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人気モデル「HD26」の後継機

オプトマ「HD27」レビュー。ハイエンド機並の色表現力を備えた10万円を切るDLPプロジェクター

公開日 2017/03/30 12:26 大橋伸太郎
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■色彩、階調の整ったバランスのいい映像

最初に4K HDRの定番ソフト「レヴェナント 蘇りし者」(CH01)。DLP1チップ方式の弱点がカラーブレイク。HDRということで注目して観ると、樹幹の周囲や明暗差が大きい個所に発生するが、ぎらぎらした眩しい出方でなく、うっすらした穏やかな出方で従来の製品程気にならない。

むしろ、DLPの硬質な発色から変貌を遂げたマイルドで深みのある色彩バランスの整った映像に引き込まれる。ノイズが抑えられ妨害要素が少なく、コントラストがしっかりしている相乗作用で奥行きと立体感に富む大画面が現れる。この奥行きがあってこそ今敢えてスクリーン大画面にする意味もあるというものだ。

全黒画面にはやや黒浮きが見られるものの、映画が始まると先述の色彩の密度で気にならなくなる。SDR変換でデフォルトのままではやや暗めだったのでガンマを2.0に変更すると、インディアン襲撃シーンが修正西部劇らしい白昼の地獄図になる。HD27のカラー調整(RGBゲイン・バイアス)を試みると変化の幅が非常に大きく、蒼白で硬質な画から油彩画的な重厚で艶やかな発色まで自由自在に作ることが出来る。ここでは映画前半の印象的なシーンの一つ、冷厳非情な氷雪の白を青、シアン系の調整で硬質な色調で描くことを試みて狙い通りのスケール雄大な映像が現れた。

本体天面には各種操作ボタン、ズーム用のレバーを装備

次にやはり定番ソフトの「エクソダス 神と王」を視聴する。やや黒浮きが見られガンマ2.2標準のまま輝度マイナス4、やや彩度が高く色の濃さをデフォルトの12から8へ下げてウェルバランス。本機はDLPプロジェクターにしてややマイルドな画質なので、シャープネス12でデジタルシューティングらしい精細感が生まれる。

室内シーンの篝火に注目されるがカラーブレイクは火の周辺に出なかった。ユダヤ総督の邸宅の暗い夕刻のシーンは宵闇のブルーがやや目立ちカラーマッチングで抑えたが、ノイズがなく透明感があり見通しがきく良好な画質だ。暗部、例えば召使いの女の黒髪のディテールが潰れず鮮明。黒浮きこそするが、シャドー部や暗部の表現が明瞭で演出と俳優の演技の綾がよく見える。集会のシーンは半暗半明の俳優のシリアスな表情演技が伝わる。映画ファン向きの映像に入り込める高画質だ。

出力10Wのステレオスピーカーを内蔵しており、本機のみで音声出力も可能

次に2KフルハイビジョンBDの「白い帽子の女」。穏やかで甘美な中間色中心のフィルム的なルックの映画。電気の照明を極力使わず自然光を導入した室内シーンに特徴があり、デイシーンでは海に臨んだ窓側から水平方向に光が差し込む設定が多い。ディスプレイの階調が不足して明暗が過度に強調されるとこの撮影のコンセプトを損ねてしまうが、HD27は明暗の階調が豊かでデフォルメすることなく滑らかかつ自然に情景を描き出し、映像のうっすらとした明暗の変化(つまり夫婦の心の明暗の起伏)を伝えてくれる。

廃熱口が本体前面に設けられているため、背面をギリギリまで壁に近づけて設置できる

付属のリモコン

最後にステージのライブ収録「トニー・ベネット&レディガガ チーク・トゥ・チーク・ライブ」。シネマより明るいリファレンスで見たが、レディガガのスパンコールの光沢感と精細感がもっと欲しい。ガンマ2.0、コントラスト+1で改善された。トニー・ベネットの黒いタキシードと白いドレスシャツの境界にカラーブレイクがちらちら出るが、かつてのような嫌らしい眩しい出方でなく気になるかどうかはユーザーの生理次第だろう。ここでもカラーバランスの秀逸さとノイズの抑制効果で二人の歌手が背景から浮き上がる大画面らしい立体感が味わえる。



Brilliant Color II Technology搭載の恩恵で、デフォルトのままで色彩、階調の整ったバランスのいいリッチな味わいの画が楽しめるが、打てば響くレスポンスのよさも本機の強みだ。画質設定の範囲が広く、これから本格的に映像に親しもうという好奇心旺盛なエントリーユーザーに格好の製品といえよう。

(大橋伸太郎)

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