【特別企画】クロックケーブルはTEAC最新クロックと検証
理論が裏付ける伝送性能 ー サエクのデジタルケーブル「DIG-4000Mk2」を聴く。クロック用「DIG-T50」も
■高い空間表現力で臨場感たっぷりなサウンドの「DIG-T50」
続いてクロック用のBNCケーブル「DIG-T50」を試す。こちらは10MHz正弦波出力に最適化したクロック用デジタルケーブルだ。比誘電率を下げ伝送速度を高めるためにEPTFE(ジュンフロン)を絶縁体に採用。さらにインピーダンスを50Ωに揃えたことで電動ロスや波形歪みの発生を抑える設計思想を持つ。
中心導体は高純度の銀メッキ銅線を採用し、一次外部導体には密度90%以上の銀メッキ銅線を採用。さらに二次外部導体に半導電層を設けた新設計の構造を持つというケーブルだ。
アンプとスピーカーは同一で、ソース機器にTEACのネットワークプレーヤー「NT-505」(実売¥168,000前後)を用い、同社のマスタークロックジェネレーター「CG-10M」(実売¥148,000前後)を結ぶケーブルとして試した。
これまでクロックジェネレーターというと高価な製品が多かったが、今回取り上げるティアック「CG-10M」は実売約15万円とかなりお手頃だ。一方で、ミドルクラス以下のプレーヤーでクロック入力を備えるモデルも増えている。今後、マスタークロックを導入して音質をアップさせることはより身近になると思う。
ちなみに本ケーブルは先に聴いたDIG-4000Mk2と違い、外観は非常にシンプル。同社曰く、DIG-T50はできるだけコストを抑えたとのこと。やはり、昨今モデル数が増えた手頃なクロックジェネレーターとの組み合わせを想定しているという。
試聴楽曲は全てハイレゾ音源を使用する。ポップスは、テイラー・スウィフト『レピュテーション』。ジャズボーカルは、メロディ・ガルドーのライヴ・アルバム『ライヴ・イン・ヨーロッパ』。クラシックはグラミーショーで、最優秀オーケストラ・パフォーマンス賞を受賞した注目作である、マンフレート・ホーネック『ショスタコーヴィチ:交響曲第5番「革命」』だ。
まずは標準的な同種のケーブルで聴き、次にDIG-T50に付け替えた。経験上、クロックケーブルの変更は音に大きく効いてくるので楽しみだったが、こちらも予想以上の音質向上効果を感じることができた。
まずDIG-T50の長所の総評を話しておきたい。DIG-T50にケーブルを変えると、ポップスでもクラシックでも空間表現力が大幅に向上する。もちろん、トーンバランスなど音色は変わらないのだが、音の粒立ちが良くなり聴感上の抜けの良さが向上する。
テイラー・スウィフト『レピュテーション』では、一音一音のフォーカスが良くなり、バックミュージックに対してボーカルがより明瞭に浮かび上がる。音像の立体感が増すのだ。マンフレート・ホーネックのショスタコーヴィチでは、オーケストラの天井高や奥行きなどサウンドステージの立体感が向上し、各楽器の配置も明瞭に描かれる。メロディ・ガルドーは、ライブ盤のため演奏以外に会場の音など暗騒音も多く入っているのだが、それらの微小な音さえも生々しく聴こえる。細部の情報量まで掘り起こしてくれるようなイメージだ。
◇
サエクは高い伝送速度と安定性というデジタルケーブルに求められる要素に対して、理論的かつ正攻法のアプローチを取った。
同軸デジタルケーブルであるDIG-4000Mk2は、今や貴重な存在のPCOCC-A導体を採用した上、伝送特性をあげる絶縁材と構造によって聴感上の高い情報量と上下の周波数レンジの向上を聴くことができた。昨今、同軸デジタルケーブルはネットワークオーディオ等で使用シーンが広がっていることもあり、改めて注目したい。
DIG-T50は無駄な装飾を廃した質実剛健なケーブルで、コストパフォーマンスが高い。今回のティアックの製品との組み合わせでは、特に空間表現力を大きく向上させてくれた。ケーブル交換の効果は想像以上に大きいので、ぜひ試していただきたい。
また、両ケーブルともトーンバランスに不自然な変化を及ぼすようなネガティブな要素もなく、使用するオーディオ機器のクオリティを確実に底上げする印象だ。リファレンスとして使用できる、総合力に長けたケーブルと言える。
