<山本敦のAV進化論 第128回>
【レビュー】定額制音楽配信 実力比較(4)「LINE MUSIC」 − LINE連携がキモ。モバイルと併用でおトクに
■UIの操作性はシンプルだが、デザインの刷新にも期待したい頃
メインメニューは「ホーム」「カテゴリ」「検索」「マイミュージック」の4つにシンプルにまとめている。気に入った楽曲はハートマークを付けるとマイミュージックの「お気に入り」の中に楽曲/アルバム/プレイリスト単位で保存されるほか、マイアーティストにも追加されていく。
使える機能をシンプルにまとめて、ユーザーインターフェースも直感的に操作できるようにデザインされているが、サムネールのアイコンが大きかったり、全体に余白のスペースが多いので、かなり上下スクロールで移動しないとメニューが探しづらい。
LINEのユーザーインターフェースとの親和性を優先したデザインなのかもしれないが、ローンチの当初に比べてカタログの楽曲やプレイリストが増えているので、今ではやや使いづらく感じてしまう。もう少し上下のスペースを圧縮するなど改修も検討して欲しい。
キーワード検索はアプリの基本メニューとして用意されている。「カテゴリ」のメニューを開くとロックやヒップホップ、EDMなど音楽を種類別に分けたメニューが並ぶほか、ムードや生活シーンごとも楽曲がまとめられている。それぞれタップすると音楽ジャンルのメニュー内部は楽曲へのリンク、テーマ分けされたメニューの中はプレイリストの一覧になっている。
ユーザーが作成したプレイリストは一般公開も可能になった。「みんなのプレイリスト」から探して気に入ったものをお気に入りに設定すれば繰り返し楽しめる。「おすすめプレイリスト」の中にアーティストや有名人、ラジオステーションが作成したプレイリストを数多く揃えるのもLINE MUSICの特徴だ。
オフライン再生については先述した通り音質を3段階から選んで端末にダウンロードができる。ダウンロードをWi-Fi接続時にのみ許可したり、お気に入りを付けたら自動で保存するように設定を細かく決められる。
■LINEと強力に連携するユニークなレコメンデーション
機械学習によるレコメンド機能は、ユーザーの好みを学習して週間単位でおすすめの楽曲を紹介してくれる「レコメンド」機能がホーム画面に並んでいるが、存在感は薄め。ユーザーの端末に保存されている音楽ファイルを解析して、「ARTISTS」の中の「こちらもおすすめ」の機能からユーザーが好きなアーティストの関連作品を引っ張ってくる機能もいちおう設けている。
ただLINE MUSICの最大の特徴はやはりコミュニケーションツール「LINE」との強力な連携機能だ。お気に入りの楽曲をスタンプ感覚でトークに貼り付けて友だちに送ることができる。相手がLINE MUSICのユーザーならフルサイズで楽曲が聴けるし、ユーザーでなくても30秒のハイライト再生が共有できる。友だちなどの「口コミ」によるストレートなレコメンデーションを主軸に置いているところが、他の音楽配信サービスにはない特徴だ。
LINE MUSICの個性を際立たせている機能だが、当然ながらLINEをあまり使っていないユーザーにとっては魅力に感じられないかもしれない。また周囲の友だちがLINEをあまり使っていないということも考えられるかもしれないが、それは若い音楽ファンには関係のない、筆者のような40代のおやじのとりこし苦労なのかもしれない。いちおうTwitterやFacebookによるシェアもできるようにはなっている。
ただ、LINEアカウントは同時に一つのモバイル端末でしか利用できないので、もしiPhoneのほかにAndroidスマホも2台持ちしていた場合、LINE MUSICもふだんLINEをメインにしている端末でしか使えなくなってしまうのが不便だ。
■LINEモバイルとの併用がオススメ
LINE MUSICのもう一つの特徴は、昨年9月にスタートしたLINEのMVNOサービスであるLINEモバイルと一緒に使ったときに活きてくる。LINEモバイルの最大のセールスポイントである、特定のアプリやサービスについてデータ容量を消費せずに使い放題で楽しめる「カウントフリー」の対象にLINE MUSICが含まれているからだ。
LINEモバイルの契約メニューから「MUSIC+」を選んで、SIMフリー端末と組み合わせればLINE MUSICによる音楽再生がデータ容量無制限で楽しめる。もちろん音質を最高品質の320kbpsに設定して聴いてもカウントフリーだ。ほかにも音源のダウンロードにかかる通信、LINE MUSICを立ち上げて楽曲を検索したり、歌詞をチェックしたときの通信もカウントフリーになる。
「MUSIC+」のプランは月額基本利用料が1,810円から用意されており、LINEやTwitter、FacebookにInstagramを使った場合もカウントフリーになる。別途契約する毎月の3/5/7/10GBのデータ容量を使い切っても、それぞれのサービスだけは変わらず快適に高速通信ができる。これらのコミュニケーションツールを多用する人にはLINEモバイル込みでのLINE MUSICの選択がおすすめだ。
3月に開催されたMWC2017では、LINEが独自のAIプラットフォーム「Clova」を搭載するスマートスピーカー「WAVE(ウェーブ)」を今夏に向けて発売することを明らかにしている。今のところ製品の詳細は明らかになっていないが、LINE MUSICとの連携で特別なことができるようになれば、製品とサービスの両方に特別な差を付けられるかもしれない。今後の動向にも注目したい。
(山本 敦)