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何を聴いてもエクセレントであれこれ遊べるエスプリの効いたプレーヤー

理想の低トルク機構に3段階の調整機構を搭載したアナログプレーヤー。Tien Audio「TT5」を聴く

公開日 2018/07/15 14:10 石原 俊
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トルク変更で艶や響きが変化奥の深い楽しみ方もできる

ここで、トルク値の変更による聴感の変化を探る実験を行った。まずは大胆にLのポジションに切り替えたのだが、エネルギーバランスが大きく変化したのには少なからず驚いた。それまではHのポジションではすらりとした摩天楼型だったのが、どっしりしたピラミッド型になったのだ。

TT5。アルミニウム製アームボードを採用し、ターンテーブルの構造を強化

Mのポジションはその中間……と申し上げたいところだが、そうではなかった。低音の量は似たり寄ったりなのだが、こちらの方が音に艶があって響きが好ましい。トルクの問題は奥が深く、どれが正しいのかは一概には言えない。本機を手に入れたオーナーはあまり深刻に考えず、大らかな気持ちで変化を楽しんでいただきたい。

最後にメインプラッターをアクリル製のものに交換して聴いてみた。エネルギーバランスが腰高になるとともに、音が明るくなったような印象を受けた。これは好みの問題であろう。音楽のジャンル別のインプレッションを記す余裕がなくなってしまったが、何を聴いてもエクセレントであることを保証しよう。あれこれ遊べるエスプリの効いたプレーヤーである。


<試聴で組み合わせた機材と試聴ディスク>

●MCカートリッジ/トップウイング「朱雀」●フォノイコライザー/アキュフェーズ「C-37」●プリアンプ/アキュフェーズ「C-3850」
●パワーアンプ/アキュフェーズ「A-36」●スピーカー/B&W「803 D3」

『Lush Life』 Jacintha (【米】Groove Note GRV1011-1)

『Gustav Mahler:Symphony No.5』 Rafael Kubelik/Symphonie-Orchester Des Bayerischen Rundfunks (【独】Audite 80.465)


『THE SNAPPER』 松尾明 NEW FRONTIER QUINTET (【日】寺島レコードTYLP1013)

『BALLADS』 松尾明トリオ (【日】寺島レコードTYLP1058)


(石原 俊)




開発者から
ティエンオーディオ代表
ジェフ・ティエン氏


「TT5は、私たちのTT3をさらに発展させ、安定した電源供給や3段階のトルク切り換え機能、そしてプレーヤーとしての安定度を高めるベースとしての機能を追加したプレーヤーとなります。

特に皆様が興味を持たれるのは、3段階のトルク切り換えだと思います。実はレコードのマスターは、時期や国によってワックス、ラッカー、そしてDMMなど素材の異なるマスターの素材によって、レコードの溝の深さが異なります。このマスターによって異なるカッティングの状況に合わせてトルクを切り換えることで、レコードの音溝からより多くの情報を得ることができます。

自動車に例えれば、凹凸の多い荒れた道をゆっくりと走れば車内で感じる振動も減るように、カートリッジもレコードの状況に応じてトルクを変えることでより滑らかに動作でき、安定したトレースが行えるようになるというメリットもあります。ぜひ、TT5でご自身のレコードから新しい発見をしていただけると幸いです」(ティエン氏)




<Specification>【ターンテーブル】●駆動方式:ベルト駆動(3本、シリコン製)●モーター:ブラシレス・ダイレクト・カレント・モーター(低トルクで使用)×3●回転数:33.3/45/78rpm●回転制御:CPUによるPWM信号●トーンアーム:2本装着可能●マグネット・ベアリング●プラッター:デルリン製●デジタル・トルク・コントローラー:3段階●ワウ・フラッター:±0.015%●ベース部:航空機グレードアルミニウム(12kg)、パウダーコーティング処理●アームボード:アルミニウム製●取りつけ可能アーム本数:最大3本
【トーンアームVIROA】●型式:ワンポイントピボット・スタティックバランス型●長さのラインアップ:10インチ(標準)、12インチ(オプション)●内部配線:ヴァン・デン・ハル製純銀撚り線ケーブル●取り扱い:ENZO j-Fi LLC.、(有)トップウイング

本記事は「analog Vol.60』からの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。

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