<山本敦のAV進化論 第101回>
ソニーの“アナログ時計なスマートウォッチ”「wena wrist」を試用。プロジェクトリーダーに話も聞いた
この電子ウォレットは、今のところ利用できるサービスが楽天Edyのほか、ドコモのiDとdポイント、QUICPay、ヨドバシカメラのゴールドポイント、ANAのスマートフォンSKiPサービスと、ターゲットが若干狭いのが難点。Suicaなど交通系サービスと連携してほしいところだが、起点となる「おサイフリンク」アプリがまだモバイルSuicaに対応していない。すぐには難しいところだが、ぜひ次機種では実現してほしい。
wena wrist専用アプリのインターフェースは、円形のアナログ時計の文字盤を模している。「ダッシュボード」と呼ばれるメニューには、サークル状のトラックに一日の間にかかってきた電話や届いたメールの記録が点灯したLEDの色別に並ぶ。1日、1週間などまとまった単位で履歴を振り返ることもできて便利だ。
電話の着信通知は相手ごとに連絡帳に登録されている相手単位で登録ができて、LEDの色分けもできる。特定の人物からの電話を色分けしたり、ビジネスとプライベートで電話やメールの履歴を色分けするといった使い方も可能だ。
通知機能はLEDがバンドのリスト部に配置されているので、仕事の打ち合わせ中などにもチラッと確認しやすい。
だが、筆者はふだん液晶ディスプレイ付きのソニーのSmartWatch 3を使っているので、LEDランプだけだと誰からの電話やメールなのかが一目でわからず、気になって結局スマホをバッグから取り出さなければならなかった。そしてバイブが若干強めなので、振動すると金属筐体のバンドが“ジャリジャリ”っと音を立て、一瞬周囲に注目されてしまう。振動の強弱を微調整する機能がほしい。
バッテリーの充電には専用のクリップを使う。wena wristの本体を挟み込み、USB経由でチャージする仕組みだ。1度のフル充電で約1週間ほどバッテリーが持つので、長期で海外旅行に出かける時以外にはクリップを常時持ち歩く必要はなさそうだ。
なおアクティビティトラッカーや通知機能は使わないならオフにしておけるし、就寝時に省電力駆動に切り替える「おやすみモード」を設定しておくなどの工夫で、最大1ヶ月持たせることも可能だ。
■ソニーの技術資産があったからこそ完成できたスマートウォッチ
今回、wena wristを借りてテストするだけでなく、ソニーでwena projectのリーダーを務める 新規事業創出部 wena事業室 統括課長の對馬哲平氏に、製品を開発した背景を訊ねた。
對馬氏はソニーモバイルコミュニケーションズに在籍中、ソニーがグループ全体で推進する新規事業立ち上げのためのプログラムである「Seed Acceleration Program(SAP)」のコンペに応募し、見事「wena wrist」のビジネス化に向けたチャンスを得た。