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高級ヘッドホン直出しでもしっかり鳴らしきる

Questyleの純A級アンプ搭載ハイレゾDAP「QP1R」の実力を検証!

公開日 2016/03/08 10:00 野村ケンジ
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Questyle社のハイレゾ対応ポータブルプレーヤー「QP1R」は、発売前から高い注目を集めていた製品。ヘッドホン祭などの日本国内のイベントに“参考出品"として何度か開発サンプル機のデモンストレーションが行われており、その音質の良さから、ポータブルオーディオ好きのあいだで話題になっていたのだ。しかも、単なるデモンストレーションだけでなく、日本人のユーザーがどんな要望や趣向を持っているのかのリサーチも兼ねていたため、回を重ねるたび確実にクオリティを向上させていった。そういった真摯な製品作りも、信頼を勝ちとるポイントとなったのだろう。発売前にすでに、ファンのあいだで名の通った製品となっていたのだ。

Questyle「QP1R」

ちなみに、この「QP1R」、製造は戦略的パートナーシップを結んでいるFOXCONN(iPhoneなどの製造を担っている台湾メーカー)が行っている。新ブランドの新製品であるにもかかわらず、既に日本市場である程度の信頼感を得ているのは(特にポータブルオーディオファンのあいだで「いよいよ発売か、もちろん買うよ」という雰囲気になっていたのは)、そういった事前の下積みと、FOXCONN社ならではの良質な製品クオリティという2つの要素の相乗効果がもたらしてくれた結果なのかもしれない。

とはいえ、「QP1R」自身が魅力ある製品だからこそ、近い注目を集めているのは確かだ。まず外観を見ると、フィニッシュにこだわった丁寧な造りが随所に感じられる。アルミ削り出しのボディは、角が落とされたスマートなデザインを採用。さらに、フロント&リアの表面にはゴリラガラスを採用。耐久性に配慮するとともに、上質なイメージの外観に仕上げられている。また、縦横寸法や厚みに関しても数値を細かく徹底的に追い込んだようで、手にすっぽりと収まる、持ちやすいサイズ感が確保されている。

フロント&リアの表面はゴリラガラスを採用

操作系は、ハイレゾ対応DAPで主流のタッチパネル方式ではなく、オリジナルiPodのほうなホイールを配置。ホイール自身がくるくると回るため、iPodというよりはFiio「X3 2nd」に近いイメージだが、ホイール廻りにレイアウトされた操作ボタンがタッチパネル(静電式?)となっているため、操作した際の印象はかなり異なる。価格差があるので当然ともいえるが、「QP1R」のほうが上質感のあるスタイルに仕上げられているのは確かだ。


本体上部にはボリュームつまみとイヤホン端子、光デジタル端子を備える

ホイールを回して操作。ユーザーの声をうけ、操作がしやすいようフィルムも同梱している
ちなみに、製品にはホイール用のフィルムが同梱されている。実はこのホイール、そのままだとグリップが弱く、操作がしづらいことが日本側から指摘され、フィルムが同梱されるようになったのだという。また、現在同梱しているフィルムだと、人によって、使い方次第ではがれやすい場合もあるため、さらなる改良を施す予定だという。そういった丁寧かつ迅速な対応は、ありがたい限りだ。

OSは、Android系ではなくオリジナルのものを採用。タッチパネルでないことと併せて、とてもシンプルな操作感だが、その分使い勝手は良好な印象だ。加えて、microUSBの読み込みが桁違いに早いのもいい。「QP1R」は、32GBの内蔵メモリに加えて、200GBまで動作確認されているmicroSDカードスロットが2基装備され、最大432GBまでの大容量を確保できるのだが、microSDカードの大容量化に伴い、楽曲ファイル情報の読み込みに時間が掛かってしまうというジレンマが生じている。しかしながら、この「QP1R」では特に読み込み時間を必要とせず、差し込んだらすぐにmicroSDカード内の楽曲が再生できるようになっているのだ。これは、とてもありがたい。この便利さだけでも「QP1R」を使う価値はある、といいたくなるくらいだ。

microSDカードスロットを2基搭載。メモリの拡充も可能だ

一方、好評の音質に関しても、かなりの追及が行われている。音質を決定づけるファクターのひとつであるDACには、シーラスロジック社の「CS4398」を採用。こちら、据え置き型のハイエンドオーディオ機器によく使われていいて、ポータブルプレーヤーではAstell&Kern「AK240」「AK100II」などでも採用実績があるもの。ネイティブ再生は、リニアPCMが192kHz/24bitまで、DSDが5.6MHzまで対応。実際に試聴してみると、96kHz/32bit整数音源も再生できたが、こちらは24bitへのダウンコンバートが行われているようだ。

本製品の内部構造。アンプ部はフルディスクリート構成で、ポータブルプレーヤーとしては初という純A級動作を実現している

とはいえ、「QP1R」の音質に関する最大のトピックといえば、やはりフルディスクリート構成のうえ、純A級動作になっているヘッドホンアンプ部だろう。一般的に(特にポータブルプレーヤーではスペースの問題もあって)オペアンプを活用するヘッドホンアンプ回路が主流だが、「QP1R」ではICチップを使わず、トランジスタを組み合わせたディスクリート回路構成を選択。ノイズ処理や音質チューニングなど、徹底的に追い込んでいるという。しかも、電力消費の大きい純A級動作アンプを採用しつつも、3,300mAhサイズの大容量バッテリーと適切な電流コントロール技術により、約10時間という連続再生時間を両立している。音質にこだわりつつも、バッテリー寿命など、使い勝手の良さにも配慮されている点は、なかなかに嬉しい。

音が良くて、バッテリーも長持ちという「QP1R」。さて、実際のサウンドはいかがなものだろう。まずはイヤホン、BAドライバー搭載モデルから。同じ「J」が取り扱っているfinalの「Heaven II」を組み合わせてみる。

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