【特別企画】フラグシップの実力を検証
サエク“STRATOSPHERE”「DIG-1/BNC-1」を試す − PC-TripleC/EX採用の最高峰デジタルケーブル
サエクのオーディオケーブルのフラグシップ“STRATOSPHERE(ストラトスフィア)”に、デジタルケーブル「DIG-1」「BNC-1」が加わった。アナログケーブルでもその性能を知らしめてきたSTRATOSPHEREは、デジタル伝送においてはどのような音楽再生を実現するのか。山之内正氏がレポートする。
■同軸仕様の「DIG-1」とBNC仕様の「BNC-1」が登場
サエクの最上位シリーズには成層圏を意味する「STRATOSPHERE」という特別な名称が与えられている。同シリーズにはPC-TripleC/EXを採用したトップエンドのラインケーブルとしてSL-1とXR-1がすでに発売されているが、そこにデジタルケーブルが加わることになった。別格ともいうべき優れた導通性能を有するPC-TripleC/EX導体がデジタル伝送ではどんな利点を発揮するのか、大変に興味深い。早速筆者の試聴室で検証することにした。
ラインナップは同軸仕様のDIG-1とBNC仕様のBNC-1の2製品。いずれも長さは0.7m、1m、1.5mの3種類が基本だが、0.5m単位でその他の長さにも特注で対応する。同軸ケーブルはトランスポートとDAC間のデジタル信号伝送、BNCケーブルはクロックジェネレーターとデジタルプレーヤー間でクロック信号の伝送に用いることが一般的なので、ケーブルを長く引き回すことは少ないはずだが、必要とあれば長尺にも対応するので安心できる。
中心導体にはPC-TripleC/EX単線を採用し、シールドはPC-TripleC導体の編組と銅箔テープの二重構成でノイズ対策を徹底。PC-TripleC/EXはPC-TripleCのまわりに5N銀を配置した特殊な構造によって伝送ロスを最小に抑えていることが特徴で、表皮効果の影響を受けにくいなど、高周波成分を多く含むデジタル信号でも大きなメリットが期待できる。
金メッキを施した独自設計のプラグはDIG-1、BNC-1どちらも仕上げの精度が高く、トップエンドのケーブルにふさわしい。シースは制振効果を発揮するポリオレフィン製、「STRATOSPHERE」の文字が目を引くが、ケーブルの外見は落ち着いたブラックで統一されている。
■DIG-1を聴く − 立ち上がりのスピードが速くなりにじみのない音を聴かせてくれる
最初にOPPOのユニバーサルプレーヤー「UDP-205」をエソテリック「K-01X」のDAC部へDIG-1でつなぎ、CDの再生音を聴く。最新仕様にアップグレードしたK-01Xを高品位なD/Aコンバーターとして活用することで、UDP-205のグレードアップを図ることが狙いだ。UDP-205もES9038PROで構成した高性能なD/A変換回路を内蔵するが、K-01XS相当にアップグレードしたK-01XはAK4497をチャンネルあたり8回路用いて高精度なD/A変換を行うなど、ハイエンド機ならではの贅沢な回路が自慢だ。
手元にあった同軸デジタルケーブルをUDP-205につないで実際にK-01X経由でCDの音を聴いてみると、ディテール描写や空間再現の深さなど、いくつか確実な改善効果を聴き取ることができた。その効果をDIG-1はどこまで深めることができるのだろうか。試聴した結果を具体的に紹介しよう。
ガラティの『シェイズ・オブ・サウンド』は3つの楽器の位置関係が立体的に浮かぶアコースティックな空間描写が聴きどころだ。ピアノ、ドラム、ベースそれぞれの音像に3次元の広がりがあり、しかも互いの響きが空中でぶつかり、溶け合う様子まで鮮明に描き出している。ケーブルを変えた効果は一音一音の勢いと立ち上がりのスピードに現れ、DIG-1で聴くと音が進む速さがわかるほど生々しくなった。たとえば、シンバルにスティックが当たるポイントが鋭いフォーカスで定まり、時間的なにじみもない。
ピアノは旋律がなめらかにつながるが、リズムにアクセントを刻む高音は輝きのある強い音で耳にダイレクトに届く。見通しの良い録音ということは前からわかっていたが、DIG-1を用いたデジタル接続であらためて聴くと、ミュージシャンと聴き手の間に介在していた余分なものが一掃されたような見通しの良さが実感できる。
ネルソンス指揮ボストン交響楽団によるショスタコーヴィチの交響曲第4番でも低音楽器と金管楽器のアタックの力強さが際立ち、鋭角的なリズムの特徴が浮かび上がってきた。この演奏と録音のアプローチは、オーケストラの量感やスケール感を低音の重さや太さだけで引き出すのではなく、素早く立ち上がる音の勢いと余韻の広がりで表現することを狙っているようだが、その意図を再生音から自然に聴き取ることができる。
