オーディオワンショット<第12回>
藤岡誠が選ぶ、’16年上半期の注目ハイエンド・オーディオコンポーネント 4機種
■エソテリック「F-03A」
エソテリックの高級プリメインアンプ2機種がこの4月から発売された。「F-03A」¥950,000(税抜)と「F-05」¥700,000(税抜)がそれらだ。両機とも最高峰「Grandiosoシリーズ」のプリアンプやパワーアンプで培われた技術内容を数多く採り込んで一体化しているのが魅力だ。
その上で珍しいことに、この2機種は回路構成、使用素子、基板、シャーシ構造、外形寸法、重量、そして機能などが基本的にまったく共通。ただし、最大の相違点がある。それはパワーアンプ部の終段(出力段)の動作方式の違いだ。因みに、本機F-03Aは純A級動作方式で30W/ch(8Ω)を発生。F-05はAB級動作方式でF-03Aの4倍の出力を発生する。
これらの他には、全高調波歪率のほんの僅かな違い(0.001%)と終段動作方式の相違による必然的な消費電力の差異でしかない。外観では前面パネルに若干の違いがある。F-03Aにはパネル中央のエスカッション内のディスプレイ下部に開閉自在のサブパネルの装備があるが、F-05にそれはない。背面パネルの入出力端子などのレイアウトはまったく同一だ。このことからも両機が双生児、それも見事な一卵性双生児であることが分かる。
機能面ではエソテリック初の3バンドのトーンコントロールが大きなチャーム。フォノEQは MC/MM対応。別売のDSD対応D/Aコンバーター「OP-DAC1」(¥80,000/税抜)を背面スロットへ装填可能などを挙げることができる。ここでは“絶対にスイッチング歪みが発生しない”というロマンを持つF-03Aに焦点を当てているが、組合せるスピーカーシステムの出力音圧レベル(能率)が低い場合は、大出力のF-05を求めればいい。
聴こえは、ハイスピードで高SN比。何れにせよ両機は、エソテリックのこれまでのプリメイン型で、音質・音調を含めて最高の出来栄えを持っていることは確かだ。
■ソナス・ファベール「IL CREMONEZE」
「IL CREMONEZE(イル・クレモネーゼ)」(¥5,600,000/税抜・ペア)は、昨年末に生産が終了した「STRADIVARI・Homage(ストラディヴァリ・オマージュ)」の代替モデル。ただし“代替モデル”といっても、システムとしての構成やキャネット形態などはまったく異なり、単に価格的な意味での“代替モデル”という意味だ。構成や形態からいえば、2013年に登場した「OLYMPICAシリーズ」の「OLYMPICA Vicenza(オリンピカ・ヴィチェンツァ)」のイメージに近い。
ユニット構成は、3ウェイ+スーパー・ウーファーの3.5ウェイ。スーパー・ウーファーは80Hz〜25Hzを受け持ち、ユニットは22cm×2(スタガード駆動)が担当しキャビネット側面(片側)の後方下部にマウントされている。キャビネットは、背面上部にトゥイーター+ミッドレンジのキャビティに対応した3つのダクトと、ウーファー用とスーパー・ウーファー用に丸形と三角形のダクトが本体底部に設置されたバスレフ方式。前面と両側面はソナス・ファベールならではの着脱自在のストリングス・グリル(無数の糸状グリル)で覆われる。これもあって新しくデザインされた“菱形ダイヤモンド・デザイン”が一層に映えている。入力は4端子方式。
聴こえは、ワイドバンド&フラットレスポンスで固有のキャラクターがない。前述した通り、本機はスーパー・ウーファーが組み込まれたシステムだから単純に比較はできないが、最近に聴いた内外の高級フロア型スピーカーシステムの中で最低域方向の伸張とその音圧は桁違いの能力を持ち、突出した存在である。なお、せっかくの4端子入力方式だ。是非ともバイワイヤリングを実行してほしい。音像の精度と音響空間の再現性が一層に上質になるからだ。
◇
以上、是非とも4機種について注目され、趣味としてのオーディオの奥深さを知ってほしいと思う。繰り返すが、興味のある方や、具体、詳細を知りたい方は各社のウェブサイトやカタログ等を参照してほしい。
