【特別企画】本格オーディオとしても使える
7.5万円で買えるボーズ初のサウンドバータイプのホームシアター「SoundTouch 300」検証。その音は“マジック”の域
■広いスペースも、複雑な設定も必要としない
実際にテレビと組み合わせて設置した。バー部は高さが57mmに抑えられ、画面を邪魔しない。接続は4K/HDCP2.2パススルー対応ということもあり、迷わずHDMIケーブルを用いて「レコーダー→本機→テレビ」とした。日系メーカーの最新製品と同様の感覚で扱えるのは嬉しい。
Wi-Fi設定は、本機を一度アクセスポイントとして「SoundTouch」アプリをインストールしたスマホから接続し、家庭のアクセスポイントのSSIDを選択してセキュリティーパスワードを入力するだけと簡単だ。
最後に音場補正。ボーズ独自の「ADAPTiQ」が利用でき、カチューシャ型の測定用マイクを装着して本体と接続するだけで、自動的にスタートする。テレビに手順が表示され、日本語音声案内も親切で、迷う事はなかった。サウンドバーなので、スピーカーの設置位置や角度で悩む必要はない。たったこれだけで準備は完了だ。
■部屋全体から聴こえるような高いサラウンド感
まずは、基本音質を探るべく、ネットワークオーディオ機能で確認。Wi-Fiあるいは有線LAN経由でNASの音源も再生できるが、SpotifyやAmazon Musicといったサービスと連携して、ストリーミングで無限の音楽を聴き流すのが今風な使い方だろう。
実際にSpotifyを用い、アース・ウィンド・アンド・ファイアーの『September』を試聴。ステレオイメージは部屋の両壁までワイドに広がり、中央に1台あるサウンドバーからだけの音とは思えない音場再現に驚かされる。リスニングポイントから外れると効果が薄れることから、「ADAPTiQ」がうまく機能しているのは間違いないようだ。
低域は、ソウルフルなリズムも鼓膜にうるさく響かず、空気の振動として体に直接訴えかけるのも、一般的なスピーカーとの違いを感じる。同時に、たった1本のサウンドバーから引き出している音だと思うと、再び驚かずにはいられない。
使い勝手の面では、ネットワーク再生に慣れると、もうBluetooth接続には戻れない。一旦キャストがはじまればスマホが不要だからだ。アプリを一度終了し、再度立ち上げても、スムーズに再生中の曲を表示したり、次の操作も受け付けるなど、実用性は非常に高く不満は見あたらない。家族みんなで本機を共有するような使い方にも適している。
サラウンドサウンドは、BD映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』で確認。冒頭、子供の声が空中を漂うシーン。台詞がテレビ画面の高さに持ち上がり、効果音は左右に広がって部屋を満たす。上下方向の距離感や移動感も実に豊かで、前面の壁全体から音が発せられているかのように感じる。単に膨張しただけでなく、広がった空間の中で定位も明瞭なのが素晴らしい。
事前にシステムの説明を受けていなければ、サウンドバーから音が出ているとは気付かないだろう。このサラウンド効果は、もはやマジックのレベルと言っても過言ではない。
セリフの肉厚さや野太い表現も本機ならでは。コンパクトでスリムなボディとは思えないものだ。リア成分の聴こえ方はシーンによって異なるが、効果音はリスニングポイントの真横くらいまで回り込み、音に包み込まれる空気感も得られる。
ほか、いくつかのソフトを試聴したが、『シカゴ』では客席の拍手が周りを取り囲んで広がるような感覚や、響きが遠くへ伝わって行く様子も感じ取れた。また、トランペットの生めかしさなど、張りのある音調はボーズならでは。音に生命が宿ってステージの熱気まで感じられ、音楽を心から楽しめた。
テレビのニュース番組やドラマも確認。アナウンスはヒトの声として実在感があり、実にクリア。さらに明瞭化する機能があり、利用すると、人物が一歩前に出るかのように聞き取りやすくなる。それでいて、高域が耳に付くような不快感もなく、常用しても良いだろう。
ドラマは、意外な低音が入っていることに驚く。テレビのスピーカーでは気付かないものだ。日常的な番組も、本機があれば、また違った楽しみ方ができるはずだ。
エレガントな佇まいは、一昔前のボーズ製品とは明らかに異なる。HDMIや各種サラウンドオーディオフォーマットへの対応も充実し、良い意味で「普通」になった。その変化はリモコンを見ても明らかで、スッキリした形状とデザインで、ユニバーサル対応も充実している。
あこがれのボーズも、本機なら手頃な価格でデザイン、音質、サラウンド効果、機能性と、全方位でハイクオリティ。もちろん、ボーズ独自のシンプルで高度なサラウンド体験は格別の魅力。サウンドバーとしてだけでなく、本格的なホームオーディオとしてもオススメできる好製品だ。
(特別企画 協力:ボーズ)