“逆転の発想”で生まれた伸びやかなサウンド
オンキヨー「TX-RZ820」を聴く ー 余裕ある設計が実現した“音質ファースト”のAVアンプ
■「Dynamic Audio Amplification」思想に基づいた設計
本機は7chパワーアンプを内蔵し、オブジェクトオーディオ(DTS:X、ドルビーアトモス)再生に対応する。増幅素子はアナログディスクリート、定格出力は130W×7(8Ω/2ch駆動時)だ。
本機の骨格をなすのが、「Dynamic Audio Amplification(ダイナミック オーディオ アンプリフィケーション)」コンセプト。S/Nのような測定による静特性より、激しい信号の変化に瞬時に対応する動特性を重視するオンキヨーのアンプ設計だ。
具体的には、電源部を充実させ大電流を淀みなく供給し、正確で安定したスピーカードライブの実現(ハイカレントアンプ設計)。本機の場合、大型ELトランスやオーディオコンデンサを採用し、「30cmクラスの大口径ドライバー搭載スピーカーシステムを悠々とハンドリングすること」を開発目標としたという。なお、本機は4Ωスピーカー動作を保証する。
ほかに、音の減衰するポイントを可聴周波数外に追いやり位相ずれをなくす「ノンフェーズシフトアンプ」、D/A変換時のパルスノイズを取り去るオンキヨー独自のフィルター回路“VLSC”と、アンプの地力を重視した音質本位の設計がうかがえる。
オブジェクトオーディオでは、オンキヨー&パイオニアのアンプの魅力のひとつ、「AccuReflex」を搭載する。ドルビー・イネーブルド・スピーカーは天井に音を反射させ高い位置に音源を形成するが、イネーブルドスピーカーから直接聴こえる音と反射音の時間差が位相ズレを生み、聴感上違和感を生んだ。この位相ズレをスピーカーの特性データベースとディレイタイムをもとに補正するのがAccuReflexだ。
最新のAVアンプらしく映像への配慮もきめ細かく、ドルビービジョン、HDR10、BT.2020信号にパススルー対応、4K/60p映像には全HDMI 7出力、2入力で対応するやはり余裕の設計だ。
旭化成エレクトロニクス製384kHz/32bitマルチチャンネルDAC「AK4458VN」を心臓部に搭載、ファイル再生(ネットワーク/USB)は、DSD11.2MHzはじめFLAC、WAV、Apple Losslessの192kHz/24bitまで対応するが、USB-B端子は持たずUSB-A端子でのメモリ再生となる。