<山本敦のAV進化論 第112回>
“完全ワイヤレスイヤホン”3機種を徹底比較。それぞれの音質・使い勝手は?
アップルが新製品「AirPods」(関連ニュース)を発表したことで、いま“完全ワイヤレスイヤホン”に熱い視線が注がれている。海外では“True Wireless”などとも呼ばれている新カテゴリーのイヤホンは、プレーヤー機器からワイヤレス化しただけでなく、左右のイヤホン部をつなぐケーブルまで徹底的にワイヤレス化して、装着性や携帯性を高めた点が特徴だ。
今回はAirPodsに先駆けて、老舗&新鋭のオーディオ専業ブランドが発売した3機種の完全ワイヤレスイヤホンを集めて、それぞれの音質や使い勝手を各項目に分けて比較してみた。完全ワイヤレスイヤホンのメリット、デメリットについても考察してみたい。
取り上げるのは、2015年末に彗星のごとく誕生した元祖・完全ワイヤレスイヤホン「EARIN」(関連ニュース)のほか、米の新鋭スタートアップ、ERATOがつくった「Apollo 7」(関連ニュース)、そして老舗オーディオブランド、オンキヨーの「W800BT」(関連ニュース)だ。
■EARIN/EARIN
スウェーデンのスタートアップ、Epical ABが開発して、日本国内では昨年末に発売された完全ワイヤレスイヤホン。バッテリーチャージャーを兼ねた専用のキャリングカプセルから左右のイヤホンを取り出して、ペアリングを済ませていればそのまま電源のオン・オフ操作も不要ですぐに音楽が聴ける。ハンパない未来感も脚光を浴びた完全ワイヤレスイヤホンの先駆者だ。先日にはパッケージに手を加えたマイナーアップデート版の「EARIN M-1」が発表されたばかりだが、性能やスペックには変更がないので、今回は従来モデルの「EARIN」でレポートする。
・装着感
イヤホン本体は3.5gと、今回取り上げる3製品の中では一番軽い。円筒形のボディも非常に小さく作られているので、極端に言えばまるでイヤーチップだけを身に着けているような装着感だ。本体にL/Rがプリントされている。
・付属品
イヤーピースはコンプライ製の低反発フォームチップ「400シリーズ」がS/Mそれぞれ1ペアずつと、シリコン製のイヤーチップもMサイズが1ペア付属。円筒形のボディに装着して、耳に着けた時の安定感を高めるシリコン製の着脱可能なスタビライザーも付いてくる。そのほかは充電用にmicroUSBケーブルが1本。
・バッテリー
イヤホンの充電はバッテリーケース経由。600mAhのバッテリーケースにUSBケーブルをつないで75分でフル充電になる。イヤホンはフル充電から3時間の連続音楽リスニングが楽しめる。イヤホンの充電はケースに入れて70分。イヤホンはモバイル電源で3回フル充電にできる。ちょっとした小旅行のあいだも音楽“聴きっぱなし”で過ごせそう。
・ボタン操作
EARINは本体にボタンがひとつもない。専用ケースから取り出すと電源がオンになり、音楽を聴き終わってケースにしまえば電源がオフになる。音楽を聴くことに注力したシンプルな使い勝手を追求しているので、ハンズフリー通話には非対応としている。
・ペアリング操作
イヤホンをケースから取り出して電源をオンにした後、スマホのBluetooth機器一覧には「Earin L」だけが表示される。これをタップすれば、しばらくして両耳イヤホンのペアリングが完了する。通勤ラッシュ時の駅改札、満員電車の中など人口密度の高い場所でも通信はなかなか安定していた。今回取材した3製品とも、リスニング中の目立った音切れやノイズは非常に少なく優秀だった。
・特徴的な機能
iOS/Android対応のスマホアプリ「Earin」を使って、本体のバッテリー残量を視覚的にチェックしたり、左右イヤホンの出力バランスを調整することができる。そしてもう一つ「低域ブースト」機能も用意。オンに切り替えると地下鉄に乗っている時など、周りを騒音に囲まれている場合でもパワフルでメリハリのある低音が楽しめる。
・音質をチェック
ドライバーはシングルBA。BluetoothのオーディオコーデックはSBCのほか、aptX/AACにも対応。他社の製品と揃えるため、シリコンイヤーピースを着けて試聴したが、情報密度の濃い中低域を軸に、つながりとバランスのよいサウンドが特徴だ。音色はニュートラルで、派手さはないが、どんなジャンルの音楽にも対応できる懐の深さを持つ。ボーカルはきめ細かく滑らか。生楽器の音色に独特の温かみがある。
・総括
スタートアップの製品なのにと言ってしまうと失礼かもしれないが、音質に機能、デザインまでバランス良く高品質を実現した完全ワイヤレスイヤホン。先日ブラックモデルも発表された。現行モデルの「EARIN M-1」の販売価格は24,800円(税別)。惜しみなく詰め込まれた先進性の割にコスパも高いと言えそう。
以前、開発者にインタビューした際には今後はハンズフリー通話に対応するマイク付モデルなどバリエーションを展開する構想もあると語っていた。初代の本機が成功を収めたようなので、ぜひこれからもEARINには進化を続けてほしい。
■ERATO/Apollo 7
ERATO Audioは2015年にKickstarterでのクラウドファンディングをきっかけに、米カリフォルニアで創業されたばかりの新生スタートアップ。Erato Wireless Audio Technology社が手がける基幹部品である通信用ICチップをベースに、非常にコンパクトながらペアリングしたスマホとハンズフリー通話もできるのが大きな特徴だ。現在ERATOブランドが展開するオーディオ製品はこのApollo 7だけだが、今後も意欲的な新製品を開発する計画があるようだ。
