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従来モデルから様々な点が進化

AKG「N5005」速攻レビュー。欠点が見当たらない完璧な進化、理想のフラグシップが誕生

公開日 2018/03/16 13:00 岩井 喬
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まさにフラグシップたる格上のサウンド

早速そのサウンドを確認すべく、Astell&Kern「SP1000」に繋いで聴いてみた。リモコン付きシングルエンド接続ケーブル、メカニカル・チューニング・フィルターは標準仕様のREFERENCE SOUND、イヤーチップも通常のシリコン製のものを装着。

4種類のメカニカル・チューニング・フィルターを付け替えられる

K3003を初めて聴いたときにも感じられた、奥行きも感じられるような音場の広大さ、ヌケ良く爽やかなサウンド性を本機でも実感できた。ダイナミック型ドライバー由来の密度良く伸びやかな低域の豊かさ、さらに強化されたBA型ドライバー構成がもたらす、高域方向の情報量の多さはK3003以上の世界観で、その表現力に一層磨きがかかっている。

ヘッドホン級のリッチさとイヤホンならではの緻密で高解像度な描写性を兼ね備えた、まさにフラグシップたる格上のサウンドだ。オーケストラはアタックをキレ良く聴かせながらも、余韻をふくよかに伸び良く表現し、潤い良く艶やか。ボーカルの質感も自然なボトム感と口元のウェットな輪郭がバランス良くまとめられ、分離の良い音像となる。

ホーンセクションやシンバルといった高域の輝き感がポイントとなる楽器については粒立ち細かく丁寧にアタック感を引き出す。奥まった場所に定位する楽器の位置感も正確であり、音場の再現度、S/N感も高い。

イヤーチップをSpinFitに交換すると中低域の厚みが整理され、よりアタック感を重視した階調性の高い澄み切ったサウンドとなる。オーケストラの管弦楽器は旋律を艶ハリ良く上品にまとめ、クリアかつ爽快に表現。重心は低く安定し、ボーカルも引き締まってスッキリと描く。音場感も自然で落ち着き良く躍動感がある。

DSD音源では音像の立体感や楽器の鮮やかさ、余韻の分離感の高さも際立っており、11.2MHz音源における付帯感なく切れ味良い、リアルな描写力に繋がっているようだ。音像定位もフォーカス良くまとめ、ニュアンスの細かい質感描写と澄み切った音場が印象的である。

ここでメカニカル・チューニング・フィルターを交換し、その違いも確認してみたが、BASS BOOSTではキックドラムやベースの密度が増し、落ち着き良く重厚なリズム隊を形成。低域の量感が増えるというよりも、より伸びやかさが増し、音像に厚みを生む方向に作用する。低域方向のゆとりが生まれ、シンバルの響きの清々しさなど、より高域の輝き感が対照的に感じられるようになった。

MID HIGH BOOSTにおいては弦楽器やボーカル、ピアノなど、各楽器の密度感やアタックのエナジーが増し、音像そのものの存在感が強調されるようになる。低域のダンピング良く伸びやかな質感もナチュラルにまとめ、高域方向の倍音表現も潤い良く伸びやかだ。ボーカルの口元は厚み感を自然に表現し、ヌケ良くスムーズに浮き立たせている。

HIGH BOOSTではホーンセクションやシンバルの響き、ピアノの硬質なアタック感をブライトに際立たせる印象で、全体的にクリアで締まりあるサウンドだ。しゃきっとしてエッジの利いたエレキギターのリフ、ウッドベースの弦のたわみ感など、中低域方向に特徴のある楽器のアタック感もクールに引き立たせている。

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