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AKGの新プレミアムイヤホン「N20」レビュー。上質な音楽体験を叶えるイヤホン

公開日 2015/10/05 10:30 山本 敦
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ポタアンと組み合わせでさらに音質アップ。特にEDM系と相性がいい


iPhone 5sとOPPOのHA-2とともに試聴
森高千里のボーカルはより定位が鮮明になり、輪郭がぐっと引き締まる。ベースラインがボールドになるが、むやみに前へ押し出す強調感はなく、バランスの良さはキープされる。アコースティックギターはコード演奏の倍音が深さを増す。MEGのタイトルは、低域の彫りが深くなることで、演奏が高さ方向に一段と伸びやかになり、奥行きの見通しが良くなった。音と透明な空気とのコントラストも描き分けてしまうような、立体的な空間再現だ。アタックの打ち込みはタイトさを増してグルーヴが加速する。EDM系の楽曲とは全般的にとても相性が良いイヤホンではないだろうか。


ハイレゾ音源はPonoPlayerで試聴した
最後にPonoPlayerに直接つないでハイレゾのソースも試聴した。カーペンターズのアルバム「Singles 1969-1981」から『We've Only Just Begun』では、DSD音源のきめ細かな声の滑らかさと繊細なタッチを再現した。まさにN20の十八番にぴたりとはまった手応えを得た。カレン・カーペンターの透き通るようなハイトーンはどこまでもクリアで、口元の動きが生々しく浮かび上がってきた。声は暖かいけれど、どこかクールで冷静。こんな微妙なバランス感覚を楽しめるのがこのイヤホンの魅力かもしれない。

カーペンターズ「Singles 1969-1981

ビル・エヴァンス・トリオのアルバム「Waltz for Debby」では、タイトル曲の“Take 2”を試聴。ソースはFLAC形式の192kHz/24bit。ビル・エヴァンスの硬質なタッチと実に相性が良いと思う。PonoPlayerとの組み合わせではウッドベースがタイトに引き締まって、リズミカルな旋律がスコアを飛び出しながら躍動する。ドラムはライドやシンバルから生まれる余韻が、ゆっくりと漆黒の静寂の向こうへ散華していく情景が見えてきた。

ビル・エヴァンス・トリオ「Waltz for Debby」

クラシックのオーケストラもN20の解像表現力の高さが活きる好例だ。「ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 アレクシス・ワイセンベルク/ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリンフィル」のピアノコンチェルト第1楽章:モデラート(WAV 96kHz/24bit)では、広大なステージが目の前に描かれ、楽器の音には生き物の鳴き声のように生々しい生命力が宿る。ピアノは指先のタッチの強弱も鮮明に伝えるほど鮮やか。定位もくっきりとしている。ダイナミックレンジをワイドに表現し、一つ一つの音に全ての情報量を濃縮したような演奏との真剣勝負を楽しんだ。

ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番 アレクシス・ワイセンベルク/ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮 ベルリンフィル

昨年発表されたYシリーズは、若い音楽ファンに上質な音楽体験を提供することをミッションとしていたが、プレミアムクラスのNシリーズはより洗練された次世代の音楽ファンの耳を満足させるに違いない。女性の音楽ファンにもぜひ、上質な音楽体験をかなえるイヤホンとしてN20をおすすめしたい。

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