米Qualcommのシニア・マネージャーに話を聞く
完全ワイヤレスイヤホンを次世代のレベルへ導く新技術、「Qualcomm TWS Plus」に迫る
■QCC5100を搭載した完全ワイヤレスイヤホンが実現するもの
QCC5100は、左右独立型の完全ワイヤレスイヤホンが提供する体験をさらに向上させるため、アーキテクチャを根底から大きく見直したICチップだ。特にスマートフォンやポータブルオーディオプレーヤーなどの再生機器とペアリングした時の接続性が大きく向上する。
本チップは、2つの接続パターンで完全ワイヤレスイヤホンとつなぐことができる。ひとつは従来通りの接続方式で、プレーヤーから送られてきた信号を、マスターとなる左右片方のイヤホンで受信・デコードして、もう片方のスレーブ側となるイヤホンに信号をリレーする方法だ。技術名称は「Qualcomm TrueWireless Stereo」と呼ばれている。
また、QCC5100は現行のICチップよりも受信感度が高く、スレーブ側に信号を送り出すパワーも向上しているというGampell氏。ゆえにSnapdragonの最新SoCを搭載していないスマホやiPhone、ウォークマンにテレビ、ノートPCなど、あらゆるBluetoothによる音楽再生が楽しめるデバイスと接続した場合に「音が切れにくく」「バッテリーが長持ちする」という。つまり快適なリスニング体験が得られることになる。
さらにバッテリーの持続性を高めるための機能として、完全ワイヤレスイヤホンのマスターとスレーブの役割をL/Rで適宜スイッチできる「ロールスワッピング」を搭載した。
これはスマホから信号を受信して、もう片側に絶えず信号を送り続けているマスター側のイヤホンから先にバッテリーが消費されてしまい、結果的にペアのイヤホンとして駆動限界が低く抑えられてしまう課題を解決する注目の機能だ。ロールスワッピングをどのタイミングで、自動・手動で行うのかも含めて仕様はイヤホンをつくるメーカーが決められるように設計されているという。
音声通話は左右のイヤホン間で信号の遅延が発生することなく、クリアなステレオ再生ができる「Voice in the Both Ears」の機能も実現した。CSR8675シリーズではマスター側のイヤホン(片側)だけでしか通話の音声が聞こえない仕様だったので、これでようやく多くの完全ワイヤレスイヤホンでより快適な音声通話ができるようになりそうだ。
■左右独立接続の新方式「Qualcomm TrueWireless Stereo Plus」
そして今回、QCC5100のハイライトとなる接続方式が「Qualcomm TrueWireless Stereo Plus」だ。aptXコーデックに対応するSnapdragon 845シリーズを搭載する再生機器にペアリングすると、再生機器の側で先にL/Rの信号を分離してから、左右のイヤホンに独立した音声ストリームをダイレクトに送り出す新技術である。
この方式では各チャンネルの転送ビットレートを低く抑えられるため、信号伝送の安定性が上がり「音がより切れにくく」なる。左右イヤホンのバッテリーも理論的には均等なペースで消費されるため、駆動時の消費電力を下げることも可能になる。
「ここで強調しておきたいことは、イヤホンのメーカーは“Snapdragon 845専用”の商品を作る必要がないということです。イヤホンの電源を入れると、スマートフォンに搭載されているSoCをQCC5100が自動で検知して、QTWS Plusともうひとつのアーキテクチャのどちらで動作するべきかを決定します」(Guy Gampell氏)。
再生機器に搭載されているSoCがSnapdragon 845シリーズ以外だった場合は、先述のトラディショナルなリレー方式の接続方法で動作する。最新鋭の「Qualcomm TrueWireless Stereo Plus」方式で接続されたことをユーザーに知らせるポップアップなどは画面に表示されるのだろうか。Gampell氏は「コンシューマーは常にベストな音楽体験を求めているはずなので、あえて接続方法を明示しなくても良いと今のところは考えている」と述べている。
筆者はクアルコムの先進技術をアピールするためと、ユーザーが接続の安定性が担保されていることの満足感が得られることも考えて、何かaptX HDで接続された時のようなポップアップが出てきてもいいと考える。
