<山本敦のAV進化論 第122回>
【レビュー】定額制音楽配信 実力比較(2)「Google Play Music」− 自慢のレコメンドエンジンの精度に迫る
■ユーザーインターフェース/検索機能の使い勝手
昨年の11月にスマホアプリのユーザーインターフェースが刷新されている。どちらのプラットフォームもリニューアルが同時に行われたので、各OSのアプリは一貫した使い勝手とデザインに統一されている。iPhoneとAndroidスマホの“2台持ち”ユーザーにとっては操作感が変わらないのがうれしい。
ただ、筆者はGoogle Play Musicのユーザーインターフェースがどうにも馴染みづらく感じてしまう。ホーム画面からアーティストをタップで選択してから楽曲リスト、楽曲の再生画面と深く入ったあとに、今度はホーム画面や音楽ライブラリに戻る操作が画面の上下スワイプや、左肩にある「←(戻る)」アイコンのタップなど混在しており、直感的に操作しづらい。
アーティストやアルバムリストのトップからであれば、画面の左端をつかんで右方向へスワイプするとホームやライブラリに戻れるメニューリストが現れるのだが、同じ操作を再生画面で行おうとすると曲送りになってしまう。慣れるのに少し時間がかかった。
新しく見つけたアーティストを「お気に入り」する操作も、他のサービスとやや感覚が違う。アーティストの楽曲やアルバムをライブラリに追加すれば、「アーティスト」の一覧に並ぶので、お気に入りやフォローをした代わりになる。確かに合理的ではあるのだが、アーティストのトップページからでもお気に入りできたらもっと良い。
もう一つ不満に感じることは、自分があまり詳しくない音楽ジャンルの楽曲を“緩く”検索できる機能がないことだ。例えばSpotifyは「Browse」メニューに入って画面を下にスクロールしていくと、「ジャンル」と「気分」に区分けされた楽曲が並んでいる。例えば「いま何となくクラシックが聴きたい気分」だったときに、Google Play MusicのUIはそれを見つけやすいようにつくられていないようだ。何か良い方法がないか、引き続き探してみたいと思う。
■レコメンド機能の特徴
その代わり、Google Play Musicのレコメンド機能は非常に完成度が高いと感じる。ホーム画面には“エキスパート”と呼ばれる音楽ツウのスタッフによる人力作成のものと、機械エンジンが生成したものと2種類の「ステーション」と呼ばれるプレイリストが並んでいる。「設定」メニューから「おすすめをもっとカスタマイズ」を選択して、お気に入りの音楽ジャンルやアーティストを選択しておけば、機械レコメンドの精度も一段と上がる。
同様に「ラジオ」と呼ばれている、リッチなオートプレイリスト作成の機能も利用できる。例えばあるアーティストのトップページにある「ラジオ」アイコンをタップしたり、楽曲一覧の右側に並ぶアイコンをタップしてから「ラジオを起動」を選択すれば、そのアーティストや楽曲を基準にユーザーの好みを学習して自動でプレイリストが作られる。プレイリストの内容は、ユーザーの音楽ライブラリの傾向も反映されるので好みから大きく外れることなく仕上がる印象だ。
もう一つのラジオ機能である「I'm feeling lucky」は、ホーム画面を一番下までスクロールしていくと現れる。こちらもユーザーが聴いている音楽の好みから自動でプレイリストを作ってくれるというもの。先のラジオ機能よりも特定のアーティストや楽曲に紐付けられないので、並ぶ楽曲の種類がよりバラエティに富む手応えだ。
知らなかった楽曲との出会いが広がる。あるいはBGM的に音楽配信サービスを利用しながら新しい楽曲と、とにかく数多く出会いたい人にはGoogle Play Musicはうってつけのサービスだと言える。
楽曲を再生中に、プレーヤー画面の左下にあるサムアップアイコンをタップすると「高く評価」した楽曲として記録され、音楽ライブラリのプレイリスト一覧にある「オートプレイリスト」の中に追加される。気に入った楽曲を繰り返し聴きたい時に便利だ。
自動プレイリストの作成結果には、ライブラリの内容や試聴履歴のデータからだけでなく、音楽を聴いたロケーションなどユーザーの行動履歴も参照させることができる。「設定」メニューから「ロケーション履歴」を選択して有効化すると、端末を持って訪れた場所にふさわしい音楽をプレイリストにして作成する機能が設けられている。Google Mapのタイムライン機能と連動させた、Googleらしさを活かした新しい感覚のリスニングスタイルだ。ロケーション履歴の選択はデフォルトでオフになっているので安心だ。
エキスパートが作成した人力のプレイリストもタイトルが興味を引くものも多く、さらにプレイリストの解説も丁寧に加えられているので、「ちょっと聴いてみようか」という気持ちにさせられる。プレイリストのトップページを下へスクロールしていくと、そのプレイリストに含まれているアーティストや、雰囲気の似たプレイリストのレコメンドも並んでいるので、気になる音楽を散策しやすい動線になっている。