“α”シリーズの新スタンダード
ぶっちぎりで高性能! ソニー「α7 III」は “あえて初心者に薦めたい” フルサイズミラーレスだ
夜間の作例をもう1枚。今度はSEL1635Zを使って“逆さスカイツリー”の撮影に挑戦だ。今回の作例は全てJPEG撮って出し(Dレンジオプティマイザーはオート)だが、α7 IIIの画作りはリファレンス調だと感じる。特に発色に関してはRX1のような「ハマれば強力」といった個性的なものではなく、ソニーっぽさを残しつつも、かなりニュートラルな方向だ。特にα7 IIから進化しているのが、オート・ホワイトバランスの精度で、変な方向に色が引っ張られることもなく、よほど複雑な光源でない限りはオートで大丈夫そうだ。
ところが皮肉なことに、α7 IIIの正確さがアダとなって、オートのままではスカイツリーのブルーが地味に感じられてしまう。本物をご存知の方なら分かると思うが、スカイツリーのライトアップは意外に地味なのだ。634mもあるタワーが派手派手しかったら目障りである。でも写真なのだから多少の見栄えが欲しくなるのも人情。そこでホワイトバランスをオートから「温白色蛍光灯」に変えてみると、これだけで印象的なブルーになった。ビビッドな色になっても飽和せず、透明感が失われていないのが素晴らしい。
この写真は三脚に乗せて撮っているので、せっかくだから(?)デジタルカメラのレビューらしく、高感度ノイズのテストをしよう。筆者の感覚では、ISO 3200くらいまでは高感度ノイズリダクション「切」で全く問題無いと感じた。なので、おそらく判断の分かれ目になるであろう、ISO 6400で検証してみる。
まずは「切」。引きで観る分にはあまり気にならないが、等倍に拡大すると確かに暗部ノイズは見える。それではα7 IIIのデフォルト設定である「標準」ではどうか。こちらは等倍でもノイズレス。というより、ちょっとノイズリダクションが強すぎる気がする。しかしスカイツリーのディテールはそれほど溶けていないので、これはこれで狙った画作りなのだろう。「弱」にすると3枚の中ではどっちつかずな印象にはなるが、これ1枚で見ればバランスは取れている。
α7 IIIはISO 51200(拡張時は204800)まで設定可能だが、鑑賞に耐えられるという意味では、ISO 25600くらいが上限だと思う。と、簡単に書いてしまったが「にまんごせんろっぴゃく」ですぞ。まずは「切」だが、流石にノイジーでこれではちょっとツライ。しかし「標準」にすると印象が一変。いやぁ、これなら使えますよ。等倍で見ればディテールも溶けてはいるのだが、一昔前のISO 6400くらいの画は出ちゃっている感じだ。
なお、この時のシャッタースピードは絞りがF11だったこともあって1/10秒。これはα7 IIIのボディ内手ブレ補正があれば、手持ちでも余裕でイケちゃう数字なのだ。この間までα7Sやα7S IIでなければ撮れなかった写真が、今年はスタンダード機でも撮れてしまう。αシリーズ、本当に凄いことになっている。