<山本敦のAV進化論 第117回>
録画番組を“簡単に”iPhoneに持ち出し視聴 − 東芝の新”レグザブルーレイ”を試す
iOSとAndroid版のアプリは、今秋からレグザブルーレイの操作性をさらに高めるインターフェース「ネットdeナビ」に対応した。ネットdeナビは東芝のインターネット接続に対応するレコーダーに古くから搭載されてきた、PCなどの機器でレコーダーを操作するための遠隔ユーザーインターフェース機能だ。
このほどDiXiM Playアプリの中に組み込まれたことで、外出先からでもテレビのEPGをチェックして、番組表から録画予約の投入ができたり、録画予約一覧の管理ができるようになった。
特にレグザブルーレイは、直近までリモート録画予約が携帯メールでしかできなかったので大きな進化だ。録画した番組はタイトルやチャプター名をスマホから打ち込めるので、簡単な編集も気軽にできる。
予約録画の投入時には、SDカードへの持ち出しファイル生成も含めて指定ができる。ただ、外出先ではカードリーダーと一緒にSDカードを持ち歩いているケースが多いはずなので、本当に快適な録画ライフを追求するならば、外出時にもレコーダーに装着しておけるSeeQVault対応SDカードをもう1枚用意したい。
■両者それぞれの魅力とは
DiXiM Playはレコーダーに録画した番組をWi-Fi経由で持ち出しながら視聴もできるプレーヤーアプリ。そしてレグザブルーレイはSDカードへの高速ダビングができるレコーダーだ。つまり、番組持ち出しの方法が2種類用意されていることになる。
54分のドラマを2.4Mbpsの画質でダビングした容量930MBのファイルを、SDカードに転送した場合とDiXiM PlayerアプリにWi-Fi経由でダビングした場合とで時間を比較してみたところ、前者は約2分、後者は約7分前後でダビングが完了した。どちらも実用性が高く優秀と言える。
SDカードにダビングされた番組ファイルには、レコーダーでの録画時に自動生成されたチャプター情報が引き継がれる。インターフェースは少し違うが、SeeQVault PlayerもDiXiM Playerも同じくチャプターごとのスキップができる。シークバーからの再生頭出しも可能だ。
秒数を指定した戻し・スキップなどトリックプレイにも対応しているが、DiXiM Playがそれぞれ送りが15秒/30秒/60秒/90秒/120秒、戻しが5秒/10秒/15秒から選択できる仕様であるのに対して、SeeQVault Playerはそれぞれ0.5秒から30秒の間で、0.5秒刻みで設定できる。
操作性はスムーズで心地よい。どちらのアプリともに、レグザブルーレイの設定画質で生成した持ち出し番組をそのままダビングすできるので、何よりHD画質の切れ味がいい。
使い勝手のうえでの差はわずかだが、DiXiM Playはリモート視聴とシームレスにレコーダーによるテレビ視聴を楽しめる良さがあり、一方でSeeQVault PlayerはiPhoneの内蔵ストレージに負担をかけずに済むところが魅力と言える。
■SDカードはiPhoneのバックアップにも使える
東芝のSeeQVault対応SDカードは、iPhoneのコンテンツをまるごとバックアップするためのストレージとしても使える。アプリは別途、東芝が無料で提供する「JSBackup SD」をAppStoreからダウンロードする。
カードリーダーでiPhoneにつなぎ、アプリからバックアップしたいファイルの種類を選ぶだけ。iPhoneからSDカード、SDカードからiPhoneへ双方向のバックアップに対応している。レコーダーによる番組再生のほかにも色んな用途に応えてくれるとても便利なツールだ。
なおJSBackup SDアプリには簡易なメディアプレーヤー機能も搭載されているので、アプリのメモリー内やSDカードに保存した音楽・動画ファイルの再生にも使える。
今どきのBDレコーダーはテレビ番組の録画やBD再生など基本的な機能は等しくハイレベルに備えている。今回のレグザサーバーがSeeQVault対応SDカードとの連携により実現した便利なiOSデバイスによるテレビ視聴や、前回のレポートで紹介したパナソニック“ディーガ”の音楽サーバー機能など際立つ個性的な機能がこれからの“欲しくなるBDレコーダー”を比べるポイントになるだろう。
(山本敦)