「EZ1000」から画質と音質を共に向上
<CES>パナソニックの最新4K有機ELテレビをレビュー。HDR10+の効果も体験
■パナソニックの4K有機ELテレビ2018年モデルを速攻チェック
パナソニックは2018 International CESにて、欧州向けに6月より発売される4K有機ELテレビの最新モデル「TX-65FZ950」「TX-55FZ950」、「TX-65FZ800」「TX-55FZ800」を出展した(関連ニュース)。
これら最新モデルは、20世紀フォックス、パナソニック、サムスンの3社が共同で推進する「HDR10+」に対応している(関連ニュース)。同技術による画質向上と合わせて、ブース内で観たファーストインプレッションをお届けしよう。
パナソニックが欧州向けに発売する65/55型の有機ELテレビ「FZ950シリーズ」と「FZ800シリーズ」は、日本国内で2017年モデルとして販売中の“VIERA”「EZ1000」「EZ950」の後継にあたるモデル。
搭載パネルは、同社は公言していないが引き続きLGディスプレイ製で、2018年版の最新有機ELパネルを採用。輝度性能は引き続き最大1,000nitで、パネルによる画質変化は2017年モデルと比べてもマイナーチェンジの水準。EZ1000はハリウッドにマスターモニターと並べる形で導入されるなど黒レベルのコントロールが評価されているが、漆黒表現は2018年モデルも最高レベルで継承している。
FZ950の画質向上の最大のポイントとなるのが、色表現を最適化する「3Dルックアップテーブル」を明るめのシーンと暗めのシーンで2回路搭載したことだ。映像信号の輝度に応じて最適な画質になるよう自動的に切り替える仕様となり、ルックアップテーブルの認識点を昨年比1.6倍に増やし、特に中間より少し上程度の輝度で画質を向上させている。
実際に2017年モデルのEZ1000と2018年モデルのFZ950の画質をデモソースで見比べてみると、砂浜を撮影したデモ映像では中輝度域となる砂の粒子感が画面全体にわたって向上。ひと目で分かるほどの効果で、中域のフォーカス感が一段上がる印象だ。
サバンナのヒョウを撮影したデモ映像では、ヒョウの体の立体感が増し、地面に生える草もよりシャープに表現される。色の正確さもよりいっそう向上し、中間階調のコントラスト感が高まって画にさらなる深みが得られる。特に中間階調の表現については、FZ950の画質をひと目観てしまうと現行のEZ1000があと一歩と思えてしまうほど。なお、FZ950の画質向上については、映像信号に対するシャープネスなどの信号処理は一切行われておらず、表示特性の改善のみの効果とのこと。パナソニックの原画再現を突き詰めた結果というわけだ。
ブースでは『キングスマン:ゴールデン・サークル』のトレーラーを用いた映画ソースも表示されていたが、暗闇のバックから画面全体にオブジェクトが飛び散るシーン、また画面全体がフラッシュするシーンと難易度の高いシーンも正確に表現していた。なおFZ950とFZ800の表現については、パネルコーティングも含めて全く同じとのこと。
またFZ950に搭載されている「Tuned by Technics」のバー型スピーカーも、ユニット口径の大型化など内部から新規設計され、特に音の表現の余裕とでも呼ぶべき形で音質の向上を確認できた。
HDR10+のメタデータ配信の画質デモは、液晶テレビを用いた比較だ。最大輝度550nitの液晶テレビを用いて現行のHDR10とHDR10+を比較したデモだが、有機ELの画質改善ポイントと同じく、砂浜を撮影した映像では砂の質感の表現のキメ細かさ、そして花の筋の表現といった中間階調のディテールを向上させている。
HDR10+はシーン単位でメタデータを配信できることから、シーンに応じた適切なトーンマッピングで表示ポテンシャルをすべて使い切れることが画質向上につながる。このため、表示可能な輝度が550nit程度というミドルクラスのテレビでも、HDRの表示が暗くなるという弱点が解消されることが一番のメリットになる。
もちろん、コンテンツの意図する最大輝度情報が事前に分かることは上位モデルでも有用で、今回はデモ上映はなかったが「Ultra HD Premium認証のモデルにも高画質化の恩恵がある」(柏木氏)とのこと。また、HDR10+のメタデータはUltra HD Blu-ray(UHD BD)に収録のものでわずか12kbpsしかなく、データ量に対して非常にパフォーマンスの良い画質向上と言える。すでにAmazon Prime VideoがHDR10+での映像配信を表明しており、FZ950日本版モデル発売後は、日本でも視聴できる期待大だ。
パナソニックのブース内には新UHD BDプレーヤーの「DP-UB820」「DP-UB420」「DP-UB330/320」が展示さ。DP-UB820とDP-UB420はHDR10+対応、DP-UB820はさらにドルビービジョンにも対応している(関連ニュース)。2018年も最高画質を追及するなら、パナソニックの有機ELと、UHD BDプレーヤーのお世話になる機会の多い1年となりそうだ。
