従来機と一線を画す格調高いルックス
ティアックの最上位ポタアン「HA-P5」レビュー。小型ボディに凝縮した機能を総検証
■まずはLightningでiPhoneと直結して再生
さて、今回は4つのテーマにおいて検証を試みた。まず、自前のiPhone 5を用いてLightning端子を介したデジタル接続。イヤホンは、ひとまず普段から使用しているDynamic Motionの「DM100」とした。
CDからリッピングしてiPhoneに収めた楽曲をいくつか試聴したが、印象的だったのはMETAFIVEの『META』。高橋幸宏、小山田圭吾らのメンバーが持ち寄った素材を、ボーカルを交えたひとつのポップスとして昇華させており、ミュージシャンたちの卓越したセンスが味わえるアルバムだ。
このシステムでは、そんなカラフルな音楽を力強く表現する。音楽を構成する全ての音にパワーがプラスされたかのようで、立ち上がりも俊敏だ。音抜けも良く、エレキギターのカッティングやシンセサイザーが前後左右に広がってゆく。この傾向はアンプの力強さを裏付けるものだ。
続いてイヤホンのみを変更してみた。米国から上陸したCampfire Audioのラインナップから「Orion」をチョイス。ドライバーユニットはバランスド・アーマチュア型が1基。ケーブルは着脱式(これがCampfire Audioに変えた理由のひとつ。詳細は後述)で、コネクターは汎用性の高いMMCXタイプを採用している。
Orionのアルマイト加工されたアルミのボディはやや大ぶりで、HA-P5とは対照的にマッシブなフォルムだ。さきほどと同様にMETAFIVEを聴くと、その外観に反して実に繊細で解像度の高いサウンドを聴かせる。スピード感も抜群だ。
■ハイレゾ対応DAPと光デジタルケーブルで接続
続いて2つ目のテーマとして、本機とハイレゾ対応DAPを、光デジタルケーブルを用いて接続した。ケーブルにはスウェーデンのブランド“SUPRA”の「ZAC」を使用し、端子は両端とも光ミニのタイプ。プレーヤーはAstell&Kernの「AK120 II」、イヤホンは引き続きOrionで試聴した。
デヴィッド・ボウイの『★』のハイレゾ版(96kHz/24bit)で、本システムのアドバンテージを思い知らされた。というのも、アナログ接続と比較するとその違いは明白で、サウンドがフレッシュに進化していたからだ。
音楽を覆っていたモヤが適度に拭い去られており、ボーカルは伸びやかでそのテクスチャーも細かく表現する。ドラムはタイトで歪まない。テデスキ・トラックス・バンド『レット・ミー・ゲット・バイ』(88.2kHz/24bit)でも、ボーカルの存在感が際立っている。ピアノやスライドギターの抑揚に富んだ演奏も余すことなく耳に届けられた。
次ページグランド分離駆動をテスト。T5p 2ndを鳴らせるかも検証