多彩な「いい音」が見つかる
予算10万円以内でここまで良い音が楽しめる! 評論家5名がおすすめオーディオシステムを提案
選定:山之内正
DSDの長所を引き出すコンパクトで高性能なミニマムオーディオ
・USB-DAC内蔵プリメインアンプ:
TEAC「AI-301DA-SP」¥OPEN(予想実売価格42,000円前後)
・スピーカーシステム:
DALI「ZENSOR 1」¥43,800(税抜)/ペア
>>合計:¥85,800(税抜)
ファイル再生はメディアのサイズに縛られないのでデザインや回路設計の自由度が上がる。さらに最新のノウハウを導入することで「小型でもパワフルなアンプ」や「スリムなのにスケール感豊かなスピーカー」を作ることも現実味を帯びている。機器の選択肢が広がることになるので音楽ファンにとってもメリットが大きいと言えるだろう。
たとえば、物量が不可欠というアンプの常識を覆す技術の筆頭としてクラスDアンプに注目したい。無駄な発熱を抑えてパワーを効率よく引き出すので本体を小型化でき、応答性の良さなど音質面でも長所があるため、普及機だけでなくハイエンド製品への採用例も着実に増えている。
ティアック「AI-301DA-SP」はクラスDアンプの長所を活かしたコンパクトなプリメインアンプの代表格だ。小型スピーカーなら実用レベルで十分に鳴らせるステレオアンプを横幅22cmを切るミニマムな筐体に内蔵。DSD5.6MHz/PCM192kHz/32bitまでサポートするUSB入力やaptX対応Bluetoothなど充実したDACをこのサイズに収められるのも、クラスDアンプを採用したことのメリットだ。
スピーカーは小型ブックシェルフの定番として根強い人気があるダリ「ZENSOR1」を組み合わせた。小口径ユニットの反応の良さと小型キャビネットならではの伸びやかな空間再現が両立した完成度の高いスピーカーで、小音量から常用領域までリニアリティの高いサウンドが楽しめる。特定の音域や楽器の音を強調することがなく、旋律楽器とリズム楽器をバランス良く鳴らし分ける点も特筆すべき長所の一つだ。
このシンプルなシステムで上質で鮮度の高いDSD再生を狙う。クラスDアンプと小型スピーカーどちらも反応の良さにアドバンテージがあり、DSDやPCM上位フォーマットの俊敏かつ繊細なサウンドを引き出しやすい。
予算に余裕が出たら、ラインケーブルやスピーカーケーブルにまわしてシステム全体のグレードアップを図ろう。もちろんAI-301DA-SPに付属のバナナプラグも活用したい。