11万円と高価だが人気沸騰
仮想空間内を「歩ける」新感覚。話題のVR「HTC Vive」を体験
■シンプルながらとてもよくできたシューティングゲーム
次に試したのはシューティングゲーム。「コントローラーを前の方に上げてもらえますか」と言われ、その通りにすると、コントローラーが銃のような形状に変わっている。頭の片隅では先ほど見ていた、あのコントローラーを持っているのだと分かっていても、実際に見えるのは紛れもなく銃なのだ。これは新しい感覚だ。
操作はかんたん。四方八方から近づいてくる敵を、二丁拳銃スタイルで次々に撃ち落としていく。充填した銃弾が切れたら、銃を下に向けるとリロードされる。シンプルなゲームなのだが、左右をよく見回していないと、気づかないうちに敵が接近してくる。このあたりがVRゲームならではだ。ついつい熱中してしまう。
ここまでで筆者に用意されたデモは終了。編集部の小澤麻実にバトンタッチした。
■VRで楽しむ「お絵かき」が楽しい!
小澤は、筆者が体験したもののほか、新たなデモを2つ体験した。一つはファンタジーの世界に入り込み、ボタン一押しで自分の体を小さくしたり、大きくしたりできるというもの。「うわー」「すごーい」などと声を上げながらゲームの世界に没頭する小澤。傍から見ているとかなり奇妙な光景だが、後から聞いてみたら、筆者が奇声を発したり驚いたりしている姿も相当滑稽だったらしい。
小澤が体験したもう一つのデモは、お絵かきソフト。左手のコントローラーはメニュー操作、右手のコントローラーは筆などに使用する。ここで小澤が大興奮し、その日一番の反応を見せた。なんでも、平面ではなく立体空間に絵を描く感覚がものすごく新鮮なのだとか。筆者は小澤が操作しているところをPC用ディスプレイで見ていたが、左メニューを動かすとカラーピッカーが現れたりなど機能も豊富で、ユーザーインターフェースもよく練られていると感じた。
これで2人のデモは終了。短時間で様々なデモを体験したが、終わった後、VR酔いがまったくないのはもちろん、違和感を覚える、フラフラするなどの軽い症状もまったくないことに驚いた。
デモを体験しHTC NIPPONを出た瞬間、2人が声を揃えて言ったのは「めちゃめちゃ楽しかった!」という一言。これだけの体験ができるのなら11万円は妥当、いやでも高性能なPCが別にいるから…などなど、購入シミュレーションまで始める始末。
だが一番導入に際してネックになるかもしれないのは、自由に歩き回れるスペースかもしれない。HTC Viveの大きなポイントは「歩き回れる」ことだが、その楽しさを享受する際、日本の住宅環境が壁になる可能性がある。
ともあれ、Oculus一辺倒の中に、これだけ完成度の高いVRデバイスが現れた意義は大きい。今後の展開が楽しみだ。