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コストパフォーマンスの高さにも注目

【レビュー】ラックスマン「E-250」 - レコードに刻まれた音を余さず引き出すフォノイコライザー

公開日 2016/11/07 10:36 大橋伸太郎
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ラックスマンの技術と物量を惜しみなく投入

本機はNF型イコライザー回路を採用。ベースはE-200を引き継ぎつつ、構成部品(ラックスマンのオリジナルカスタムパーツ)がE-200から8年の推移を反映してブラッシュアップされた。

E-250

LR独立のスーパーパーマロイコア採用の二段階ゲイン切り替え(57dB/66dB)式MC昇圧トランスを内蔵。2台のプレーヤーあるいはツインアーム搭載プレーヤーの2アームラインが接続でき、フロントパネルのスイッチで2入力が切り替え可能だ。そりのあるレコードで発生する低音ノイズをカットするローカットスイッチ、帯磁したカートリッジやMCトランスを信号電流を利用して消磁するアーティキュレーター機能等もE-200から引き継がれた。

背面端子部

筐体内部

本機で初搭載となるのが、カートリッジの特性に合わせた負荷インピーダンス切り替え(MM34/47/56/100kΩ)と、負荷容量切り替え(0/100/220/320pF)だ。ちなみに筆者愛用カートリッジの一つMM型シュア「V15TypeW」の場合、負荷抵抗47kΩで負荷容量200〜300pFで、本機背面の負荷調整スイッチ左列1、2を押し上げ、右列3を押し下げ4を押し上げるとTypeWの出力特性に合わせて最適化される。

負荷インピーダンス/負荷容量の切り替えのスイッチを背面に搭載

B4サイズ、コンパクト薄型ボディのミニマルで静謐な佇まいは、同社PD-171シリーズとコーディネートするばかりでなく、アナログレコード再生の奥深い世界への扉として音楽ファン、オーディオファンを誘う物静かな引力を放つ。

単体フォノイコライザーだからこそ可能な音の密度、厚み、スケール

同社のプリメインアンプ「L-550AXII」と同様に、音元出版の試聴室でE-250を試聴した。まずL-550AXIIのフォノ入力に本機を接続、内蔵フォノイコでのレコード再生の音質と比較してみると、その伸びしろは想像をはるかに上回るものだった。

アナログプレーヤーはラックスマン「PD-171A」を組み合わせた

L-550AXIIの内蔵フォノイコもディスクリート構成の手抜きのないものだが、インテグレーテッドアンプの1機能、1回路である。一方のE-250は、L-550AXIIの心臓部にも採用の低背型大容量ブロックコンデンサーとディスクリートレギュレーター回路で電源部を構成した単体フォノイコライザーだ。音圧が変化し音の密度、厚み、スケールが別次元。L-550AXIIを購入の暁に、もしレコード再生に本格的に取り組む気持ちがあるならE-250を合わせて買うといい。128,000円は価値ある投資だ。

ここからが試聴の本番。アナログプレーヤーには同社「PD-171A」を、カートリッジにはフェーズメーションのフラグシップ「PP-1000」を敢えて使用。スピーカーにはモニターオーディオ「Gold 300」を用いた。今回は音楽ジャンルを越え、読者に馴染のある近年の定評ある名盤ばかりを再生した。

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