エソテリックの高級プリメインアンプ2機種がこの4月から発売された。「F-03A」¥950,000(税抜)と「F-05」¥700,000(税抜)がそれらだ。両機とも最高峰「Grandiosoシリーズ」のプリアンプやパワーアンプで培われた技術内容を数多く採り込んで一体化しているのが魅力だ。
その上で珍しいことに、この2機種は回路構成、使用素子、基板、シャーシ構造、外形寸法、重量、そして機能などが基本的にまったく共通。ただし、最大の相違点がある。それはパワーアンプ部の終段(出力段)の動作方式の違いだ。因みに、本機F-03Aは純A級動作方式で30W/ch(8Ω)を発生。F-05はAB級動作方式でF-03Aの4倍の出力を発生する。
これらの他には、全高調波歪率のほんの僅かな違い(0.001%)と終段動作方式の相違による必然的な消費電力の差異でしかない。外観では前面パネルに若干の違いがある。F-03Aにはパネル中央のエスカッション内のディスプレイ下部に開閉自在のサブパネルの装備があるが、F-05にそれはない。背面パネルの入出力端子などのレイアウトはまったく同一だ。このことからも両機が双生児、それも見事な一卵性双生児であることが分かる。
機能面ではエソテリック初の3バンドのトーンコントロールが大きなチャーム。フォノEQは MC/MM対応。別売のDSD対応D/Aコンバーター「OP-DAC1」(¥80,000/税抜)を背面スロットへ装填可能などを挙げることができる。ここでは“絶対にスイッチング歪みが発生しない”というロマンを持つF-03Aに焦点を当てているが、組合せるスピーカーシステムの出力音圧レベル(能率)が低い場合は、大出力のF-05を求めればいい。
聴こえは、ハイスピードで高SN比。何れにせよ両機は、エソテリックのこれまでのプリメイン型で、音質・音調を含めて最高の出来栄えを持っていることは確かだ。
■ソナス・ファベール「IL CREMONEZE」
「IL CREMONEZE(イル・クレモネーゼ)」(¥5,600,000/税抜・ペア)は、昨年末に生産が終了した「STRADIVARI・Homage(ストラディヴァリ・オマージュ)」の代替モデル。ただし“代替モデル”といっても、システムとしての構成やキャネット形態などはまったく異なり、単に価格的な意味での“代替モデル”という意味だ。構成や形態からいえば、2013年に登場した「OLYMPICAシリーズ」の「OLYMPICA Vicenza(オリンピカ・ヴィチェンツァ)」のイメージに近い。
ユニット構成は、3ウェイ+スーパー・ウーファーの3.5ウェイ。スーパー・ウーファーは80Hz〜25Hzを受け持ち、ユニットは22cm×2(スタガード駆動)が担当しキャビネット側面(片側)の後方下部にマウントされている。キャビネットは、背面上部にトゥイーター+ミッドレンジのキャビティに対応した3つのダクトと、ウーファー用とスーパー・ウーファー用に丸形と三角形のダクトが本体底部に設置されたバスレフ方式。前面と両側面はソナス・ファベールならではの着脱自在のストリングス・グリル(無数の糸状グリル)で覆われる。これもあって新しくデザインされた“菱形ダイヤモンド・デザイン”が一層に映えている。入力は4端子方式。
聴こえは、ワイドバンド&フラットレスポンスで固有のキャラクターがない。前述した通り、本機はスーパー・ウーファーが組み込まれたシステムだから単純に比較はできないが、最近に聴いた内外の高級フロア型スピーカーシステムの中で最低域方向の伸張とその音圧は桁違いの能力を持ち、突出した存在である。なお、せっかくの4端子入力方式だ。是非ともバイワイヤリングを実行してほしい。音像の精度と音響空間の再現性が一層に上質になるからだ。
以上、是非とも4機種について注目され、趣味としてのオーディオの奥深さを知ってほしいと思う。繰り返すが、興味のある方や、具体、詳細を知りたい方は各社のウェブサイトやカタログ等を参照してほしい。