高音質パーツを多数搭載
さらに成熟したハイファイサウンド。オンキヨーの第2世代DAP「DP-X1A」を聴く
■バランス接続では質感と音場感がいっそう引き出される
イヤホンをオンキヨーのE900Mに切り替えて宇多田ヒカルの『花束を君に』を聴き込むと、ボーカルの抑揚を丁寧に引き出し、バスドラの遠近感の再現力にも優れる。またピアノの音色も素晴らしく美しい。
男性ボーカルについてはJロックのKEYTALK『桜花爛漫』を聴いた。オンキヨーのDP-X1Aは、ギターはナチュラルな音のつながりと音場感を持ち、男性ボーカルも楽曲にスムーズに馴染む。シンバルの金属音もしなやかなレンジ感を出るし、曲中のバスドラやハンドクラップも奥行き感がしっかり出ている。ベースは深みを出しつつもタイトに絞る。
続いてジャズでは、SHANTI『Killing me softly』を聞くと、女性ボーカルとアコースティックギターという2つの主役をナチュラルな音場のなかで上手く両立させ、集中して聴き込めば聴き込むほど、豊かな音場情報が見渡せる。
クラシックでカラヤン指揮の『ヴィヴァルディ:四季 -春-』ではホールの立体感を素直に広げると共に、チェロも伸びやかさを引き出し、音楽としての調和に優れている。
ヘッドホンをバランス接続にも対応したパイオニアのSE-MHR5に交換。まずはアンバランスで宇多田ヒカルの『花束を君に』を聴き込むと、DP-X1Aでは声の帯域のタイトさと共に低音のボリューム感、音場感を備えたスケールの大きいサウンドが広がる。
同じ曲をバランス接続すると音質向上効果はやはり劇的で、『花束を君に』のピアノの音色の硬さがほぐれて細かなタッチも伝わるようになり、ボーカルの息遣いも現れて曲中の存在感も増す。音場感と低音の安定感も増し、S/N志向のサウンドとしてもその情報量を増しているようだ。
他にもSHURE「SRH440」、AKG「K712 PRO」を用意して音質を確認してみると、DP-X1AはSHR440と組み合わせた際のレンジ感の表現が素晴らしく、特に相性の良さを感じた。AKGのK712 PROについてはゲインが「LOW1」の状態では若干パワー感が不足するため、「MID」以上にまで引き上げて音場と音の粒立ちのバランスを追求すると良い。
オンキヨーブランドの第2世代DAPとして登場したDP-X1A。実勢価格は79,800円と、第1世代のDP-X1から約1万円上がっているが、今回の試聴で確認した音質の上がり方はそれ以上の価値があると感じた。
バランス接続ができて、Hi-Fiオーディオらしい質感と表現力を備えたDAPを探している人は、ぜひともDP-X1Aのサウンドを体験してみてほしい。