月内に正式版がリリース予定
ついに登場、Windows版「Audirvana Plus」の音質と使い勝手は? ベータ版でいち早く検証
オーディオプロパティの設定画面では、DACが対応するフォーマットやサンプリングレート、チャンネル数が表示される。この画面ではさらに、メモリ使用量の割り当て、サンプリングレートが違うファイルを連続して再生するときに稀に発生する“プチッ”といったノイズをミュートする機能なども設定できる。
Mac版同様にMQAファイルにも対応し、96kHzまでの初段の展開である「コアデコード」が可能なソフトウェアデコーダー機能を搭載する。また「MQAデコーダー」と「MQAレンダラー」2タイプのUSB-DACに対応することも同様だ。アップサンプリングやPCMのDSD変換機能もこの画面で設定できる。
主要な設定項目を確認し早く音を出したい衝動に駆られたが、はやる心を抑えて、画面のインターフェイスを一通り確認してみた。
設定画面を見ていくと、ファースト版とは思えないほど機能が充実しているのがわかる。ただし、今回試したベータ版では、Mac版では実装されているボリューム機能、タグ編集機能が使えなかった。この2つはWindows版の正式バージョンでは実装されるとのこと。「A+ Remote」による操作も試したが、現時点では行えなかった。
また、当然ながらMacのAudio Unitプラグインを利用したイコライザー調整などは使うことはできない。繰り返しになるが今回チェックしたのはベータ版なので、搭載される機能については正式版では変更がある可能性がある。
■Mac版Audirvana PlusやJRiverと比較しながら音質をチェック
今回は自宅1Fの試聴ルームでAudirvna Plus for Windows 10の音質を確認した。まずは、最近リファレンスにしている男性ジャズボーカル「グレゴリー・ポーター『Nat King Cole & Me』(96kHz/24bit FLAC)」を再生。情報量があり、高域から低域まで密度感も高い。ボーカルはリアルで口元の動きがよくわかる。一聴して音が良いことに驚いたが、好感を持ったのはトーンバランスが自然でリファレンス的な表現を備えることだ。ベースの表現力、すなわち低域の解像度も高い上に、誇張も感じられない。
普通であれば、ここでもう1曲ほど聞いて試聴を終わらすのだが、予想以上の音質に嬉しくなり、Windows版の「JRiver Media Center24」とMac版の「Audirvana Plus 3」と比較試聴を行うことにした。
まずはWindowsの定番再生ソフトの1つ、「Windows JRiver Media Center24」と比較する。ダイアナ・クラール『ターン・アップ・ザ・クワイエット』(192kHz/24bit FLAC)からトラック3の「L-O-V-E」を再生した。トーンバランスは、原音に忠実な表現のAudirvana Plusに対し、JRiverは高域と低域が持ち上がる傾向だ。特にスネアドラムの表情は大きく違い、JRiverは若干派手な質感に感じる。上下のfレンジは両者とも遜色ないが、サウンドステージの奥行きや、ボーカルのリアリティはAudirvana Plusが上回っている。
これまでも「ネットオーディオ」誌等で書いているが、JRiverは以前からこのようなサウンド傾向で、音色だけで判断すると魅力的に聴こえるときもあるが、リファレンス寄りの自然な再現性という点ではAudirvana Plusに分があると感じた。
次にMac版のAudirvana Plus(Audirvana Plus 3.2)と比較した。使用したMacのスペックは、MacBook Pro (Mac OS High Sierra 10.13.1)で、楽曲は名門グラモフォンレーベルから発売されているアンドリス・ネルソンズ『ブルックナー:交響曲 第3番』(96kHz/24bit FLAC)を使用した。