<山本敦のAV進化論 第101回>
ソニーの“アナログ時計なスマートウォッチ”「wena wrist」を試用。プロジェクトリーダーに話も聞いた
そして3つめの機能がアクティビティトラッカーだ。本体に内蔵する加速度センサーにより検知したユーザーの動作から、ソニー独自のアルゴリズムにより歩数と消費カロリーを分析。専用のスマホアプリ上でモニターできる。フィットネス専用に設計されたウェアラブルデバイスに比べれば機能はかなり単純だが、元もと歩数計ぐらいあれば十分という方の期待に応えるシンプルな使い勝手がよい。
通知設定やアクティビティの記録は専用のスマホアプリから詳細を設定、管理ができる。アプリはiOSから先行配信が始まったが、これを追いかけるかたちでAndroid版も無事にリリースされた。
ただ、電子ウォレットの機能だけは、連携する管理アプリのフェリカネットワークス社の提供する「おサイフリンク」がいまのところiOSにしか対応していないため、メインのスマホはAndroidを使うにせよ、いったん電子ウォレットの機能は別途iPhoneやiPadなどiOS機器を用意して初期設定を行う必要がある。
おサイフリンクアプリに個人の購買履歴等のデータは残らないので、家族や友人のiPhoneを一時設定の時だけ借りてもよい。またはFirst Flightからwena wristを購入時に申し込める、楽天Edyの初期設定代行サービスが利用できる。なおwena wristの専用アプリと外部のアプリによる連携サービスは今のところ実現していない。
バンド内蔵の充電式バッテリーは、約1.5時間の充電で約1週間の連続使用に対応した。一般的な液晶ディスプレイを搭載するスマートウォッチと比べ、スタミナ性能は段違いに高い。ヘッド部は普通のアナログ時計なので、スリーハンズが約3年、クロノグラフが約5年は内蔵電池で使い続けられ、バンド部の電源が切れても、時計としての機能は失われない。長く愛用したくなるスマートウォッチだ。
防水仕様も完備。純粋な腕時計であるヘッド部と、電子機器を内蔵するバンド部とでは防水基準が異なっているが、各々に入念な検査を実施している。バンド部は日常生活防水基準を満たすIPX5/IPX7等級、ヘッド部は3気圧防水(日常生活用防水)となる。文字盤のガラスは耐久性の高いクリスタルガラスなので、普通の使い方であれば壊れる心配も少ない。
■想像以上に便利だった電子ウォレット機能
今回はwena wristの実機を借りて試す機会を得た。最も特徴的な機能である電子ウォレットを使ってみると、スマートなデバイスによって、日常生活が便利になる手応えがしっかりと感じられた。
楽天Edyの電子マネーをチャージしてコンビニやカフェでの支払いに使ってみたが、財布からカードを、ポケットからスマホを取り出す手間すら不要になる。腕時計と電子ウォレットの相性の良さを改めて実感して驚いた。
正直、カードの出し入れが面倒になって楽天Edyカードを使う頻度が落ちていたのだが、腕時計にチャージして携帯できるなら常時活用したくなった。ただ、腕時計を無くしたときのダメージはさらに大きくなりそうだ。
次ページソニーの技術資産があったからこそ完成できたスマートウォッチ