今回はAirPodsに先駆けて、老舗&新鋭のオーディオ専業ブランドが発売した3機種の完全ワイヤレスイヤホンを集めて、それぞれの音質や使い勝手を各項目に分けて比較してみた。完全ワイヤレスイヤホンのメリット、デメリットについても考察してみたい。
取り上げるのは、2015年末に彗星のごとく誕生した元祖・完全ワイヤレスイヤホン「EARIN」(関連ニュース)のほか、米の新鋭スタートアップ、ERATOがつくった「Apollo 7」(関連ニュース)、そして老舗オーディオブランド、オンキヨーの「W800BT」(関連ニュース)だ。
■EARIN/EARIN
スウェーデンのスタートアップ、Epical ABが開発して、日本国内では昨年末に発売された完全ワイヤレスイヤホン。バッテリーチャージャーを兼ねた専用のキャリングカプセルから左右のイヤホンを取り出して、ペアリングを済ませていればそのまま電源のオン・オフ操作も不要ですぐに音楽が聴ける。ハンパない未来感も脚光を浴びた完全ワイヤレスイヤホンの先駆者だ。先日にはパッケージに手を加えたマイナーアップデート版の「EARIN M-1」が発表されたばかりだが、性能やスペックには変更がないので、今回は従来モデルの「EARIN」でレポートする。
・装着感
イヤホン本体は3.5gと、今回取り上げる3製品の中では一番軽い。円筒形のボディも非常に小さく作られているので、極端に言えばまるでイヤーチップだけを身に着けているような装着感だ。本体にL/Rがプリントされている。
・付属品
イヤーピースはコンプライ製の低反発フォームチップ「400シリーズ」がS/Mそれぞれ1ペアずつと、シリコン製のイヤーチップもMサイズが1ペア付属。円筒形のボディに装着して、耳に着けた時の安定感を高めるシリコン製の着脱可能なスタビライザーも付いてくる。そのほかは充電用にmicroUSBケーブルが1本。
・バッテリー
イヤホンの充電はバッテリーケース経由。600mAhのバッテリーケースにUSBケーブルをつないで75分でフル充電になる。イヤホンはフル充電から3時間の連続音楽リスニングが楽しめる。イヤホンの充電はケースに入れて70分。イヤホンはモバイル電源で3回フル充電にできる。ちょっとした小旅行のあいだも音楽“聴きっぱなし”で過ごせそう。
・ボタン操作
EARINは本体にボタンがひとつもない。専用ケースから取り出すと電源がオンになり、音楽を聴き終わってケースにしまえば電源がオフになる。音楽を聴くことに注力したシンプルな使い勝手を追求しているので、ハンズフリー通話には非対応としている。
・ペアリング操作
イヤホンをケースから取り出して電源をオンにした後、スマホのBluetooth機器一覧には「Earin L」だけが表示される。これをタップすれば、しばらくして両耳イヤホンのペアリングが完了する。通勤ラッシュ時の駅改札、満員電車の中など人口密度の高い場所でも通信はなかなか安定していた。今回取材した3製品とも、リスニング中の目立った音切れやノイズは非常に少なく優秀だった。
・特徴的な機能
iOS/Android対応のスマホアプリ「Earin」を使って、本体のバッテリー残量を視覚的にチェックしたり、左右イヤホンの出力バランスを調整することができる。そしてもう一つ「低域ブースト」機能も用意。オンに切り替えると地下鉄に乗っている時など、周りを騒音に囲まれている場合でもパワフルでメリハリのある低音が楽しめる。
・音質をチェック
ドライバーはシングルBA。BluetoothのオーディオコーデックはSBCのほか、aptX/AACにも対応。他社の製品と揃えるため、シリコンイヤーピースを着けて試聴したが、情報密度の濃い中低域を軸に、つながりとバランスのよいサウンドが特徴だ。音色はニュートラルで、派手さはないが、どんなジャンルの音楽にも対応できる懐の深さを持つ。ボーカルはきめ細かく滑らか。生楽器の音色に独特の温かみがある。
・総括
スタートアップの製品なのにと言ってしまうと失礼かもしれないが、音質に機能、デザインまでバランス良く高品質を実現した完全ワイヤレスイヤホン。先日ブラックモデルも発表された。現行モデルの「EARIN M-1」の販売価格は24,800円(税別)。惜しみなく詰め込まれた先進性の割にコスパも高いと言えそう。
以前、開発者にインタビューした際には今後はハンズフリー通話に対応するマイク付モデルなどバリエーションを展開する構想もあると語っていた。初代の本機が成功を収めたようなので、ぜひこれからもEARINには進化を続けてほしい。
■ERATO/Apollo 7
ERATO Audioは2015年にKickstarterでのクラウドファンディングをきっかけに、米カリフォルニアで創業されたばかりの新生スタートアップ。Erato Wireless Audio Technology社が手がける基幹部品である通信用ICチップをベースに、非常にコンパクトながらペアリングしたスマホとハンズフリー通話もできるのが大きな特徴だ。現在ERATOブランドが展開するオーディオ製品はこのApollo 7だけだが、今後も意欲的な新製品を開発する計画があるようだ。