QCC5100は、左右独立型の完全ワイヤレスイヤホンが提供する体験をさらに向上させるため、アーキテクチャを根底から大きく見直したICチップだ。特にスマートフォンやポータブルオーディオプレーヤーなどの再生機器とペアリングした時の接続性が大きく向上する。
本チップは、2つの接続パターンで完全ワイヤレスイヤホンとつなぐことができる。ひとつは従来通りの接続方式で、プレーヤーから送られてきた信号を、マスターとなる左右片方のイヤホンで受信・デコードして、もう片方のスレーブ側となるイヤホンに信号をリレーする方法だ。技術名称は「Qualcomm TrueWireless Stereo」と呼ばれている。
また、QCC5100は現行のICチップよりも受信感度が高く、スレーブ側に信号を送り出すパワーも向上しているというGampell氏。ゆえにSnapdragonの最新SoCを搭載していないスマホやiPhone、ウォークマンにテレビ、ノートPCなど、あらゆるBluetoothによる音楽再生が楽しめるデバイスと接続した場合に「音が切れにくく」「バッテリーが長持ちする」という。つまり快適なリスニング体験が得られることになる。
さらにバッテリーの持続性を高めるための機能として、完全ワイヤレスイヤホンのマスターとスレーブの役割をL/Rで適宜スイッチできる「ロールスワッピング」を搭載した。
これはスマホから信号を受信して、もう片側に絶えず信号を送り続けているマスター側のイヤホンから先にバッテリーが消費されてしまい、結果的にペアのイヤホンとして駆動限界が低く抑えられてしまう課題を解決する注目の機能だ。ロールスワッピングをどのタイミングで、自動・手動で行うのかも含めて仕様はイヤホンをつくるメーカーが決められるように設計されているという。
音声通話は左右のイヤホン間で信号の遅延が発生することなく、クリアなステレオ再生ができる「Voice in the Both Ears」の機能も実現した。CSR8675シリーズではマスター側のイヤホン(片側)だけでしか通話の音声が聞こえない仕様だったので、これでようやく多くの完全ワイヤレスイヤホンでより快適な音声通話ができるようになりそうだ。
■左右独立接続の新方式「Qualcomm TrueWireless Stereo Plus」
そして今回、QCC5100のハイライトとなる接続方式が「Qualcomm TrueWireless Stereo Plus」だ。aptXコーデックに対応するSnapdragon 845シリーズを搭載する再生機器にペアリングすると、再生機器の側で先にL/Rの信号を分離してから、左右のイヤホンに独立した音声ストリームをダイレクトに送り出す新技術である。
この方式では各チャンネルの転送ビットレートを低く抑えられるため、信号伝送の安定性が上がり「音がより切れにくく」なる。左右イヤホンのバッテリーも理論的には均等なペースで消費されるため、駆動時の消費電力を下げることも可能になる。
「ここで強調しておきたいことは、イヤホンのメーカーは“Snapdragon 845専用”の商品を作る必要がないということです。イヤホンの電源を入れると、スマートフォンに搭載されているSoCをQCC5100が自動で検知して、QTWS Plusともうひとつのアーキテクチャのどちらで動作するべきかを決定します」(Guy Gampell氏)。
再生機器に搭載されているSoCがSnapdragon 845シリーズ以外だった場合は、先述のトラディショナルなリレー方式の接続方法で動作する。最新鋭の「Qualcomm TrueWireless Stereo Plus」方式で接続されたことをユーザーに知らせるポップアップなどは画面に表示されるのだろうか。Gampell氏は「コンシューマーは常にベストな音楽体験を求めているはずなので、あえて接続方法を明示しなくても良いと今のところは考えている」と述べている。
筆者はクアルコムの先進技術をアピールするためと、ユーザーが接続の安定性が担保されていることの満足感が得られることも考えて、何かaptX HDで接続された時のようなポップアップが出てきてもいいと考える。
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