Shure本国マネージャーのコメントも
ShureイヤホンをLightning対応に! DAC/アンプ搭載リケーブル「RMCE-LTG」レビュー
サリバン氏は部品選定のポイントについて、「アップルが規定するLightning直結のプロダクトに求められる消費電力のパフォーマンス基準の中で、DACとアンプなど最適なコンポーネントを選んでいます。チップの型番は明らかにできませんが、DACについてはシーラスロジックのプレミアムグレードのICを使っています。ヘッドホンアンプについては、ダイナミックレンジが広く、ノイズフロアを低く抑えてクロストーク性能にも優れる、トップクラスのICを選び抜きました。」とコメントしている。
なおハイレゾ再生時のDA変換処理については、他のLightning直結タイプのイヤホンと同様、最大48kHz/24bitのリニアPCMデコードまでになる。これ以上の音質のファイルを再生する場合はダウンサンプリング処理とする。
音づくりの方向性については、マイクロホンが記録したままの音に、むやみな色付けをすることなくリスナーの耳に届けるという「Shureの王道」を貫いた。「アーティストやエンジニアは、納得した最高のパフォーマンスをコンテンツに残しているはず。私たちが目指すべきゴールはシンプルで、ユーザーの手元でオリジナルに忠実な音を再現できるオーディオを作ることです」とサリバン氏は語る。
インラインに配置したマイクのレイアウトについては、アップルが定める規定の範囲内で、Shureとしてベストのパフォーマンスを追求した。RMCE-LTGが採用した無指向性マイクについては、発声された音を正確に拾って認識できれば必ずしも口元に近い位置に無くても良いため、フレキシブルなレイアウトができたのだという。
マイクユニットのハウジングは堅牢性を高めただけでなく、耐湿性能の向上、ケーブルにかかるテンションを和らげたり、風切り音を避けるところまで細かな気配りを盛り込んだ。それぞれの性能を担保した上で小型化にも腐心した。
■Shureイヤホンと組み合わせて試聴
今回はいくつかのリスニング環境でRMCE-LTGの音質を確かめた。はじめにiPhone 7にハイレゾプレーヤーアプリ「NePlayer」を組み合わせて、RMCE-LTGに「SE535」のヘッド部を装着して音を聴いた。
音楽が鳴り始めてすぐ、冴え渡る解像感と情報量の緻密さに耳を惹きつけられた。上原ひろみのピアノは打鍵の強弱がいっそう正確に反映され、メロディが活き活きと響き出す。SEシリーズが持ち味とするバイタリティ溢れるサウンドが、ますます熱気を帯びてきた。
トリオの楽器は、いずれも音像がとてもシャープで切れ味が鋭い。空間を切り裂くように、スピード感溢れる音が駆け抜ける。立体感や奥行きの見晴らしも鮮明だ。ドラムスはハイハットの粒子感が一段ときめ細かく、階調感の豊かな音が身体に染み渡ってくるようだ。バスドラムスのキックの低音もだぶつかず、タイトでみずみずしい音の塊がぶつかってくる。