクターから小物など全てに至るデザイン性の高さと圧倒的な映像美。そして、極めてハイクオリティなサウンドが大きな要因となっている。参加する音楽クリエイター陣は『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』と『イノセンス』に川井憲次。『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』シリーズに菅野よう子。『攻殻機動隊ARISE』と『攻殻機動隊 新劇場版』にコーネリアスとなっている。

「攻殻機動隊 新劇場版 O.S.T. by Cornelius/コーネリアス」(VTCL-60400/FlyingDog)

ちょっと、これは尋常ではない。豪華過ぎる。作品自体の魅力があるからこそ実力あるクリエイターが参加し、さらに作品の魅力が高まったという好循環なのだろうが、それにしたって大変なことだ。これだけの個性がぶつかり合うことで、世界観が崩壊してしまわないものなのだろうか? などというのは浅はかな考えだった。それぞれのカラーを持った『攻殻機動隊』のサウンドでありつつ、やはり『攻殻機動隊』の世界として成立している。好みが分かれるというのはあるだろうが、どれもが『攻殻機動隊』だ。

では、『攻殻機動隊 新劇場版』のサウンドはどんな世界を描いているのだろうか。劇伴を担当するのはコーネリアス。元フリッパーズギターのメンバーである小山田圭吾のソロ・プロジェクトだ。ミックス、リミックス、プロデュースなど数々の活動を行うコーネリアスならではの、前衛的であり、シンプルなようで奥深い、そんな音が世界を彩っている。簡単に感想として言ってしまえば、これまでは幻想的なサイバー感だったが、近未来的なサイバー感になったような印象だ。

『攻殻機動隊 新劇場版』のサウンドトラックは、『攻殻機動隊 ARISE』を前後編に再編集した『攻殻機動隊ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE』の劇中曲やヴォーカル曲を含んだアルバムとなっている。ハイレゾでもリリースされているので、再生環境がある方はぜひハイレゾ版(2ch/5.1ch同時発売中)をゲットして欲しい。

コーネリアスと言えば、すでに自身のアルバムをハイレゾでリリースしているなど、その音の良さでもオーディオファンから注目されている。劇伴音楽に対しては、もとの作品ありきという考えが当然あるだろう。クリエイターも作品をイメージして音楽を生み出すはずだ。となれば、その作品を知らなければ、その音楽を楽しむことはできないのだろうか。それはもちろん、知っていればより楽しめることは間違いないが、そうでなくとも音楽として楽しめるケースがある。それは楽曲自体のクオリティが高い場合だ。この盤は、まさにそれ。より良い音のバージョンがあるなら、それに越したことはない。

次のページでは、嘘か真かCD以上の情報を有するハイレゾが脳に与える効果にも触れた上で、いよいよレビューに突入したい。

次ページ耳だけでなく脳まで満たす『攻殻機動隊』サウンド

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