<山本敦のAV進化論 第122回>
【レビュー】定額制音楽配信 実力比較(2)「Google Play Music」− 自慢のレコメンドエンジンの精度に迫る
■モバイル端末への一時ダウンロード
よく聴く音楽は手持ちの端末にダウンロードできるオフライン再生機能も完備する。Androidスマホの場合は保存先を内蔵ストレージとSDカードから選ぶことができる。特徴的な機能は「自動ダウンロード」だ。ユーザーの試聴履歴から、よく聴いている音源を勝手にダウンロードしてくれるというもの。パケット通信量の節約に一役買ってくれるだろう。
ダウンロードだけでなく、アップロード機能についても触れておこう。ユーザーの手持ちの楽曲を約5万曲までGoogle Play Musicのサーバーに保存し、各端末でストリーミング、またはダウンロードして楽しめる。アップルのiTunes Matchのような使い勝手が月額980円の定額料金の中で実現しているのが大きな特徴だ。アップロードはPCのブラウザから行うのが手軽だ。
ひとつの音楽ファイルの最大サイズは300MBまで。サポートしているファイル形式はMP3/AAC(DRMあり・なし)/WMA/FLAC/OGG/ALACとなるが、もともとMP3形式の音楽ファイル以外は全てクラウドにアップするとMP3形式に変換される。FLACは24bitのハイレゾ音源も対象になるが、アップロードした時点で320kbpsのMP3ファイルに変換される。WAVとAIFFは非対応だ。
■お気に入りの音楽をシェアする方法
Goolge Play Musicで再生中の楽曲やプレイリストは、前回レポートしたApple Musicと同様にメールやLINE、Facebook、TwitterなどのSNSアプリを使って友達とシェアができて、相手が同じサービスを使っていればそのまま楽しめる仕掛けだ。
なお気に入った楽曲はGoolge Playストアから購入することもできるが、再生はiOS/Androidの端末にあるGoogle Play Musicアプリか、またはPCでMP3形式のファイルを書きだして再生する方法のどちらかになる。どうせ購入するならより高音質なファイルで販売している、他の音楽配信サービスで見つけて買った方が良さそうだ。
■まとめ:「Google Play Music」はこんな人にオススメ
そしてGoogle Play Musicの大きな特徴は、ChromecastやAndroid TVプラットフォームにもビルトインされているところだ。例えばソニーのAndroid TV搭載ブラビアなどは、テレビをインターネットにつなげばスマホを使わずにテレビ単体で音楽配信サービスが楽しめる。Chromecast built-inの機能を搭載するオーディオ機器も続々と増えているので、便利に、よりいい音でGoogle Play Musicが楽しめる環境は整っている。
筆者としては、音質で選ぶならGoogle Play Musicを推薦したい。最高音質に設定したときの情報量の豊かさと、音楽の勘所を捉えたエネルギッシュで躍動感溢れるサウンドは、ほかの音楽配信サービスと一線を画しているように感じるからだ。
ただし先に触れたように、モバイルアプリ版のユーザーインターフェースの操作感は好みが分かれるところ。一度手元の音楽ライブラリをスマホにコピーし、Google Play Musicアプリの操作感を掴んでから有料の音楽配信サービスを利用するか決めてもいいだろう。
自分のお気に入りの楽曲やアーティストを頻繁に検索して聴く音楽ファンには、後日くわしくレビューするSpotifyやAWAを利用した方がしっくりとくるように思う。だが、自動プレイリストやラジオ機能を活用しながら、BGM的に音楽をかけっぱなしにして“ながら聴き”を楽しみたいという音楽ファンにとっては、Google Play musicは最高の選択肢の一つになる。
(山本 敦)