<山本敦のAV進化論 第114回>
対決!「Xperia XZ」V.S.「iPhone 7」カメラ&オーディオ機能の実力は?
対してiPhone 7の写真は暗部の沈み込みが深く、白い花の輪郭などはシャープに引き立つからパリッとした印象になる。ただ、花壇側の土のディテールが失われているのがXperia XZの写真と比べるとわかってくる。撮影当日は空に濃い雲がかかっていたので夕焼けは見えていなかったが、写真奥側の土の色が少し夕焼けを浴びたように赤みがかってしまった。
同日の昼間に、同じ花壇で撮影したピンク色の花の写真も比べてみよう。iPhone 7の方はやや赤色が強調されているようにも感じられる。
Xperia XZの方はあっさりとしているが、どちらが好みかは意見が分かれそうだ。花びらで休息するテントウムシの甲は、Xperia XZで撮った写真は赤色に透明感がある。花弁のシワの立体感もリアルに再現できたので、撮った本人としては満足度が高い。
Xperiaはスマホ内蔵のカメラとは思えないほどマニュアル撮影機能が充実している。一方で、スマホのカメラで複雑な設定は不要だし、面倒だからしたくないというユーザーはフルオートでキレイに撮れる「プレミアムおまかせオート」があるので、マニュアル撮影の設定を覚える必要はもちろんない。
ただ、これまで「スマホのカメラであと一歩、こんな設定ができればもっといい写真が撮れるのに」という経験を誰でもしたことがあると思う。あと一歩のステップアップを目指してきたXperiaシリーズの集大成が最新モデルのマニュアル設定に結実している。
ちなみにXperia X Performanceのマニュアルモードでは「ISO感度」「HDRのオン・オフ」「シーン設定」「ホワイトバランスと露出補正」が調整できるようになっていたが、XZから新たに「13段階のシャッタースピード調整」と「マニュアルフォーカス」の機能が加わった。
シャッタースピードがマニュアルで変えられるようになると、暗いシーンでも光をより多く取り込んで明るい写真が撮れるようになる。シャッターを開ける時間が長くなると、その分手ブレも発生しやすくなるので、最適なバランスを探す手間はかかるが、上手に使いこなせば夜空に舞う花火もきれいに撮れそうだ。意図的にシャッタースピードを遅めに設定して夜景を撮ると、ウォン・カーウェイ監督お気に入りのカメラマンだったクリストファー・ドイルが得意としていた、光の残像を記録したスタイリッシュな写真が撮れるのでおすすめだ。
マニュアルフォーカスについては、被写体に近接しながら背景をぼかした写真を撮ったり、反対に金網越しの遠方にある被写体にフォーカスを合わせることもできるようになる。使いこなせれば狙った写真がより素速く撮れそうだ。
■動画撮影:Xperiaは色彩感あっさりめ/iPhoneは少し濃厚な色合いに
続いて動画撮影だ。Xperia Z5まで採用されていた4K動画撮影の機能が、いったんXperia X Performanceで省かれてしまったが、最新モデルのXperia XZでカムバックを遂げた。なおXperia X Compactでは4K動画撮影ができない。