【特別企画】オンリーワン製品の価値を検証
技術の粋を集めた結晶。あのClarionが作ったフルデジタルサウンドヘッドホン「ZH700FF」を聴く
■ZH700FFに搭載された画期的なテクノロジー
具体的には、Dnoteと呼ばれるデジタル信号処理技術を活用したものだが、片側4つのボイスサーキットをセットで採用していたり、デジタルコントロールも併せて独自のサウンドチューニングを施すなど、Clarionならではのノウハウも多岐にわたってみられる。
また、回路ブロックごとに独立したLDO電源を採用することでノイズを低減したり、SILMICアルミ電解コンデンサやPMLCAPフィルムコンデンサなどの高品位パーツを妥協なくチョイスすることで、更なる高音質化を推し進めている。このあたりは、ハイエンドモデルならではの贅沢な造り込みといえる。
いっぽう外観に関しては、ブラック&シルバーの落ち着きのあるカラーコーディネイトを基調としつつも、ひねりの入ったカタチのアルミ製ヨーク(ヘッドバンドとハウジングの接続部分)や、電池の残量&充電状況を4色表示するLEDイルミネーションなど、一目でそれと分かる個性的なデザインにまとめ上げられている。
また、内部に低反発素材を採用したイヤーパッドは、後方斜め下がいちばん厚手となる立体縫製仕上げを採用。これにより、外部の騒音をしっかり遮断すると同時に、平面振動板ドライバーユニットが斜め前方に位置することで適切な定位感が得られるよう配慮されている。
もうひとつ、このフルデジタルサウンドシステムには大きなメリットがある。それは、バッテリーの持ち時間がかなり長いことだ。音質を最優先にして開発された製品であるのにもかかわらず、光デジタル接続で約12時間、電源効率が最も悪いスマホなどとのOTG-USB接続であっても約6時間という連続再生を実現している。
もちろん、ヘッドホンでもっと持続時間の長い製品はあるが、音質に妥協のないハイエンドモデルでありながら、実用的なバッテリー持続時間を実現してくれたのは、ありがたい限りだ。
■ZH700FFのサウンドとは?
さて、いよいよ肝心の音質についてレビューしていこう。ということで、同梱されているUSBケーブル(これがまたこだわりの強い一品で、布巻のOFCケーブルを採用している)を使い、「ZH700FF」をMacBookAirと接続してそのサウンドをチェックした。ちなみに、プレーヤーはAudirvana Plus 2.60を使用している(Direct Modeをオフにする必要があった)。
一聴して感じるのは、正統派と例えるべきだろう、とても素直な、とても自然に感じる音色だ。よく聴くと、帯域特性や音場感などかなり細部までデジタルコントロールさせている様子が随所に見られるのだが、まとめ上げ方が巧みで、ナチュラルという言葉がピッタリのサウンドに作り上げられている。