AV機能を中心に検証
「iPhone X」自腹購入レビュー。未来を実感したところ、そうではないところ
■カメラは基本的に高画質だが、問題点も
カメラの仕様は、基本的にiPhone 8 Plusと共通の部分が多い。当サイトでは以前、iPhone 8のカメラ機能を検証した。iPhone 8 Plusはさらにリアカメラが2つになり、光学ズームが行える仕様だが、iPhone Xもその仕様を引き継いでいる。
実際に撮影してみる。iPhone 7と画素数は同じだが、より色乗りがよく、記憶色に近づけている印象。またコントラストもくっきりと出してきて、メリハリのある写真が撮れる。
暗部で撮影した画像のノイズの少なさは、iPhone 8でテストした際と同様、驚くべきレベルにある。薄明かりしか無い状態でも、肉眼で見るより鮮やかな写真が撮れ、なおかつノイズがかなり抑えられている。室内や屋外での撮影を頻繁に行う方には嬉しいポイントだろう。
色については、より見た目に近い色合いなのはiPhone 7だと感じるが、「パッと見てきれい」な画作りに今年のモデルからシフトした印象を受ける。写真の画質については、また別途くわしく紹介したい。
ところで、今回テストしている際、中野サンプラザ セミナールームの蛍光灯下で撮影しようとしたら、プレビュー画面で激しくフリッカーとノイズが出るという現象に出会った。詳しくは以下の動画を見てみてほしい。なお、この状態で実際に撮影してみると、静止画にはこのフリッカーは反映されず、正常な写真が撮影できた。
このフリッカーは、同じ条件で撮影したiPhone 7では見られない現象だったため、何らかのバグか、もしくは個体がたまたま壊れていた可能性もある。ほかの蛍光灯下では再現されない場合もあったため、特定の周波数で問題が発生しているわけだが、写真を撮る際にフリッカーとノイズが出まくっていると、かなり不安になるのは確かだ。バグであれば早期に改善して欲しい。
■スピーカーの音質は大きく進化した
本体のスピーカー音質についても確認してみた。iPhone 7もかなり音圧が高く、大きいボリュームが出るスマートフォンだが、iPhone Xはそれを上回るレベルで、最大音量にして近距離で映画を見ると、若干うるさいと感じられるほどだ。
音質も長足の進歩を遂げている。映画でテストしたら、セリフのほぐれが、iPhone Xは非常にハイレベルだ。白人男性俳優の野太い声を再生すると、iPhone 7では平板になって音の分離があいまいだったセリフが、iPhone Xではしっかりと重厚感が表現されて迫力が感じられた。これは明らかな進化点と言って良いだろう。
駆け足でiPhone Xの実力をチェックした。実質的に半日程度しか触っていないため、まだチェックし切れていないポイントは数多い。
総じて、良い部分が非常に多い、完成度のデバイスだと感じる。Face IDや全面フルディスプレイ、それに伴う操作の変更など、アップルが「未来を目指した」ところはしっかり作り込まれている印象だ。一方で温度の上昇、カメラのフリッカーなど、少し不安な要素もある。未来を見るあまり、スマホとしての基本的な部分が若干犠牲になっていないだろうか。
今後も様々な記事を通して、この大きなポテンシャルを秘めた最新デバイスを検証していくつもりだ。