[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第182回】Bluetoothイヤホン、左右独立はまだ早い? 今あえて「ネックバンド型」に注目すべき理由
■普通に使いやすいモデルも……課題は夏?
一方、特別な機能性や提案性を打ち出そうというわけではなく、シンプルに「現時点で使い勝手も全体のバランスも良いワイヤレスイヤホンを作るには?」ということでネックバンドスタイルを採用したと思われるモデルも多い。例えばこちら、Philips「SHB5950」だ。
ワイヤレスの他に特別な機能があるわけでもなく、バッテリー駆動時間も7時間で特に長いわけではなく、価格も極端に安くはない。しかし目立った弱点はなく、これなら何の不満もなく使えるであろうという「The ネックバンドスタイル」なモデルだ。
実際にお借りしてしばらく使ってみたのだが、長所はワイヤレスの身軽さとネックバンドの気楽さ、短所はもちろん充電が必要なことという、ワイヤレスイヤホンの特徴そのまんまな印象。これぞスタンダードなワイヤレスイヤホンという使い心地をハイレベルに提供してくれた。
音質的には、明るく見通しが良くそれぞれの音もクリア。声やハイハットはやや薄刃なシャープさだ。フィリップスにしては少し派手な、わかりやすさ重視の音作りかもしれない。シェーバーに喩えたらフィリップスよりもブラウンに近い印象だ。…いや、この喩えはこんがらがりやすそうなので忘れてほしい…。
実際に使ってみてもやはり、ネックバンドスタイルはなかなかに使い心地が良かった。しかし今回実際に検証はできなかった、ネックバンドスタイルならではの不安材料もある。「夏」だ。暑い……汗かく……首周り気になる……そういったところは実際の夏ではどんな感じなのか。夏が来てみないことには実感はできず今の時点では判断できないだけに気がかりではある。
という未確定不安材料もあるが、ワイヤレスイヤホンにおいて現状ではネックバンドスタイルにはメリットが多く、それを生かした製品が多く登場してきている。そこは確かだ。
左右完全独立スタイルの技術が熟成され、通信の安定性、バッテリーライフ、音質、コストなどが落ち着いてくれば、いずれはそちらが主流にはなると思う。しかしそれまではネックバンドスタイルも強みを維持し、今後も多くのモデルが登場してくるのではないだろうか。注目しておきたい。
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。 |
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