(折原一也)
パナソニックは2018 International CESにて、欧州向けに6月より発売される4K有機ELテレビの最新モデル「TX-65FZ950」「TX-55FZ950」、「TX-65FZ800」「TX-55FZ800」を出展した(関連ニュース)。
これら最新モデルは、20世紀フォックス、パナソニック、サムスンの3社が共同で推進する「HDR10+」に対応している(関連ニュース)。同技術による画質向上と合わせて、ブース内で観たファーストインプレッションをお届けしよう。
パナソニックが欧州向けに発売する65/55型の有機ELテレビ「FZ950シリーズ」と「FZ800シリーズ」は、日本国内で2017年モデルとして販売中の“VIERA”「EZ1000」「EZ950」の後継にあたるモデル。
搭載パネルは、同社は公言していないが引き続きLGディスプレイ製で、2018年版の最新有機ELパネルを採用。輝度性能は引き続き最大1,000nitで、パネルによる画質変化は2017年モデルと比べてもマイナーチェンジの水準。EZ1000はハリウッドにマスターモニターと並べる形で導入されるなど黒レベルのコントロールが評価されているが、漆黒表現は2018年モデルも最高レベルで継承している。
FZ950の画質向上の最大のポイントとなるのが、色表現を最適化する「3Dルックアップテーブル」を明るめのシーンと暗めのシーンで2回路搭載したことだ。映像信号の輝度に応じて最適な画質になるよう自動的に切り替える仕様となり、ルックアップテーブルの認識点を昨年比1.6倍に増やし、特に中間より少し上程度の輝度で画質を向上させている。
実際に2017年モデルのEZ1000と2018年モデルのFZ950の画質をデモソースで見比べてみると、砂浜を撮影したデモ映像では中輝度域となる砂の粒子感が画面全体にわたって向上。ひと目で分かるほどの効果で、中域のフォーカス感が一段上がる印象だ。
サバンナのヒョウを撮影したデモ映像では、ヒョウの体の立体感が増し、地面に生える草もよりシャープに表現される。色の正確さもよりいっそう向上し、中間階調のコントラスト感が高まって画にさらなる深みが得られる。特に中間階調の表現については、FZ950の画質をひと目観てしまうと現行のEZ1000があと一歩と思えてしまうほど。なお、FZ950の画質向上については、映像信号に対するシャープネスなどの信号処理は一切行われておらず、表示特性の改善のみの効果とのこと。パナソニックの原画再現を突き詰めた結果というわけだ。
ブースでは『キングスマン:ゴールデン・サークル』のトレーラーを用いた映画ソースも表示されていたが、暗闇のバックから画面全体にオブジェクトが飛び散るシーン、また画面全体がフラッシュするシーンと難易度の高いシーンも正確に表現していた。なおFZ950とFZ800の表現については、パネルコーティングも含めて全く同じとのこと。
またFZ950に搭載されている「Tuned by Technics」のバー型スピーカーも、ユニット口径の大型化など内部から新規設計され、特に音の表現の余裕とでも呼ぶべき形で音質の向上を確認できた。
HDR10+のメタデータ配信の画質デモは、液晶テレビを用いた比較だ。最大輝度550nitの液晶テレビを用いて現行のHDR10とHDR10+を比較したデモだが、有機ELの画質改善ポイントと同じく、砂浜を撮影した映像では砂の質感の表現のキメ細かさ、そして花の筋の表現といった中間階調のディテールを向上させている。
HDR10+はシーン単位でメタデータを配信できることから、シーンに応じた適切なトーンマッピングで表示ポテンシャルをすべて使い切れることが画質向上につながる。このため、表示可能な輝度が550nit程度というミドルクラスのテレビでも、HDRの表示が暗くなるという弱点が解消されることが一番のメリットになる。
もちろん、コンテンツの意図する最大輝度情報が事前に分かることは上位モデルでも有用で、今回はデモ上映はなかったが「Ultra HD Premium認証のモデルにも高画質化の恩恵がある」(柏木氏)とのこと。また、HDR10+のメタデータはUltra HD Blu-ray(UHD BD)に収録のものでわずか12kbpsしかなく、データ量に対して非常にパフォーマンスの良い画質向上と言える。すでにAmazon Prime VideoがHDR10+での映像配信を表明しており、FZ950日本版モデル発売後は、日本でも視聴できる期待大だ。
パナソニックのブース内には新UHD BDプレーヤーの「DP-UB820」「DP-UB420」「DP-UB330/320」が展示さ。DP-UB820とDP-UB420はHDR10+対応、DP-UB820はさらにドルビービジョンにも対応している(関連ニュース)。2018年も最高画質を追及するなら、パナソニックの有機ELと、UHD BDプレーヤーのお世話になる機会の多い1年となりそうだ。
(折原一也)