粋な遊び心を感じさせるデザイン
「デザインと音質を高次に融合させたヘッドホン」 − POLK AUDIO「Buckle」を聴く
1972年に誕生したアメリカの「Polk Audio」は、「高品位なサウンドを、できるだけ多くの人に伝える」というコンセプトのもとに、多くの音楽ファンの感性を刺激するオーディオ製品をつくってきたブランドだ。そのPolk Audioが現在主に注力するカテゴリーの一つであるヘッドホンのラインナップの中で、今回取り上げる「Buckle」はとりわけデザインと音質を高次に融合させたモデルだ。
「Buckle=バックル」と聞けば、誰もがまず最初に思い浮かべるのがベルトの留め金具だと思う。本機のネーミングはまさしくそのバックルから取られたものであり、ヘッドホンのアーム部分に使われている金属製パーツのデザインがベルトのバックルにインスパイアされたものであるという。
カラーバリエーションにはブラック/シルバーとブラウンの2色があり、実機を手に取ってみるとヘッドバンドの表側に使われているレザー素材と“バックル”部分のコンビネーションがベルトそのもの。粋な遊び心を感じさせる個性的でスタイリッシュなデザインだ。丸みを帯びたイヤーカップのシェイプもどことなくレトロスペクティブだ。カジュアルな外出の際に、アクセサリー感覚で気軽に身に付けながらいい音を楽しみたくなるヘッドホンだ。
装着スタイルは耳を優しく包み込むオーバーイヤー型。40mm口径のダイナミックドライバーには、不要な共振を抑えるために開発された“ダイナミック・バランス・チューニング”の技術が活きている。音づくりはPolk Audio伝統の「Polk Optimized Electro-acoustic Tuning(POET)」に従って、リッチで原音に忠実なサウンドに仕上げた。再生周波数帯域は10Hzから21.5kHzをカバー。インピーダンスは24Ωとしているので、iPhoneやAndroidスマートフォンなどに直接つないでも心地よく音楽が聴けるように設計されている。
ハウジングは密閉型。イヤーパッドがクッション性に富み、装着感が心地よいだけでなくリスニング時に環境ノイズが飛び込んでくることがない。同社ではいわゆるパッシブなノイズキャンセリング効果を高めるためのテクノロジーをふんだんに盛り込んだヘッドホンとして本機の魅力をアピールしている。
ヘッドバンドの装着感について補足しておくと、軽量アルミ素材の表側に柔らかいパッドを被せて、ヘッドホンを身につけたときに感じがちなプレッシャーを軽減している。イヤーカップも耳に対して最適な向きに角度が付けられるよう、アームとのジョイント部分が上下左右方向に稼働する。頭に装着してみると、金属部分には軽量アルミが使われているので、見た目ほどには重さを感じない。
ケーブルは右側からの片出しタイプで、本体から着脱ができる。ヘッドホン側のプラグは2.5mm、プレーヤー側は3.5mmのL字型。本体の機能一覧を読むと「接続するオーディオプレーヤーのリモコン操作やハンズフリー通話にも対応」と書いてあるが、ケーブルのインラインには通常あるはずのマイク付きリモコンが搭載されていない。本体をよく見てみると、右側アームの後ろ側にプッシュ式のボタンとジョグダイアルを兼ねたコントローラーが装備されている。
iPhoneで音楽を聴きながらコントローラーの振る舞いを確認してみると、シングルクリックで楽曲の再生・一時停止とハンズフリーコールの受話。長押しでボイスコントロールの起動。ダブル/トリプルクリックでそれぞれ曲送りと戻し、さらに上下のジョグ操作でボリュームコントロールの操作ができた。なお、筆者が所有しているAndroidスマートフォンのXperia Z2はリモコンでの操作に対応していないようだった。
