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本国の担当者が各技術を徹底解説

【イベントレポ】クアルコム「DDFA/aptX HD」体験会 ー Hi-Fiからワイヤレスまでその技術と音を知る

公開日 2017/12/08 12:18 編集部:小澤貴信
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aptXがこのように多くの場面で採用されていったのは、音の良さが理由だった。ではなぜ、aptXの音は良いのか? aptXはロッシー方式の圧縮だが、聴覚心理を応用して人間が知覚できないとされる音を省いていくMP3などと異なり、その圧縮に聴覚心理を用いていない。aptXはPCM由来のADPCM(適応的差分パルス符号変調)をベースとした技術を用いて圧縮を行うのだが、音の再現性は極めて高いという。この聴覚心理を用いないという点が高音質に加えて、低遅延も可能にしてくれる。

aptXのプレゼンテーションを行うJonny McClintock氏

このような優れた圧縮コーデックをBluetoothによるワイヤレス伝送に用いることで、高音質と低遅延を実現できるというわけだ。実際、aptXはそれを搭載する機器のメーカー、そして市場からも高く評価され、結果としてこれまで25億台のエンコーダー、1億2,000万台のデコーダーが流通したという。

このaptXの上位版として登場したのが、aptX HDだ。aptX HDでは、最大48kHz/24bitのハイレゾ音源をワイヤレス伝送できる。やはりロッシー方式ではあるが、前述の優れた圧縮伝送技術によって24bitの音声を高品位に再現することができる。

オーディオテクニカ「ATH-DSR9BT」とAstell&Kern「AK70 MKII」

ソニー「WH-1000XM2」と「NW-XZ300」

このaptX HDは、プレミアムな製品を中心に、続々と採用例が増えている。具体的な製品については上で述べたとおりだが、ワイヤレス再生が普及するなかで音質への要求がさらに高まっていて、aptX HDがそれに応えていることの証だろう。

プレゼンでMcClintock氏は、aptXおよびaptX HDが音質はもちろんのこと、接続品質についても高いレベルを誇っていることも改めてアピール。クアルコムでは、この接続品質を維持するために対応機器ごとに接続テストを実施しており、それをクリアした製品だけがaptX/aptX HDのロゴを使えるのだという。

McClintock氏はこのaptXの技術に30年にわたって携わっているが、これまでaptXを通じて、長野オリンピックやNHKをはじめとする放送局・業務スタジオなど、日本とも深い関わりを持ってきたという。同氏は「次の30年に向けて、このaptXの魅力を日本のコンシューマーの皆さんに体験していただけるように努力していきたい」と述べイベントを締めくくった。



デジタルフォーマットの変遷やワイヤレスオーディオの隆盛、そしてスマートフォンをはじめとするポータブル機器の普及と、ゼネラルな領域を含むオーディオの世界は急速な進化・変化を遂げている。この中心においてクアルコムは、さらなる利便性の発展のみならず、“音の良さ”にも注力して技術開発を行っている。DDFAやaptX HDは数ある同社の技術やデバイスの中でも、そのサウンドへの取り組みにおける象徴的な技術と言えるだろう。今回のイベントでは、担当者の説明と実際のサウンド体験を通して、それが実感として来場者の方々に伝わったはずだ。

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