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ソニーのサウンドバー「HT-Z9F」レビュー。フロントSPだけでアトモス/DTS:X対応「バーティカルサラウンドエンジン」がすごい
■「Vertical Surround Engine」で、高々と画面を超える縦方向の音場を実現
試聴は音元出版にて行った。ソニーの液晶テレビ「KJ-65Z9D」とコーディネートされたHT-Z9Fは、黒いボディも手伝って予想以上にスリムでコンパクト、かつミニマルだった。近寄ってみてもスマートで設置性も高い。下位モデルのHT-X9000Fでは、スタンドに合わせて奥がすぼまるボックス形状を採用しており、よりテレビとの一体感が高まる。
早速、オブジェクトオーディオ収録の4K UHD BD1を再生してみよう。本機設定画面のサウンドエフェクトは、サウンドモード入/切に加え、ドルビーラボラトリーズ製のバーチャライザーである「ドルビー・スピーカー・バーチャライザー」を選ぶこともできる。なおドルビーアトモス/DTS:Xのコンテンツが再生されると、Vertical Surround Engineは自動的に働くそうだ。
ドルビーアトモス採用ソフト「ブレードランナー」(1982年オリジナル)を、「ドルビー・スピーカー・バーチャライザー」をONにして見る。未来のロスの夜闇を焦がす火焔の爆発音が高々と立ち上がり、そして映像の高さを越えていき、相乗効果で映画にパワフルに生命を吹き込む。音圧と広がりにも不足がない。
続いて、最近UHD BD化した「グラディエーター」を視聴。こちらはDTS:Xなのでサウンドモード入を選択して試聴する。音楽の広がりと、金管や弦楽の楽器音が美しい。ここでも音圧の余裕が頼もしく、ヴァーティカルサラウンド効果により、ゲルマニア戦役の火矢や火球が、高々と映像を飛び越して横切って行く。
感心したのは音声の構成要素の分離が良く、音が塊にならず、きれいにほぐれている点だ。戦場の喚声、怒声、剣の切り結ぶ金属質の冴えた音、ハンス・ジマーの重厚なスコアが音場に広がり満たしていく。
ワイヤレス・サブウーファーの音質品位も高い。本体同様、小振りでミニマルだが強力だ。戦闘が終わろうとする頃、音楽が緩徐楽章に変わり、戦争に明け暮れる人間の世の虚しさを象徴するように、重低音がひたひたと寄せる描写が良い。劇場の大スクリーンを前にしているように錯覚される。スピーカー本体とのクロスオーバー周波数は変えられないが、HT-Z9Fにおまかせで問題ない。
シネマモードでのセリフはカリっとした音質だが、鮮明で音離れもよく前に出て、聴き手にもどかしさを感じさせない。続く、馬車の中のルッシラとコモドゥスは、馬の蹄と車輪が背景に退いて会話が前方にくっきり浮かび上がる。皇帝とマキシマスの対話も、背景の風音や人馬のノイズと会話のバランスが良い。今回セリフの明瞭さに重点を置いた音作りということで、情景からのセリフの浮き上がり方が実に効果的だ。また、チャンバラに興じるコモドゥスの刀の切り結ぶ音は、鮮度が高く音場に散らばる。こうした映画音響の構成要素のバランス感覚は、さすがにソニーだ。
次に再びドルビーアトモスのソフト「ラ・ラ・ランド」を、「ドルビー・スピーカー・バーチャライザー」を選択して試聴した。冒頭のトラフィックダンスは、スコアが込み入って行くとやや粗さも感じられるが、ベースラインも鮮明で声や楽器の分離感がいい。奥行き99mmで、よくこれだけ太く押出しのある量感のある音が出せるものだ。音離れがよく、切れがあってダイレクト感がある。
ジャズクラブのシーンでは、トランペットやトロンボーンの明るい光沢、ピアノの輪郭の切れ味、低音楽器の量感など楽器の描写にリアリズムを感じさせ、音楽映画らしさが全開になる。続くアパートのシーンのセリフの響きの変化等、映画のシークエンス毎の音による演出を素直に出してくる。
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