【特別企画】4K/HDRからピュアオーディオまで
パナソニックが『VGP』総合金賞・批評家大賞を独占! 審査員・鴻池賢三が語る高評価のポイント
今回は注目すべきモデルが多数エントリーするなか、大半の審査員が本機を推挙するに至り、異議無く批評家大賞に輝いた。推挙の理由や注目点は、審査員各氏によって多少の差異があるが、まとめると概ね次の通りと言える。
(1)アナログブームが再燃する中、懐古主義に陥らず、テクニクス伝統のダイレクトモーターを更に発展させ、オリジナリティー溢れる製品を投入した
(2)新規開発したコギングを生じないコアレスモーターと、BDで培った高精度な制御技術により、新次元の高音質を実現した
(3)テクニクスを象徴するターンテーブルの復活は、業界やファンにとっても明るいニュースとなった
筆者の聴感としてもS/Nの向上は明らかで、伝統技術と最新技術の融合の妙を見た。将来、レコード再生に新たな局面をもたらした名機として語り継がれるに違いない。
◆総合金賞:パナソニック 4K/HDRワールド
今回のVGPで総合金賞を選考するにあたり、4K/HDRがテーマに据えられた。理由は、4Kは既に定着フェーズに入っているが、HDR対応の映像装置、コンテンツ、そしてUHD BD再生装置がようやく出揃い、実際の視聴を通じて、ダイナミックレンジ拡大による画質向上効果は明白なものと証明されたからだ。そのインパクトはフルHDから4Kへの移行を遙かに上回るもので、4K/HDRの素晴らしさを広く知らしめることは、AVファンをはじめとするユーザーに有益と考えたからに他ならない。
審査に際しては、テーマに基づいて該当製品ジャンルを決定し、エントリーされた製品への投票数をメーカー毎に集計して自動的に弾き出すと述べたが、その源泉となるのは、トレンドを創出する先見性と企画力、規格化にも貢献する先行開発能力、ハイクオリティーな該当製品を多く送り出すメーカーとしての基礎体力や技術力と言える。まさにメーカーとしての総合力が問われるのだ。
今回総合金賞に輝いたパナソニックは、批評家大賞を獲得したUltra HD Blu-rayプレーヤー「DMP-UB900」のほか、より身近な価格を実現した「DMP-UB90」、さらには昨年11月に発表したレコーダーのプレミアムモデル「DMR-UBZ1」もラインナップし、より幅広いユーザーにUltra HD Blu-rayに接するチャンスをもたらしたという意味でも他社を圧倒した。
ほか、液晶テレビ“VIERA(ビエラ)”は、「DX950」「DX850」「DX770」「DX750」の4シリーズ10モデルと充実したラインナップで4K/HDRに対応し、それぞれが個性的な機能を備えて好評を得た。特に「DX950シリーズ」は高輝度でダイナミックな映像によってHDRの醍醐味を示すなど、部門金賞にも輝いている。
他社に先駆けてUHD BDプレーヤーを製品化し、さらにラインナップも充実。ビエラと併せて4K/HDRワールドを幅広いユーザーに提案する積極的な姿勢は、世界を見渡しても唯一無二の存在と言え、世界に誇るべき総合金賞に相応しいメーカーと言える。今後も同社が業界の牽引役として、ユーザーを楽しましてくれることを願って止まない。
■「パナソニック3冠は長年の取り組みが結実したもの」
今回、パナソニックが最高3賞を独占したのは、単なる偶然ではなく、同社の長年の取り組みが結実したものと考えている。パナソニックの歴史を紐解けば、Panasonicブランドは、“Pan(汎、あまねく)”と“Sonic(音)”という言葉を組み合わせであり、「広くあまねく」という理念が込められている。
事実、先進的な取り組みを行いつつ、ハイエンドユーザーからエントリーユーザーの幅広い期待に応える数少ないメーカーであり、今回のVGPでもUHD BD/4K HDRでの先進性と幅広いラインナップ、テクニクス「SL-1200G」による趣味性の高い分野での活躍を見せつけた。今後も同社が業界の牽引役となり、趣味としてのAVの飛躍を期待したい。