本国の担当者が各技術を徹底解説
【イベントレポ】クアルコム「DDFA/aptX HD」体験会 ー Hi-Fiからワイヤレスまでその技術と音を知る
試聴ではクラシック、ジャズ、ロックと異なるジャンルの3曲を再生。PMA-60が805 D3を悠々と鳴らしてしまうことに来場者も驚いていたが、DDFA評価ボードのサウンドもなかなかのもの。鴻池氏はその印象について「曲によって印象が異なるが、いずれもそのサウンドは素晴らしいもので、805 D3をしっかりと鳴らしている」とコメントした。
それぞれの印象については「DDFA評価ボードは『素のまま』ということもあり、よりダイレクトで鮮度感が全面に出る印象を受けたのではないでしょうか。基本的にDDFAだけという構成でここまでの音が鳴るというのに驚かされました。一方でPMA-60については、このPMA-60の優れた素性を活かして、電源や音質パーツ、さらにはAL32によって音質をチューニングすることで、よりアナログライクで音楽的な情緒もより豊かに再現するサウンドに仕立てていると感じました」と語っていた。
■24bit音源をBluetooth伝送する「Qualcomm aptX HD」を紹介
もうひとつのテーマとなったaptXおよびapt X HDについては、クアルコム社のJonny McClintock氏が詳細を説明した。また、会場に最新の対応機器を多数用意。aptXコーデックを用いた高品位なワイヤレスサウンド、さらにはaptX HDによるワイヤレスによるハイレゾ伝送を体験していただいた。
aptXの対応機器は、送り出し側ではポータブルオーディオプレーヤーに加えてスマートフォンでも増加。受け側となるBluetoothヘッドホンについては、最新モデルの多数が採用していると言ってよい状況だろう。普段はスマートフォンで音楽を聴くという一般の方にもますます身近になっている。aptX HDは送り出し側/受け側いずれもハイエンド機器を中心に広がってきたが、この11月からはソニーのウォークマンの一部機種がアップデートで対応。最新のXperiaやAQUOS R、arrows NXなどスマートフォンでの採用例も出てきた。
会場の試聴コーナーには、aptX HDに対応した機器が用意された。送り出し側となるDAPについては、ソニー Walkman「NW-XZ300」「NW-A40」(イベント時点ではaptXのみ対応だったが、その後にaptX HDにアップデート対応)、Astell&Kern「AK70 MK II」「A&Ultima SP1000」を用意。さらにスマートフォンについても、オンキヨー「GRANBEAT」、TRINITY「NuAns NEO Reloaded」を用意した。
受け側となるBluetoothヘッドホンについては、オーディオテクニカ「ATH-DSR9BT」「ATH-DSR7BT」、ソニー「WH-1000XM2」「WH-N900N」、B&W「PX」が用意された。
試聴はイベントの前後に実施。これだけの種類のaptX HD対応機器が一同にそろい、自由に組み合わせて楽しめる機会は貴重ということもあり、来場されたみなさんはそれぞれ様々な組み合わせでaptX HDの音を体験していた。また、aptX HDの音を聴くのは初めてという方も多く、ワイヤレスなのに有線と遜色ない音が楽しめるという驚きの声も聞くことができた。
■クアルコム担当者がaptXおよびaptX HDの技術背景を解説
Jonny McClintock氏はプレゼンテーションで、aptXの成り立ちと技術背景について紹介した。こちらについても鴻池氏が同じタイミングで詳しくインタビューを行っているので、こちらの記事もぜひ参照してほしい。
イベントではまず、aptXの歴史的な背景を紹介。aptXは1980年代に英国クイーンズ大学で誕生した音声圧縮技術で、その優れた音質から放送業界や業務用スタジオを中心に幅広く採用されていった。aptXの代表的な採用例が「DTS」。ホームシアターファンを驚かせた『ジュラシックパーク』の5.1chディスクリートサウンドはDTSによるものだが、これを実現したのもaptXの音声圧縮技術なのである。