「AirPlay 2」や「HEIF」など対応
【解説】iPhoneのAV機能は「iOS 11」でこう変わる
■HEVCを軸にした静止画/動画コンテナ「HEIF」
「品質は同じで必要なデータ容量が半分」という特長に注目が集まる新フォーマット「HEIF」だが、確かにそのような効果はあるものの、真のメリットは「ISO/MPEGにより標準化されたHEVCを軸とする柔軟なコンテナフォーマット規格」をいち早く利用できることにある。
HEIFはAppleが開発したフォーマットではなく、ISO/IECのワーキンググループ「Moving Picture Experts Group(MPEG)」により開発され、MPEG-Hで利用されるフォーマットとして標準化が完了している(ISO/IEC 23008-12)。内容が多岐にわたるため比喩表現には躊躇するが、「コーデックにHEVCを使い、H.264に対し2倍という高い圧縮率により動画/静止画を効率的に符合化する」ことで、冒頭に挙げた従来技術の約半分というデータサイズを実現していると考えていいだろう。
HEVC自体はiOS 9のときからFaceTimeでサポートされていたが、iOS 11ではHEIFをサポートすることにより、カメラなどのアプリでHEVCの恩恵に預かれるようになった。特にメリットが大きいのは静止画で、従来は当然のようにJPEGで保存されていたものが、iOS 11からはHEIFで保存されるようになる。
HEIFは複数のコンテンツを格納できるコンテナであり、連写した写真や動画、各種メタデータも1つのファイルにまとめることができるから、扱いやすさは格段に向上する。画像の符合化にも柔軟に対応できるため、高効率なHEVCで保存しておき必要であればJPEGで取り出す、という使いかたも可能になる。HEIF/HEVCをサポートする開発フレームワーク(PhotoKit)も整備されるので、サードパーティー製アプリでも利用できる。
ただし、HEVCイメージをハードウェアエンコードできるのは、現状「A10 Fusion」を搭載したiOSデバイスのみ。それ以前の端末もデコードには対応しているが、エンコード対応機に挙がっていないため、iPhone 7/7 Plus以降の端末でなければHEIF/HEVCによる撮影はできないが閲覧は可能、という理解でいいだろう。HEVCムービーは、A10 Fusion搭載端末と第6世代のIntelチップを積むMacが8bitのハードウェアエンコードに対応するが、10bitのエンコードはMacのみ対応(ソフトウェアエンコード)と要求スペックはやや厳しい。こちらも、近々発表されるであろう新機種を待つしかなさそうだ。