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【特別企画】イヤホン型マイクでバイノーラル録音も実践

豊富な機能は“高音質録音”のためにある! ローランドのレコーダー「R-07」レポート

公開日 2018/08/03 08:00 高橋 敦
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使い勝手の面ではスマホアプリからのリモートコントロール機能にも注目。録音の開始と停止、シーン選択や録音レベルなどの設定の確認と変更も可能だ。

スマホアプリから録音の開始/停止や設定確認/変更などが遠隔操作で行える

特に演奏録音の場合、演奏ポジションから動かず手元からレコーダーを操作できて便利そう。Bluetoothイヤホンにも対応しているので、録音されたデータを再生しての確認もワイヤレスで行える。さらにApple Watchにも対応。演奏しつつの操作ということでは、スマホよりもさらに便利だ。

Apple Watch上の画面

Apple Watchでもアプリを認識するため操作が可能

こうした機能を活用しつつ、今回は自宅でエレクトリックギターの録音を試してみた。ギターアンプから30cmほど離れたところに適当な高さの台を用意し、その上にR-07を設置。シーンは「楽器」を選び、録音するフレーズを「リハーサル」してから録音開始。

ただそれだけの作業で録音したファイルを再生してみたら、これが十分すぎるほどクリアな音! 特にピッキングの強弱に伴う音量と音色の変化、その立体感といったところは、ボイスレコーダー機能での録音と比べて大きな差がある。

例えばピックを弦に当てる瞬間に、カチッとした硬さを出すか、それともそれを和らげて甘い音色を出すかといった演奏のニュアンス。そうした細かな表現まで、R-07なら明確に捉えてくれている。楽器練習を自己チェックするのにも使いやすそうだ。

この録音品質が、セッティングを意識せず実現できることも大きな魅力だ。たとえスマホ録音であっても、置く距離や角度をスマホスタンドなども活用して調整すれば、録音クオリティを上げることはできなくもない。しかしそのためには「録音して再生して確認して置き場所を調整して」を何度も繰り返してベストポジションを探さなくてはならない。

一方のR-07を使えば、「だいたい良さそうな場所に置く→リハ→本番」だけで、苦労を重ねたスマホ録音を大きく上回るクオリティ。距離による音量の違いはリハーサル機能が調整してくれるし、置き場所や設置角度からの影響はあらかじめ適当な角度付きで一体化されているマイクが軽減してくれる。実に手軽だ。

ポンと置くだけで高品質な録音が実現できるのはローランドのレコーダーならでは

また通話ではなく録音のために設計された大型の内蔵マイクが、楽器の中低域の厚みもしっかり捉えてくれることもポイント。ギターの音もペラッとした表面的なものにせず、演奏しながら実際に耳に聴こえている音に近い、厚みや深みを感じさせてくれる。

総じて、さすが会議やインタビューを主に想定したボイスレコーダーではなく、音楽機器のメーカーがしっかり作り込んだオーディオレコーダー! と思わされる録音クオリティだ。

イヤホン型マイクで手軽にバイノーラルも可能

さて、加えて面白いところでは、オプションではあるが、モニターイヤホンにバイノーラル収録用マイクを一体化した「CS-10EM」も実売9500円程度という手頃な価格で用意されている。

「CS-10EM」

バイノーラル録音とは、人間の両耳を模した配置や形状の特殊なマイクを使うことで、立体的、仮想現実的な音を録音する手法。こちらのイヤホン兼用バイノーラルマイクは自分の耳に装着して使うので、自分の視点での立体音場を録音できる。

イヤホン型マイクはバイノーラルマイクの中では簡易的な形式ではある。しかし人間の頭部そのものを模した形状の本格的なダミーヘッドマイクは個人で使うには大掛かりだし高価。それに自分自身の視点で移動しながらでもバイノーラル録音できるという、イヤホン型ならではの機動力も魅力的だ。もちろんモニターイヤホンの役割も兼ねられるので、その点でも身軽だし便利。

こちらの製品はイヤホンの両耳に無指向性エレクトレット・コンデンサー・マイクを搭載。そのマイクはレコーダー本体マイク端子からのプラグインパワーで動作するので別途の電源は不要だ。大きさも形も普通のイヤホンと変わりない。ケーブルもレコーダー直前までは1本にまとめられており、レコーダー手前の部分でイヤホン端子接続用とマイク端子接続用に分岐する形。屋外利用で妙に目立ってしまう心配もないだろう。

普通のイヤホンを着用している感覚でバイノーラル録音が行える

両手がフリーな状態で録音できるのもポイント

今回は部屋でスピーカーから音楽を流しながら、その正面で頭を動かしてみたり、事務椅子でくるりと回ってみたり、席を離れてみたりといった形で試してみた。本格的なバイノーラル録音を試したことはないので比較はできないが、距離感や移動感の面白さは十分に体験できる印象。

「R-07」と「CS-10EM」のほかに特別な機器は必要ない

バイノーラル録音の効果が分かりやすいのは、自分の周りを音源が回っていく様子だろう。特に耳元や後方をスムーズに移動していく様子は、聴いているとゾワリとした感覚となる。



また、上野のアメ横で実際にバイノーラル録音した音声動画を掲載するので試聴してみてほしい。左右から威勢よく声かけされるなか歩くと、人とすれ違う様子などが映像がなくともリアルに伝わってくるはずだ。



ポータブルレコーダーは、スペックを高めるだけで録音音質も高まるという単純なものではない。使いやすさもあってこそ、そのスペックを存分に引き出した高音質録音を生み出せる。このR-07はそのことを深く理解した製品だ。派手なアイテムではないが、バイノーラルマイク一体型イヤホンCS-10EMを合わせて、改めて注目してみてもらえればと思う。

(特別企画 協力:ローランド株式会社)

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