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【特別企画】期待を越える完成度

オーディオラックに新星現る。高純度アルミ+高度な加工技術が融合「ALVENTO」レビュー

公開日 2018/05/28 10:00 井上 千岳
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また、前述の通り、このオーディオラックは、創業170年を迎える老舗の家具屋である米三とのコラボレーションによって生まれた製品である。カナヤママシナリーの技術力に、米三が持っているデザインやブランディングのノウハウを組み込むことで、単なるモノ売りを超えて、音響に関してもインテリアから、空間全体まで提案できるブランドを目指したものである。

■ALVENTO®の特徴 ― 滑らかで極めて均質な棚板と支柱の強固な構成

基本構造はシンプルで、棚板も4本の支柱もアルミ合金製である。その棚板を支柱に刻まれたスリットに入れ、挟み込むようにしてネジで固定する。もともとアルミ合金の強度は木製の7〜10倍とされているが、それがこのような構造を採ることでいっそう強固な構造体となり、曲がったり撓んだりすることは全くない。

支柱もアルミ合金の削り出しで、スリットによる高さ調整(50mmピッチ)が可能

底部にはまた別の脚が付く。同じくアルミ合金製だが、インシュレーター構造になっていて安定した設置が可能である。

独自構造のインシュレーターも特徴。高い制振性能を実現

各部は切削加工で仕上げられているが、5軸の最新鋭加工機で加工されているため大変滑らかだ。また均質性に富んでいるのも、大きな特徴となっている。例えば壺の口のような形の複雑な曲線でも自在に動くことができ、従来は不可能とされてきた精巧な切削も実現したという。そしてこの加工技術で作られた最も精密な構造体が、実は棚板の裏側にある。

■真骨頂は棚板の裏にあり ― アンプの熱を吸収・拡散

上から見たのではわからないが、下から覗くと大きな花のようなデザインが一面に彫り込まれているのがわかる。これがALVENTO®の最大の特徴であり、また画期的な技術なのである。

ALVENTOオーディオラックの最大の特徴であるARボード。棚板の裏面にあたる部分に独自のスリットを彫刻。これによりアンプの熱を吸収・拡散するだけでなく、振動対策にも効果を発揮する

彫り込みの意味は、表面積を拡大することである。アンプなどから生じる熱を吸収・拡散するのが目的で、平らな面よりも1.5倍の表面積があるという。

ラックの中段・下段というのは、意外に熱がこもるものなのだ。全て棚などに平らに並べてしまえばそれでいいのだろうが、そうもいかないからラックが必要になる。そこで熱対策というのは、思ったよりも重要な問題になるのである。

アンプ類には動作温度というものがあって、温度が上がりすぎると保護回路が働いて停止してしまうし、そうでなければ故障の原因にもなる。そこまで行かなくても、温度管理が悪いと音質にも影響が大きいのである。

ALVENTO®のボードに刻まれた彫り込みは、この熱を効果的に吸収して上部から拡散する。このためラック内の温度は常に適正に保たれるという仕組みである。

アルミ無垢材とAR-Bordの性能を比較

さらにこの加工が、振動を分散しているのも間違いない。熱と振動という音の2大大敵を、こうして速やかに撃退できるのがALVENTO®の真骨頂である。

弊社試聴室のリファレンスシステムでもスリットの効果を確認する

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