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ハイエンド・ワイヤードイヤホン「SE-9000HR」も同時試聴

圧巻の実力でVGP金賞&コスパ賞! GLIDiCの完全ワイヤレスイヤホン「Sound Air TW-5000」レビュー

公開日 2017/11/24 09:30 高橋 敦
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サウンド/デザインを継承、昇華したフラグシップイヤホン

「SE-9000HR」

一方、「SE-9000HR」は同社ワイヤードイヤホンの新たなハイエンドモデルとして、インナーイヤー型ヘッドホン(1.5万円以上3万円未満)の部でVGP 2018を受賞。従来のトップエンドだった「SE-5000HR」のデザインコンセプトを全く崩すことなく、新たな技術や機能を盛り込むことに成功している。

本機もVGP 2018受賞モデルとなる

技術面としては「Phase Matching Coaxial Driver」を新採用。中低域用ドライバーと高域用ドライバーを同軸に配置することで、2つのドライバーからの音に一体感を与えている。同軸デュアルでは高域側に小型なBAドライバーを採用したハイブリッド構成が多いが、こちらは高域側もダイナミック型というのが面白い。これも音色を揃える狙いからだろうか。

2つのドライバーを同軸上に配置する「Phase Matching Coaxial Driver」技術を採用する

もうひとつ、ぱっと見ではかなりわかりにくいと思うのだが、実はMMCX端子でのリケーブルに新たに対応している。シリーズのデザインの一貫性を崩さずにそれを実現したのが見事だ。ケーブル自体も、構造や導体素材を見直し、音楽信号とマイクリモコン信号を分離したモバイルのために生まれたオーディオブランドならではの独自視点で、通話や曲送りなどの操作ができるリモコンマイク搭載のままで音質を高めてあるという。

ケーブルの断面図。音楽信号とマイク/リモコン信号を分離する「Noiseless Hybrid Wiring」を採用

ケーブルはMMCX端子を採用し、リケーブルに対応

デザインラインの基本は、繰り返し述べてきたようにシリーズのそれを継承。外装の仕上げはブラスト加工を基本としてその上で鏡面加工やダイヤモンドカットをアクセント的に用いた、より落ち着いたものとなっている。さりげない高級感だ。

イヤホンの筐体背面部には鏡面加工やダイヤモンドカットが施されている。リケーブル対応を実現しながらデザインの一貫性を崩していない

一方でサウンドは透明感や広がりに強みを持つSE-5000HRとは雰囲気を変えてきた印象。外観と同じく、より落ち着いたまとまり、そして大人っぽい湿度感の音作りに振ってきたように感じる。

小松未可子『また、はじまりの地図』やペトロールズ『表現』のようなバンドサウンドでは、ギターや声が上にスパンと抜ける感触よりも、ベースやドラムスがドンと下に腰を据える感触の方を強く感じる。スピード感よりもヘヴィなグルーヴを映えさせる音だ。

その上で、声やシンバルでは特に、音の粒子が心地よい湿り気を帯びている。「しっとり感」のある音だ。女性ボーカルを少し大人っぽい雰囲気で聴きたい、なんて好みや気分のときには特に合いそう。シリーズの核を継承し発展させた上で、これまでのモデルとはまた別の音作りにも挑戦しているモデルと言える。

完全ワイヤレスとワイヤードハイエンド。このふたつはイヤホンの世界における対極であり、だからこそどちらも欠かせない両翼でもある。GLIDiCはその両翼を一気に揃えてきたわけだが、その翼はどちらも、実に力強く美しいものだった。

(高橋 敦)

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