[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域
【第196回】ニッポン放送よっぴー発案 “新しいラジオ”「Hint」をラジオ大好きっ子ライターが使ってみた
またこのラジオにはバッテリーパックも内蔵されており、完全ワイヤレスでの聴取も可能。「無指向&ワイヤレス」となれば、室内での移動の自由度は実に高い。それも実はラジオとして見逃せない優位点だ。電源ケーブルに縛られず部屋の中で一番受信感度がいい場所に置くことができて、そこが部屋の隅だったりしてもそこから心地良い音を届けてくれる。
ラジオ受信というところでは、チューナーの大胆な絞り込みもポイント。FM、ワイドFMのみに対応し、AM受信はできない。ここについては残念に思う方もいるだろう。
ただ、受信性能の高いAMアンテナをこのカタチに収めることはおそらく容易ではない。また東京都心から郊外などでは、高層ビル群などによる遮蔽や住居が鉄筋コンクリート等の条件のせいで、「アンテナ性能が良かろうと、AM放送は基本的にほぼほぼ受信できず……」という場所も少なくない。
そういった現状を考えると、カタチを崩しコストをアップさせてまで、中途半端な性能のAMチューナー/アンテナを搭載してもメリットは薄いという判断なのではないだろうか。実際にそれは妥当な判断と思う。
あと目新しい機能としては「BLEビーコン機能」というのも搭載されている。現時点では実験的な要素でもあり、これのためにこのラジオを買うべき!というような機能ではないが、ご興味のある方は製品公式サイトなどでその内容をチェックしてみてほしい。
製品として見て、例えば「もう少しコンパクトだったら」とか「バッテリー駆動3時間は少し短い」とか、そういった部分ごとの不満がないわけではない。しかしそれらは、使い方によっては気にならないユーザーも多いであろう細かなところだ。
このラジオの魅力。それは、そもそものコンセプトがラジオリスナーにとって「これだよ!」感ありすぎ!なものであること。そしてそのコンセプトを今の時点で可能な限り具現化に成功していることだ。「新しいラジオ」ではある、しかし「ラジオの本質」を見つめ直したものでもあると僕は思う。
そこに共感したラジオリスナーの方々は、まずは「Hintのある生活」を想像してみてほしい。そのときに「思わず近くに置きたくなる」「気配を感じる」予感があったのなら……本気で検討するべきだろう。
高橋敦 TAKAHASHI,Atsushi 趣味も仕事も文章作成。仕事としての文章作成はオーディオ関連が主。他の趣味は読書、音楽鑑賞、アニメ鑑賞、映画鑑賞、エレクトリック・ギターの演奏と整備、猫の溺愛など。趣味を仕事に生かし仕事を趣味に生かして日々活動中。 |
[連載]高橋敦のオーディオ絶対領域 バックナンバーはこちら