【特別企画】CLASS-S製品群や他社製ヘッドホンとも組み合わせ
JVCのハイエンドポタアン「SU-AX01」の実力を岩井喬が徹底検証!
クラシックの音場はふくよかで伸び良く、低域の太さが印象的なリッチサウンドである。ジャズピアノはウォームに響き、ボーカルの質感もハリ良く浮き立つ。ウッドベースのむっちりとした胴鳴りも密度良く描いてくれる。
そしてUSB電源アダプターを外部電源として繋いだハイインテンシティモードに切り替えて聴いてみるとディスクリートアンプがもたらす太く堂々とした中低域の厚みと、ほぐれ良く繊細で自然な浮き立ちを見せる高域が織りなす有機的なハーモニーが特長となっており、高S/Nで解像度も高く、奥行きあるクリアな音場感を得ることができた。
クラシックは低域の響きを制動良く抑え込み、芯のあるすっきりしたホールトーンが得られるようになり、ピアノのアタックもキレ良く描き出す。ボーカルは口元の艶をハリ良くシャープにまとめ、弦楽器の質感も含め、高域方向の倍音成分を豊かに響かせてくれる。
11.2MHz音源もウェットさと温かみを両立したボーカルとふくよかなピアノの響きを優しく表現。WOOD 01の持ち味であるウッドの豊潤な響きをより強く感じられた。以降の試聴ではこのハイインテンシティモードのまま実施している。
そして別売りケーブル「CN-HY01MB」に繋ぎ換えたバランス駆動ではさらに静寂性が高まるとともに音離れの良いリアルで奥深いサウンドに進化。個々の楽器の音を粒立ち良く明瞭に描くとともに、ベースもより深く引き締め、音場のクリアさが一段と向上してくる。
音像の浮き立ちもシームレスで、音の立ち上がりや立下りが的確となり、質感の表現も一層丁寧だ。オーケストラの旋律もハリ良く滑らかで余韻の制御がより鮮明となった。
■SIGNA 01との組み合わせでの表現力は?
続いてヘッドホンをトリプルマグネットや軽量なPEN素材振動板を用いて、ハイレゾ時代に適応した新たなサウンドを追求したオンイヤー高級機「SIGNA 01(HA-SS01)」に交換して聴いてみた。
こちらはより音像の芯をストレートに描く傾向となり、低域は密度良く凝縮したパワフルな押し出し感が楽しめる。クラシックのオーケストラはクリアで艶良い旋律が華やかに拡散。ローエンドは粘り良くどっしりとリッチに響きわたる。
ホーンセクションはタンギングの細やかさも粒立ち良く描き出し、ピアノの軽やかなアタック感とともにハリ良く明瞭に表現。エレキギターのリフはブライトな歪み感をくっきりと聴かせ、ボーカルの口元もクールで清涼な描写となる。弦楽器の艶はカラッとした明るい響きで、ウッドベースの胴鳴りもむんむんと弾力感を強く押し出す。
こちらも別売りケーブル「CN-HS01MB」を使ったバランス駆動に切り替えてみるとクリアでにじみのない、高S/Nで分離の良いサウンドになった。ピアノやシンバルの描写は涼やかで、ボーカルのクールな表現もボトムの太さがしっかりと反映されたリアルな音像として描かれている。
低域方向の響きは適度に引き締め、重心の低い安定感ある表現となった。楽器や声の艶もより滑らかになり、余韻の細やかさも鮮明に掴める。オーケストラの旋律もハーモニーを的確に制御。緻密で品の良い潤いのある響きとして空間を満たす。音像の浮き立ちも立体的で、生々しさに溢れたサウンドを楽しめた。
■WOOD 01 innerでは「ドライブ能力の高さを垣間見ることができた」
そして試聴はインナーイヤー型の「WOOD 01 inner(HA-FW01)」でも実施。50μmという従来よりも薄く加工されたウッドシートを用いた新型ウッドドームユニットを搭載するとともに、不要共振の排除や自然な音の広がりを追求した新設計のウッドイヤホンだ。