(土方久明)
特別企画 協力:サエクコーマス
続いてクロック用のBNCケーブル「DIG-T50」を試す。こちらは10MHz正弦波出力に最適化したクロック用デジタルケーブルだ。比誘電率を下げ伝送速度を高めるためにEPTFE(ジュンフロン)を絶縁体に採用。さらにインピーダンスを50Ωに揃えたことで電動ロスや波形歪みの発生を抑える設計思想を持つ。
中心導体は高純度の銀メッキ銅線を採用し、一次外部導体には密度90%以上の銀メッキ銅線を採用。さらに二次外部導体に半導電層を設けた新設計の構造を持つというケーブルだ。
アンプとスピーカーは同一で、ソース機器にTEACのネットワークプレーヤー「NT-505」(実売¥168,000前後)を用い、同社のマスタークロックジェネレーター「CG-10M」(実売¥148,000前後)を結ぶケーブルとして試した。
これまでクロックジェネレーターというと高価な製品が多かったが、今回取り上げるティアック「CG-10M」は実売約15万円とかなりお手頃だ。一方で、ミドルクラス以下のプレーヤーでクロック入力を備えるモデルも増えている。今後、マスタークロックを導入して音質をアップさせることはより身近になると思う。
ちなみに本ケーブルは先に聴いたDIG-4000Mk2と違い、外観は非常にシンプル。同社曰く、DIG-T50はできるだけコストを抑えたとのこと。やはり、昨今モデル数が増えた手頃なクロックジェネレーターとの組み合わせを想定しているという。
試聴楽曲は全てハイレゾ音源を使用する。ポップスは、テイラー・スウィフト『レピュテーション』。ジャズボーカルは、メロディ・ガルドーのライヴ・アルバム『ライヴ・イン・ヨーロッパ』。クラシックはグラミーショーで、最優秀オーケストラ・パフォーマンス賞を受賞した注目作である、マンフレート・ホーネック『ショスタコーヴィチ:交響曲第5番「革命」』だ。
まずは標準的な同種のケーブルで聴き、次にDIG-T50に付け替えた。経験上、クロックケーブルの変更は音に大きく効いてくるので楽しみだったが、こちらも予想以上の音質向上効果を感じることができた。
まずDIG-T50の長所の総評を話しておきたい。DIG-T50にケーブルを変えると、ポップスでもクラシックでも空間表現力が大幅に向上する。もちろん、トーンバランスなど音色は変わらないのだが、音の粒立ちが良くなり聴感上の抜けの良さが向上する。
テイラー・スウィフト『レピュテーション』では、一音一音のフォーカスが良くなり、バックミュージックに対してボーカルがより明瞭に浮かび上がる。音像の立体感が増すのだ。マンフレート・ホーネックのショスタコーヴィチでは、オーケストラの天井高や奥行きなどサウンドステージの立体感が向上し、各楽器の配置も明瞭に描かれる。メロディ・ガルドーは、ライブ盤のため演奏以外に会場の音など暗騒音も多く入っているのだが、それらの微小な音さえも生々しく聴こえる。細部の情報量まで掘り起こしてくれるようなイメージだ。
サエクは高い伝送速度と安定性というデジタルケーブルに求められる要素に対して、理論的かつ正攻法のアプローチを取った。
同軸デジタルケーブルであるDIG-4000Mk2は、今や貴重な存在のPCOCC-A導体を採用した上、伝送特性をあげる絶縁材と構造によって聴感上の高い情報量と上下の周波数レンジの向上を聴くことができた。昨今、同軸デジタルケーブルはネットワークオーディオ等で使用シーンが広がっていることもあり、改めて注目したい。
DIG-T50は無駄な装飾を廃した質実剛健なケーブルで、コストパフォーマンスが高い。今回のティアックの製品との組み合わせでは、特に空間表現力を大きく向上させてくれた。ケーブル交換の効果は想像以上に大きいので、ぜひ試していただきたい。
また、両ケーブルともトーンバランスに不自然な変化を及ぼすようなネガティブな要素もなく、使用するオーディオ機器のクオリティを確実に底上げする印象だ。リファレンスとして使用できる、総合力に長けたケーブルと言える。
(土方久明)
特別企画 協力:サエクコーマス