“α”シリーズの新スタンダード
ぶっちぎりで高性能! ソニー「α7 III」は “あえて初心者に薦めたい” フルサイズミラーレスだ
では作例に戻ろう。α7 IIIの武器と言えば、α9譲りのAF性能と約10コマ/秒の連写性能だ。AFと連写…そうだ、新幹線を撮りに行こう!というわけでやって来たのは、都内某所の有名撮影スポット。そこには平日だと言うのに、缶ビールを飲みながらバズーカ砲のような超望遠レンズを構えるオジサンと、α7 IIに400mmの望遠レンズを付けた撮り鉄な若者が、既にバシャバシャと撮影している。
しかし筆者はガチの新幹線撮影は初めて。撮影スポットといっても構図的にはほとんど固定に近く、こちらの装備は70 - 200mmのみ。とりあえずレンズを目一杯伸ばして、連写モード+コンティニュアスAFモードでシャッターを押しっぱなしにしてみた。
いや、イイんじゃない?初めてでコレですよ?ビックリしたのはコンティニュアス(動体)AFの精度。新幹線が通るたびに10 - 20枚くらい連写したのだが、コマ送りで確認すると9割5分以上の確率で新幹線のフロントにピントが合っている。もはや自分が鉄道写真家になったのではないかと錯覚するレベルだ(実際には初心者がシャッターを押しているだけ)。
ちなみに、事前にインターネットで調べたところによると、新幹線が最も美しく光輝く時間帯は夕暮れ時なのだという。そこで陽が落ちてくるまで、近くの多摩川へスナップを撮りに行くことにした。レンズはSEL55F18Z、絞りはもちろん開放だ。大きく美しいボケこそスマートフォンには撮れない世界である。
筆者が考えるフルサイズ機の魅力。それは被写体と背景ボケの間にある距離感である。もちろんAPS-C機やマイクロフォーサーズ機でも、明るいレンズを使えば大きなボケは得られるのだが、被写体の後ろにすぐ背景があるように感じられて、画面全体が平面的に見えてしまう。
F1.8は特別明るいレンズというわけでもないが、この被写体が浮き立つような立体感と、エアボリュームの豊かさはフルサイズ機ならではの世界だと思う。2420万画素というのも良い。筆者は視力2.0だが、等倍にした時に見えるものが肉眼で見ている世界に近いのだ。4240万画素では肉眼を超えていて、それはそれで凄い世界なのだが、私はRX1の頃から、この6000×4000というキリの良い数字が好きなのである。
しまった。お散歩に来ていたワンコ(ニシキ君・4ヶ月)と遊んでいたら、夕暮れどころか、すっかり真っ暗になってしまったではないか。流石に新幹線撮影はもう無理かなと思ったが、帰る道すがら、ダメ元でさっきの場所に立ち寄ってみることにした。その結果がこちら。
コンティニュアスAFの精度、全然落ちない。恐るべし。