各パートのセパレーションの高さやソロ楽器のにじみのない音像も特筆に値するが、そうした空間的な分解能の高さだけでなく、一音一音の輪郭と立ち上がりの波形が曖昧にならない時間的な精度の高さにも注目すべきだろう。
■同軸仕様の「DIG-1」とBNC仕様の「BNC-1」が登場
サエクの最上位シリーズには成層圏を意味する「STRATOSPHERE」という特別な名称が与えられている。同シリーズにはPC-TripleC/EXを採用したトップエンドのラインケーブルとしてSL-1とXR-1がすでに発売されているが、そこにデジタルケーブルが加わることになった。別格ともいうべき優れた導通性能を有するPC-TripleC/EX導体がデジタル伝送ではどんな利点を発揮するのか、大変に興味深い。早速筆者の試聴室で検証することにした。
ラインナップは同軸仕様のDIG-1とBNC仕様のBNC-1の2製品。いずれも長さは0.7m、1m、1.5mの3種類が基本だが、0.5m単位でその他の長さにも特注で対応する。同軸ケーブルはトランスポートとDAC間のデジタル信号伝送、BNCケーブルはクロックジェネレーターとデジタルプレーヤー間でクロック信号の伝送に用いることが一般的なので、ケーブルを長く引き回すことは少ないはずだが、必要とあれば長尺にも対応するので安心できる。
中心導体にはPC-TripleC/EX単線を採用し、シールドはPC-TripleC導体の編組と銅箔テープの二重構成でノイズ対策を徹底。PC-TripleC/EXはPC-TripleCのまわりに5N銀を配置した特殊な構造によって伝送ロスを最小に抑えていることが特徴で、表皮効果の影響を受けにくいなど、高周波成分を多く含むデジタル信号でも大きなメリットが期待できる。
金メッキを施した独自設計のプラグはDIG-1、BNC-1どちらも仕上げの精度が高く、トップエンドのケーブルにふさわしい。シースは制振効果を発揮するポリオレフィン製、「STRATOSPHERE」の文字が目を引くが、ケーブルの外見は落ち着いたブラックで統一されている。
■DIG-1を聴く − 立ち上がりのスピードが速くなりにじみのない音を聴かせてくれる
最初にOPPOのユニバーサルプレーヤー「UDP-205」をエソテリック「K-01X」のDAC部へDIG-1でつなぎ、CDの再生音を聴く。最新仕様にアップグレードしたK-01Xを高品位なD/Aコンバーターとして活用することで、UDP-205のグレードアップを図ることが狙いだ。UDP-205もES9038PROで構成した高性能なD/A変換回路を内蔵するが、K-01XS相当にアップグレードしたK-01XはAK4497をチャンネルあたり8回路用いて高精度なD/A変換を行うなど、ハイエンド機ならではの贅沢な回路が自慢だ。
手元にあった同軸デジタルケーブルをUDP-205につないで実際にK-01X経由でCDの音を聴いてみると、ディテール描写や空間再現の深さなど、いくつか確実な改善効果を聴き取ることができた。その効果をDIG-1はどこまで深めることができるのだろうか。試聴した結果を具体的に紹介しよう。
ガラティの『シェイズ・オブ・サウンド』は3つの楽器の位置関係が立体的に浮かぶアコースティックな空間描写が聴きどころだ。ピアノ、ドラム、ベースそれぞれの音像に3次元の広がりがあり、しかも互いの響きが空中でぶつかり、溶け合う様子まで鮮明に描き出している。ケーブルを変えた効果は一音一音の勢いと立ち上がりのスピードに現れ、DIG-1で聴くと音が進む速さがわかるほど生々しくなった。たとえば、シンバルにスティックが当たるポイントが鋭いフォーカスで定まり、時間的なにじみもない。
ピアノは旋律がなめらかにつながるが、リズムにアクセントを刻む高音は輝きのある強い音で耳にダイレクトに届く。見通しの良い録音ということは前からわかっていたが、DIG-1を用いたデジタル接続であらためて聴くと、ミュージシャンと聴き手の間に介在していた余分なものが一掃されたような見通しの良さが実感できる。
ネルソンス指揮ボストン交響楽団によるショスタコーヴィチの交響曲第4番でも低音楽器と金管楽器のアタックの力強さが際立ち、鋭角的なリズムの特徴が浮かび上がってきた。この演奏と録音のアプローチは、オーケストラの量感やスケール感を低音の重さや太さだけで引き出すのではなく、素早く立ち上がる音の勢いと余韻の広がりで表現することを狙っているようだが、その意図を再生音から自然に聴き取ることができる。
各パートのセパレーションの高さやソロ楽器のにじみのない音像も特筆に値するが、そうした空間的な分解能の高さだけでなく、一音一音の輪郭と立ち上がりの波形が曖昧にならない時間的な精度の高さにも注目すべきだろう。