[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第193回】「RAYZ Rally」をあえて“ラジオ用スピーカー”として使ったらすごく便利で音も良かった
便利さ、その二。バッテリー充電も電源アダプターも不要!電源はiPhoneからLightningで供給される。
その一の身軽さ、置きやすさにも関連するが、バッテリーの残りを気にする必要もなければ電源アダプターのケーブルの長さに縛られることもないというのは、身も心も楽だ。また、メーカーが「必要最低限の消費電力で動作するため、iPhoneのバッテリーへの影響は気にせず使えます」と断言してるので、iPhoneのバッテリーへの負担もさほどは気にしないで良さそう。
■音もやっぱりラジオにぴったり!
ラジオ用として使ってみたところ、使い勝手もすごく良かった!そして、そもそもの狙いであった音の面でのラジオとの相性はというと……やっぱりそっちもすごく良かった!!!
今回の試聴では、「radiko.jp」でいわゆるラジオそのもの、その他それぞれのアプリで「超!A&G+」「音泉」などのウェブラジオサービスも聴いてみたが、どのサービスのどの番組を聴いても好感触。
まずは普通にトーク番組の例として、radiko.jpで文化放送「小松未可子のリッスン?2-3」をタイムフリー、ラジオ福島「早見沙織のふり〜すたいる♪」をタイムフリー&エリアフリーにて聴く。
iPhone(SEと6)の内蔵スピーカーは、僕が普段利用しているラジオ用スピーカーやデスクトップスピーカーと比べて、明らかにシャカシャカとかカチャカチャといった音の印象。声のローエンドの厚みがなく肉声感が薄い。また中低域の弱さによって相対的に高域が目立ち、投稿メールをプリントアウトした紙をめくる音などが妙に聞こえすぎてしまう。良い意味で細かな音まで聞こえるのではなく、主役であるべき声が弱くなってしまい、他の音が目立ってしまっている状態だ。
そこでRAYZ Rallyを装着!すると圧倒的に聴きやすい。声の中低域の厚みによる肉声感、声が主役で他の物音はその背景というバランス、そういった「ラジオスピーカーとしてほしい要素」を見事に満たしてくれている。やはりそれらの要素はスピーカーフォンとラジオスピーカーに共通するということなのだろう。
同じく通話用として与えられた特性かと思うが、高域側を丸め込むことで声や背景のノイズ感を目立たせないようにしてあるというところも、ラジオにおいても好ましい方向に働く。
音声圧縮による部分もあるかと思うが、ネットラジオは高域まで普通にクリアに再生してくれるオーディオとして真っ当なスピーカーで聴くと、声のピークの歪み感や背景のサーサーというようなノイズ感が耳障りになりやすい。
対してオーディオ用ではなく、“通話用”で人の声に特化しているこのスピーカー。ノイジーな成分になりやすい高域はあらかじめ大胆に丸め込んである。なのでラジオを聴くと声が心地良く、ノイズは気になりにくい。ラジオ好きの方には、パナソニックのポータブルラジオ「RF-U150A」などに装備されている音質調整スイッチを、「音楽」ではなく「ニュース」にしたときのような高音の丸め方と効果!と伝えれば分かりやすいだろうか。
なお、スピーカーとしての音量感は内蔵スピーカーよりもむしろおとなしく聞こえる。人の聴覚には高域の方が目立って聞こえやすいというのもあるだろうし、iPhoneから供給される電力の限度もあるだろう。いずれによせこのスピーカーは、音量を稼ぐためではなく音質を聴きやすくするためのアイテムと考えるのが良い。
おまけとして、流しっぱなしメディアとしてラジオに通ずるところもある(ような気もする)、音楽定額ストリーミングサービスとの組み合わせも軽く確認。今回はSpotifyとANiUTaを利用した。
これは「iPhone内蔵よりはずっと良いけど、音楽前提のスピーカーとは比べるべくもない」といった感じ。ラジオでは肉声感を強めてくれていた中低域の膨らみが、音楽ではだぶつきにもなりやすく、高域側での情報量も足りない。ただ本当にBGMとして流れていれば良いという使い方なら、音調がうるさくないおかげで部屋へのなじみ具合は良い感じだろう。
このLightning接続スピーカーフォン「RAYZ Rally」は、やはりラジオ用としてのポテンシャルも高いことを確認できた。
とはいえ、スピーカーにこれくらいの金額を出せるなら選択肢は他にも多く、音質面ではやはり純粋にオーディオをターゲットにしたスピーカーの方に優位がある。ラジオ聴取に限定しても「ラジオリスナーはラジオのためにこれを買うべき!」とまでは言えない。
なのでここは記事としての初志貫徹にはこだわらず、「ラジオのためだけに買うには高いかもだけど、これ買うと『おまけとして』通話も快適になるよ!」という通話込みプランでオススメしておくことにしよう。だっていつかあなたにも、みかこしさんから電話がかかってくるかもしれないのだから…!
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。 |
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