では、Buckleの音質をチェックしていこう。リファレンスのプレーヤーにAstell&Kernの「AK Jr」を使ってハイレゾ音源から聴いてみた。マイケル・ジャクソンのアルバム「Thriller」から『Billie Jean』では冒頭の力強いベースラインがいきなり腹の底を突いてくる。ドラムスのリズムも重心が低く安定していて、余韻も雄大だ。ボーカルは輪郭がボールドで、声が肉厚に再現される。エレキのカッティングも一音ずつしっかりと鳴りながらビートを刻む。
ビル・エヴァンス トリオのアルバム「Waltz For Debby」から『Milestones』も、太くコシのあるウッドベースの低域が印象深い。どちらかと言えば中低域の重厚な質感の描き方に特徴のあるヘッドホンだ。音色にもねっとりとした濃厚な味わいがある。ピアノやドラムスの音色は意外にあっさりとして淡泊。鍵盤と指先が触れ合う質感は硬めに再現され、ハイハットやシンバルの金属感もにじみ出てくる。
ダフト・パンクのアルバム「Random Access Memories」から『Get Life Back to Music』では、バスドラをキックして生まれるアタックが空気を強く押し出してくる迫力が心地良かった。ギターのカッティングはこの曲でも堅実で乱れがなく、リズムセクションの土台を安定させる。シンセサイザーの和音も分厚くてこってりとしている。濃厚でディープなグルーブを味わいたいロック系、エレクトロ系の音楽ジャンルでは、このヘッドホンにマッチする楽曲が多く見つかるのではないだろうか。
AWAの音楽配信ソースも、Xperia Z2をWi-Fiに接続して音質を320kbpsとして試聴した。城南海のアルバム「サクラナガシ」から『渡良瀬橋』では、歌の輪郭が明瞭に描かれ、高域の伸びにも艶やかさがある。奄美出身の彼女が歌の節々に効かせるグイン(こぶし)がコロコロと軽やかにまわり、歌声の表情を色彩感鮮やかに浮かび上がらせる。ボーカル系の楽曲は歌い手の個性がよく見えて、楽しく聴けるヘッドホンだ。デザインとサウンド、ともに個性的な魅力を放つBuckleは、女性の音楽ファンを含めて、個性あふれるリスニングスタイルを追求する全てのユーザーに最適な選択肢と言える。
【SPEC】型式:オーバーイヤー型 ドライバーユニット:ダイナミック型40mm インピーダンス:32Ω 音圧感度:107dB/mW 再生周波数帯域:10Hz〜21.5kHz プラグ:3.5mm 4極ミニプラグ ケーブル:120cm
「Buckle=バックル」と聞けば、誰もがまず最初に思い浮かべるのがベルトの留め金具だと思う。本機のネーミングはまさしくそのバックルから取られたものであり、ヘッドホンのアーム部分に使われている金属製パーツのデザインがベルトのバックルにインスパイアされたものであるという。
カラーバリエーションにはブラック/シルバーとブラウンの2色があり、実機を手に取ってみるとヘッドバンドの表側に使われているレザー素材と“バックル”部分のコンビネーションがベルトそのもの。粋な遊び心を感じさせる個性的でスタイリッシュなデザインだ。丸みを帯びたイヤーカップのシェイプもどことなくレトロスペクティブだ。カジュアルな外出の際に、アクセサリー感覚で気軽に身に付けながらいい音を楽しみたくなるヘッドホンだ。
装着スタイルは耳を優しく包み込むオーバーイヤー型。40mm口径のダイナミックドライバーには、不要な共振を抑えるために開発された“ダイナミック・バランス・チューニング”の技術が活きている。音づくりはPolk Audio伝統の「Polk Optimized Electro-acoustic Tuning(POET)」に従って、リッチで原音に忠実なサウンドに仕上げた。再生周波数帯域は10Hzから21.5kHzをカバー。インピーダンスは24Ωとしているので、iPhoneやAndroidスマートフォンなどに直接つないでも心地よく音楽が聴けるように設計されている。
ハウジングは密閉型。イヤーパッドがクッション性に富み、装着感が心地よいだけでなくリスニング時に環境ノイズが飛び込んでくることがない。同社ではいわゆるパッシブなノイズキャンセリング効果を高めるためのテクノロジーをふんだんに盛り込んだヘッドホンとして本機の魅力をアピールしている。
