「JOYSOUND MAX 2」開発者に聞く
「ハイレゾカラオケ」で “歌い心地” は本当に良くなるか? 実際に体験してきた
余談だが、公式サイトの「マイク音の応答性がハイレゾ化によって速くなり歌い心地が向上する」という説明については、カラオケというサービスの多様なユーザー層を考えて「かなり噛み砕いた表現にしました」(楯氏)とのこと。
普段からハイレゾ関連の話題に関わることが多い媒体としては「いくらなんでも噛み砕きすぎでは…」と思わなくもないが、初心者層へ特徴をシンプルに訴えたほうがよいという判断だろう。
では、もう一つの「歌い心地」のカギである「力強さ」とはどういうことか。楯氏は量子化ビット数について、従来の16bitよりも密度が濃く滑らかな24bit処理にすることで、歌声の情報がきめ細かくなり、結果として最終的なスピーカーからの歌声が力強く感じられるようになると説明する。「いろいろ実験した結果、ビット数が上がることで、返ってくる声の圧力が体感的に増すことがわかりました」。
またDSPの性能が上がったことはハイレゾを処理できるだけでなく、そのほかの機能向上にもつながっている。「詳細は明かせませんが、音作りの調整値をより細かくチューニングするなどしています」(楯氏)。
取材では従来機と今回の新モデルを比較体験した。実際に歌い比べてみたのが次の動画だ。YouTubeにアップロードしていて、AAC音声に圧縮しているので音そのものの違いは分からないとは思うが、少し歌うだけで「おお、これはたしかに違う!」と実感させられた。(※なお動画では権利関係でパブリックドメインである童謡を歌っているが、一般的なJ-POPでも歌い比べを体験し、同じ感想を得た)
量子化ビット数が24bitになったことで声が滑らかに感じる。そして遅延が小さく音が返ってくることで、自分の歌声を従来よりもモニターしやすくなり、それが歌いやすさにつながる印象だ。自分の声をきちんと聴きながら歌えるというのは、なるほどたしかに気持ちいい。
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