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高級ヘッドホン直出しでもしっかり鳴らしきる

Questyleの純A級アンプ搭載ハイレゾDAP「QP1R」の実力を検証!

公開日 2016/03/08 10:00 野村ケンジ
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高級ヘッドホン直出しでもその実力をしっかり引き出してくれる

なかなか良好な相性。BAドライバーシングル構成ならではの奔放な鳴りっぷりで、丁寧な表現よりも勢いを重視した「Heaven II」が、やや大人びた、丁寧な表現のサウンドを聴かせてくれるようになる。アコースティック楽器や女性ヴォーカルなどは、艶やかさをもつリアル志向のサウンドにシフト、かなり聴き心地の良い印象となった。

とはいえ、「QP1R」の実力を引き出しきるには、やや役者不足という感は否めない。ということで、イヤホンをAstell&Kern「AK T8iE」に変更。こちらは、ダイナミック型ドライバーを搭載する高級モデルだ。

とにかくきめ細やかで、抑揚表現の丁寧なサウンド。ピアノなどは倍音成分がしっかりと感じ取られ、心地よく美しい響きを楽しませてくれる。さらに、音の粘りが良いというべきか、最弱音までしっかりと再生しきってくれるので、音の実体感を強く感じる。「AK T8iE」ならではのダイナミックな表現は健在であるものの、音のきめ細やかさや解像感の高さが強調されたイメージか。特に、高域は落ち着いた表現になるため、この組み合わせが好み、という人も少なからずいるはずだ。


と、ここまで聴いてふと思いついた。このサウンド傾向、ヘッドホンに最適な高い駆動力を持つヘッドホンアンプで、カスタムIEM系を聴いたときの印象に似ている。と、今度はAKG「Q701」を直付けしてみると、思った通り、勢いのあるサウンドが再生された。スネアのキレが素晴らしく、ベースやバスドラなどのフォーカスが良いため、とてもグルーヴ感の高い演奏が楽しめるのだ。特に、ハードロックはなかなかのもの。思わずヘッドバンキングしてしまいそうな、ノリノリのサウンドを楽しむことができる。

直出しで高級ヘッドホンをちゃんと鳴らしてくれるポータブルプレーヤーはほとんど無い。一般的には、ポータブルヘッドホンアンプを組み合わせるのが必須となるし、それでも製品を選ぶ必要があるほど、イヤホンとヘッドホン(特に高級モデルは)ではアンプに求められる資質が異なっているのだが、「QP1R」は充分にヘッドホンを鳴らしてくれるアンプ部を持ちあわせている。外出中であっても、プレーヤー単体でスマートに高級ヘッドホンが楽しめる、貴重な製品といえるだろう。

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