ヘッドバンドの装着感について補足しておくと、軽量アルミ素材の表側に柔らかいパッドを被せて、ヘッドホンを身につけたときに感じがちなプレッシャーを軽減している。イヤーカップも耳に対して最適な向きに角度が付けられるよう、アームとのジョイント部分が上下左右方向に稼働する。頭に装着してみると、金属部分には軽量アルミが使われているので、見た目ほどには重さを感じない。
ケーブルは右側からの片出しタイプで、本体から着脱ができる。ヘッドホン側のプラグは2.5mm、プレーヤー側は3.5mmのL字型。本体の機能一覧を読むと「接続するオーディオプレーヤーのリモコン操作やハンズフリー通話にも対応」と書いてあるが、ケーブルのインラインには通常あるはずのマイク付きリモコンが搭載されていない。本体をよく見てみると、右側アームの後ろ側にプッシュ式のボタンとジョグダイアルを兼ねたコントローラーが装備されている。
iPhoneで音楽を聴きながらコントローラーの振る舞いを確認してみると、シングルクリックで楽曲の再生・一時停止とハンズフリーコールの受話。長押しでボイスコントロールの起動。ダブル/トリプルクリックでそれぞれ曲送りと戻し、さらに上下のジョグ操作でボリュームコントロールの操作ができた。なお、筆者が所有しているAndroidスマートフォンのXperia Z2はリモコンでの操作に対応していないようだった。
では、Buckleの音質をチェックしていこう。リファレンスのプレーヤーにAstell&Kernの「AK Jr」を使ってハイレゾ音源から聴いてみた。マイケル・ジャクソンのアルバム「Thriller」から『Billie Jean』では冒頭の力強いベースラインがいきなり腹の底を突いてくる。ドラムスのリズムも重心が低く安定していて、余韻も雄大だ。ボーカルは輪郭がボールドで、声が肉厚に再現される。エレキのカッティングも一音ずつしっかりと鳴りながらビートを刻む。
ビル・エヴァンス トリオのアルバム「Waltz For Debby」から『Milestones』も、太くコシのあるウッドベースの低域が印象深い。どちらかと言えば中低域の重厚な質感の描き方に特徴のあるヘッドホンだ。音色にもねっとりとした濃厚な味わいがある。ピアノやドラムスの音色は意外にあっさりとして淡泊。鍵盤と指先が触れ合う質感は硬めに再現され、ハイハットやシンバルの金属感もにじみ出てくる。
ダフト・パンクのアルバム「Random Access Memories」から『Get Life Back to Music』では、バスドラをキックして生まれるアタックが空気を強く押し出してくる迫力が心地良かった。ギターのカッティングはこの曲でも堅実で乱れがなく、リズムセクションの土台を安定させる。シンセサイザーの和音も分厚くてこってりとしている。濃厚でディープなグルーブを味わいたいロック系、エレクトロ系の音楽ジャンルでは、このヘッドホンにマッチする楽曲が多く見つかるのではないだろうか。
AWAの音楽配信ソースも、Xperia Z2をWi-Fiに接続して音質を320kbpsとして試聴した。城南海のアルバム「サクラナガシ」から『渡良瀬橋』では、歌の輪郭が明瞭に描かれ、高域の伸びにも艶やかさがある。奄美出身の彼女が歌の節々に効かせるグイン(こぶし)がコロコロと軽やかにまわり、歌声の表情を色彩感鮮やかに浮かび上がらせる。ボーカル系の楽曲は歌い手の個性がよく見えて、楽しく聴けるヘッドホンだ。デザインとサウンド、ともに個性的な魅力を放つBuckleは、女性の音楽ファンを含めて、個性あふれるリスニングスタイルを追求する全てのユーザーに最適な選択肢と言える。
【SPEC】型式:オーバーイヤー型 ドライバーユニット:ダイナミック型40mm インピーダンス:32Ω 音圧感度:107dB/mW 再生周波数帯域:10Hz〜21.5kHz プラグ:3.5mm 4極ミニプラグ ケーブル:120cm